3月30日朝日新聞掲載のデフレ研究の大阪大フェロー小野善康氏へのインタビュー記事。この5、6年は地下鉄で新聞を読むこともしなくなった私だけれど、もう一度読み直そうと思って、紙面1枚だけを抜き取って地下鉄に乗った。
――今はバブルだと。
「80年代に起きた土地や株のバブルと今のデフレ不況はまったく対極のようですが、同じ病理です。デフレは物価が下がり、同じ金額で買えるモノが増える現象。つまりお金の価値の上昇です。今はみながお金を欲しがり、価値が異常に膨らんだ『お金のバブル』状態なのです。
中略
「(略)
だから、使わないことで安心感、満足感を得たい。そういうバーチャルな妄想に浸りたい。そんな欲望がむしろ高まっているのです」
――デフレ不況の解決法を専門家らが示せないのはなぜか。
「(略)
主流の新古典派経済学では、お金を『モノを買う触媒』としか見ていない。だから、お金そのものへの欲望がモノへの需要を抑えている今の状況を想定できないのです」
――大恐慌で生まれたケインズ経済学でも、だめですか。
「ケインズは、いつでも使える自由が欲しくて『流動性選好』という理論までたどり着いたが、そこで終わった。お金への欲望が限りなく膨らみ消費の欲望を抑えることまで考え付かなかった。それでお金さえ渡せば需要は回復する、というとんでもない誤解を後世に広めてしまったのです」
(略)
「(略)
成熟社会の経済をうまき回すには、人生の質を高める高度消費が必要なのです。生活者自身も知恵を絞って、いろんなことを楽しむ知性や体力を磨かないいけない」
(略)
「(略)
お金をためることより、使うことにもっと知恵を絞って欲しい。それが若者の雇用を生む社会貢献にもなるのです」
略ばかりが多い、引用でした。
この手の経済学の話は目から鱗。凝り固まった思考を解いてもらった感があります。
イエ、実は連れ合いが日頃の考え方に通じていて、節約魂が抜けきらない(お金を使うのが下手な)私としては、夫の思考の確証が欲しいという気持ちもありました。
――今はバブルだと。
「80年代に起きた土地や株のバブルと今のデフレ不況はまったく対極のようですが、同じ病理です。デフレは物価が下がり、同じ金額で買えるモノが増える現象。つまりお金の価値の上昇です。今はみながお金を欲しがり、価値が異常に膨らんだ『お金のバブル』状態なのです。
中略
「(略)
だから、使わないことで安心感、満足感を得たい。そういうバーチャルな妄想に浸りたい。そんな欲望がむしろ高まっているのです」
――デフレ不況の解決法を専門家らが示せないのはなぜか。
「(略)
主流の新古典派経済学では、お金を『モノを買う触媒』としか見ていない。だから、お金そのものへの欲望がモノへの需要を抑えている今の状況を想定できないのです」
――大恐慌で生まれたケインズ経済学でも、だめですか。
「ケインズは、いつでも使える自由が欲しくて『流動性選好』という理論までたどり着いたが、そこで終わった。お金への欲望が限りなく膨らみ消費の欲望を抑えることまで考え付かなかった。それでお金さえ渡せば需要は回復する、というとんでもない誤解を後世に広めてしまったのです」
(略)
「(略)
成熟社会の経済をうまき回すには、人生の質を高める高度消費が必要なのです。生活者自身も知恵を絞って、いろんなことを楽しむ知性や体力を磨かないいけない」
(略)
「(略)
お金をためることより、使うことにもっと知恵を絞って欲しい。それが若者の雇用を生む社会貢献にもなるのです」
略ばかりが多い、引用でした。
この手の経済学の話は目から鱗。凝り固まった思考を解いてもらった感があります。
イエ、実は連れ合いが日頃の考え方に通じていて、節約魂が抜けきらない(お金を使うのが下手な)私としては、夫の思考の確証が欲しいという気持ちもありました。
小野氏の主張のメインは、みんながお金を貯めこみ、お金が回らないので、税金で取り、政府が仕事を作ればいい、ということです。「税金で取り」という点以外は正しいと思います。
もう一つ、より重要な主張が次の部分と思います。仕事を作るにしても、ケインズではだめで、現物給付でなければならない、という点。予算の使い道が重要、ということです。これも私は正しいと思います。
第2の論点については、その財源が税金だろうが、国民からの借金だろうが、同じことが言えます。つまり、税金でとるから予算の使い道がよくなり、国債だから使い道が悪いということでは全くありません。
国民がため込んだお金を政府がつかえというが、今までもそれはやってきました。増税ではなく、国民から借金をするという形で。借金というと違和感があるかもしれませんが、お金を使いたくない国民が選んだ一番の安定した投資先が国債だったということです。
問題は小野氏がいうように予算の使い道でした。政府が1000兆円になるまでお金を使っても、お金がため込まれてしまい回っていなかったわけです。もし、増税したとしても、使い道が変わらなければ、またどこかに吸い込まれていくだけです。焼け石に水で、増税されたマイナスだけが残ります。
増税したとして、例えば、増税分13兆円がすべて介護券や保育券になるなら(とりあえずは)ため込まれないのですみますが、果たして今の官僚政府でそれができるでしょうか。現実、小野氏も心配するように、借金の穴埋めに回りそうな雰囲気です。逆に、もし使い道を変えられるなら、別に増税でなくでも、国債(=国民の資産)でもいいわけです。
結局、増税であれ、借金であれ、あるいはお金の印刷であれ、歳出改革が先ではないでしょうか。菅さんも改革を訴えていたはずなんですけどね。
無駄遣いではないか、贅沢すぎるのでないか、自分の支出にそんなフルイをかける癖があります。経済大国に分類されて月日が経った日本では、お金を上手く回す役割を、市民も担っているということですね。上手な使い手になる必要があります。
「お金を使いたくない国民が選んだ一番の安定した投資先が国債だったということです。」
…皮肉ですね。そう、貯め込んだ私たちの預金で、銀行はセッセと国債買っているのですから、間接的には多くの国民の財が国債に化けているというのが実態。税収という形で吸い上げたお金が適所に回ればいいのに、天下りとか、膨張した外郭団体とか、公正でない使われ方しそうで、信用できない!って言うのが<実は本音だったりします。