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1995年~1996年 (戦略論 1994-1999(ハーバード・ビジネス・レビュー))

2010-08-24 22:50:12 | 本と雑誌

 「ハーバード・ビジネス・レビュー」からの「戦略」に関する論文のピックアップ。そのうちの中期、1995年~1996年のものから、私の興味を惹いたくだりを覚えとして書き記しておきます。

 まずは、第5章、ブランデンバーガー教授らの1995年の論文「コーペティション戦略」。この論文では、Coopetition(協調しながら競争する)という興味深いコンセプトが提示されていました。勝つか負けるかだけでなく、双方が勝つ状況を模索する考え方です。

 
(p152より引用) 双方が勝つ戦略を探すことには、いくつかの利点が存在する。第一に、この戦略はそれほど探求されてきていないので、新しい種類の戦略を見つけることのできる可能性が大きいということである。第二に、この戦略は他者をその領域から排除しようとするものではないので、他者の抵抗が少なく、用いやすいということである。第三に、双方が勝つための行動は相手の復讐を招くものではないので、新しいゲームはより持続可能であるということである。最後に、「双方が勝つための行動」の模倣は害となるのではなく、利益になるということである。

 
 ちょっと前からの言い方では「Win-Win」の関係を築くアプローチですが、これをゲーム理論をベースに、より意図的な戦略レベルで提言したものといえます。

 次にご紹介するのは、第6章、M.ポーター教授による1996年の論文「戦略の本質」です。ポーター教授は、この論文で、日本が得意とする「オペレーションのカイゼン」は戦略にあらずと断じています。

 
(p208より引用) オペレーションの効力がこの10年ほどで飛躍的に向上したのち、多くの企業は収益逓減に直面している。継続的改善は、企業の経営陣の頭に刻み付けられた。一方でそのためのツールが、気づかぬうちに、企業を物真似と均質性の世界に引きずり込んだ。経営陣たちは少しずつ、オペレーション効率を戦略の代替としていった。その結果起こったことは、ゼロ・サム競争、価格の停滞や値下がり、コストへの圧力だった。コストに圧力がかかったことで、企業は長期を見据えた投資もできなくなっていった。

 
 戦略は「独自の活動」であって、他と差別化できるオリジナリティが必要だとの考えです。
 しかしながら「オペレーションの効率化」は不要と論じているのではありません。

 
(p247より引用) 経営者はオペレーション効率と戦略を、はっきり区別しなければならない。両者はともに不可欠だが、なすべきことは異なる。
 オペレーションについて実施すべきなのは、トレードオフが存在しないところではどこでも、継続的改善を進めることだ。これを実施しなければ、たとえよい戦略を持つ企業であっても脆弱さが生じる。・・・対照的に戦略では、独自のポジションを定義し、トレードオフから選択し、フィットを強めるのが正しい。

 
 ポーター教授は、「戦略の敵は、気を他にそらすことと妥協である」と主張しています。まさに「選択と集中」です。さらに言えば、ポーター教授がいう「選択」は「トレードオフの関係」からの選択を指しています。

 
(p246より引用) 戦略は「何をすべきか」とともに、同じくらい重要な「何をすべきでないか」を示す。実際、制限を設けるこはリーダーの役割の一つだ。・・・したがって戦略には、規律とコミュニケーションが求められる。戦略を明確にし、よく伝えることが重要だ。

 
 この指摘は普遍的に正しいものですね。どんな戦略をとるとしても、その実行の要諦です。
 
 

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