ご存知だとはおもいますが、著者の立川談志氏は、東京の落語家です。
辛辣な口ぶりが有名ですが、噺家としての技量には定評があります。今から20年以上前になりますが、真打ち制度をめぐって落語協会と対立、協会を離れ「落語立川流」を立ち上げました。
私の落語の好みは、以前は上方落語中心でした。
いわゆる、「上方落語四天王」といわれた、(笑福亭)松鶴・(桂)米朝・(桂)小文枝(後の故5代目桂文枝)、(桂)春団治に始まり、その後は、やはり枝雀さんでした。あの天才肌の芸風の噺家はもう現れないかもしれません・・・。
いずれにしても、ちょっと落語には関心があったこともあり、近所の図書館の返却棚にあったこの本を衝動的に手に取ったという次第です。
そもそもこの本は、談志さんの独演会(談志ひとり会)のプログラムに書かれた(談志さんの)エッセイ風の「文句・御託」をまとめたものです。
(p238より引用) だって結構、世間にゃ相手にされない場所やモノに面白いのがあるよ。イヤ、世間で面白がられている場所や、モノより面白く受取れるよ。また、その発見、行動のほうが楽だし、価値もあるよ。
といったフレーズや、
(p306より引用)“落語とは人間の業の肯定である”・・・ただ、人間の中の、本音というか、嘘のない部分を「業」なんと言っていたのである。
ところが、どうも正解らしい、“合ってるよ”と思えてきた。
とかの談志さん一流の「落語論」あたりは面白いのですが・・・。
正直、よほどの談志ファンでないと読み物としてはどうでしょう?
月に1度、独演会のプログラムでお目にかかる程度であればそれなりに楽しめるのでしょうが、400ページを越える1冊の本でまとめて来られると、(談志さんに特別の思い入れのない身としては)少々食傷気味になります。
談志ひとり会 文句と御託 価格:¥ 2,625(税込) 発売日:2000-08 |