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成長のために (実践するドラッカー【思考編】(佐藤等))

2010-08-06 22:54:07 | 本と雑誌

 本書は、「知識労働者」として成果をあげるための「セルフマネジメント」にフォーカスした「ドラッカーガイドブック」という体裁です。

 第2章では、「成長のため」の具体的な方法をいくつか紹介しています。

 そのひとつが「予期せぬ成功」への着目です。

 
(p68より引用) 自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。・・・「非営利組織の経営」(p218)・・・
 「予期せぬ成功」は、機会の存在を明示しています。・・・
 そもそも成果は、機会と強みの両方がそろったときに生まれるものです。「予期せぬ成功」の裏に、自分が気づいていない強みが発揮されていたかどうか、確認してみてください。
 同じことが「予期せぬ失敗」についてもいえます。・・・
 そもそも「予期せぬ失敗」は、自分の強みをベースに成功を当て込んでいたからこそ発生するものです。どこに問題があったのか、徹底して分析しましょう。

 
  「予期せぬ『失敗』」の方は、「失敗」であるだけに通常でもその原因追求はなされるでしょう。ドラッカー氏の慧眼は、『成功』についてもその原因を追求せよと指摘しているところです。それは、潜在化していた「自分の強み」を顕在化させ、さらにそれを強化しようという前進的な姿勢の表れともいえます。

 こういったドラッカー氏の前向きの姿勢は、氏の思想の随所に現れています。
 たとえば、「貢献と自由」について語るくだりです。

 ドラッカー氏は、組織として成果をあげるための基本姿勢として「貢献」を重視します。貢献の形はいろいろ考えられます。まさにどういう形をとろうと「自由」です。ドラッカー氏はこの「自由」に関してこう語っています。

 
(p106より引用) 「自由とは解放ではない。責任である。楽しいどころか一人ひとりの人間にとって重い負担である。それは、自らの行為、および社会の行為について自ら意思決定を行うことである。そしてそれらの意思決定に責任を負うことである」(『産業人の未来』)

 
 自由とは「選択の自由」がある状態だというのです。自らが自らの意思で選択できる、何と前向きの姿勢でしょう。そして、その選択の結果には自らの責任が伴う、何と真摯な姿でしょう。
 私は、ドラッカー氏の卓越性はこの「真摯さ」あると考えています。

 
(p201より引用) ドラッカー教授は、「あなたの本の中で最高のものはどれですか」という質問をよく受けたそうですが、常に「次の作品です」と答えていたそうです。まさに完全を求め、95歳まで書き続けたのです。

 
 自分に厳しく、妥協せず、完全を求め続ける見事な姿勢です。
 
 

実践するドラッカー【思考編】 実践するドラッカー【思考編】
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2010-01-29

 
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