冬の湖水地方を歩いてジョン・ラスキンの碑に出会ったので、彼の著作『胡麻と百合』(1865)を御紹介することにしましょう。これはマンチェスターで行なわれた講演をもとにしたもので、「善良な男女の感化」について語られています。
時代は19世紀半ばです。ラスキンはまずお隣の国、フランス社会の「道楽への耽溺」を批判します。華やかで贅沢が「退廃」だ、と言うわけです。そして彼の母国である英国社会も、服装は年々華美になり、宴会は益々贅沢になり、消費は莫大なものになってきたと警告するのです。
経済最優先の金満大消費国家に住む人間として、まるで現在のこの日本のことを言われているような気になってきます。いまだって、不況を脱出して好景気よ、もう一度!ですからねェ。
ラスキンが言うところ、当時英国の婦人は海外で大変高い評価と名誉を受け、尊敬されていたらしい。それは「慎み、誠実、娘たちの清新な純潔、無邪気さ」などだそうです。それが次第に時代の流行によって野卑で無分別になりつつある、というのです。私は英国に住んでいたとき、何度か日本の女性がまさにそのような美徳にあふれているのではないか、と言われました。「つつましく誠実で賢い女性が多いのだろう?」と。そう言われて、いろいろな人を思いめぐらしました・・・。どう答えればよかったのでしょうねw(^益^)w
一方英国の青年たちについて。世界中で一番多忙な英国人の精神の中に、最も広く行き渡り、一番公然と語られ、青年の努力のために最も適当な刺激として推奨されている観念は、「社会的地位の向上」、すなわち「金儲けと名誉欲」になってしまった、とラスキンは嘆きます。これもまた現代の日本にそのまま当てはまってしまいそうです…。いい大学に入っていい職を得て、出世して金もうけ。それが
(╬゜益゜):;*.’:; しヽ力ヽ~ん!
というわけなのですが、それではどうしたらいい、とラスキンは言っているのでしょうか。それが男性諸君には「胡麻」、女性諸君には「百合」というわけなのです。
次回はその「胡麻」についてお話しましょう。
ところで典型的な「ニッポンダンジ」は、例外的どころか絶滅種になっているのでは?
ニッポンダンジは何てシアワセなの