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EUのワイン改革

2007-12-27 09:06:49 | 附属酒類経済研究所
昨日26日の日本経済新聞に、こんな記事が出ていました。

EUワイン改革、加盟国が来夏開始で合意・補助金削減など加速

 欧州連合(EU)加盟国は2008年8月から、国際競争力を高めるためのワイン改革を進めることで合意した。フランスやイタリア、スペインの反対で余剰なブドウ畑の減反規模は縮小されたが、当初3年間で補助金の削減などを加速。欧州産ワインの品質を高め、米国やオーストラリア産などの新世界ワインに対抗する。
 欧州委員会が求めるワイン改革には主要産地を抱える加盟国が強く反対しており、調整が難航していた。EU農相理事会での合意はブドウ畑の減反規模を20万ヘクタールから17万5000ヘクタールに縮小。ドイツなどの反対が強いシャプタリゼーション(加糖)の全面禁止は見送り、補てんする糖分の量の制限に切り替えた。ワインの作付け自由化は13年から18年に遅らせ、この間にワイン農家に競争力の強化を促す。


日経のほか、共同通信の配信記事でも同様の記事が見られましたが、もう少し詳しい情報はないか、とちょっと探したのですが、EUのプレスリリースにはありませんでした。
ただ、この議論のコアとなっている「ワイン改革(Reform of the wine sector)」については、今年7月の提案文書を発見。

そこでは、EUのワイン生産への危機感がひとしきり綴られた後、11の具体的な改革案が記されています。


①Abolition of market management measures:
②Ban on sugar for enrichment:
③Grubbing-up scheme:
④Single Farm Payment:
⑤Ending planting restrictions:
⑥Oenological practices:
⑦Better labelling rules:
⑧National financial envelopes:
⑨Rural Development measures:
⑩Promotion and information:
⑪Environmental protection:


これ、全部訳すの?と思っていたら、これらを簡潔にまとめたものが、日本のEU代表部の広報誌に出ていました。長くなりますが、引用。


「この改革案は大きく4つの目標--生産者の競争力向上、従来の市場の回復と新たな市場の開拓、ワイン作りの伝統を守りつつもそのルールを簡略化すること、ワイン作りに頼る多くの農業地帯の社会的・環境的構造の強化--を掲げています。この大改革のカギは、EUのワイン対策予算(年間13億ユーロ)をいかにより有効に使えるか、に尽きると言っても過言ではないでしょう」
「提案によると、すべての非効率的な市場支援措置--蒸留に対する各種補助金、民間在庫補助、輸出払戻金--は施行当日から撤廃されます。ワインのアルコール度数を上げるために行われる補糖も禁止され、補糖に比べてマスト(発酵前のブドウ果汁)によるアルコール度数の確保が高コストであるため、それを補う目的で導入されたマストに対する補助金も撤廃されます」
「余剰ワインを買い上げ、蒸留して産業用アルコールに転用する代わりに、2種の危機管理措置が講じられ、その費用は加盟国への財政割り当てから賄われます。EU産ワインの、特に第三国(非EU諸国)での販売促進に充てられる予算は大幅に増やされます。5年の移行期間中、ブドウ作付けの制限が維持され、競争力の低い生産者は十分な資金援助を受けてこの分野から撤退することができます」
「2014年から栽培制限は撤廃され、競争力のある生産者は希望すれば生産を増やすことができるようになります。表示に関する規則を簡略化し、葡萄・ワイン国際機構に加盟しているすべてのワイン生産国で認められているワイン生産上の慣行の一部をEUでも採用するほか、品質政策を地理的出所に基づいたものにします」
「加盟国には国別の財政割り当てと行動の「メニュー」が提示され、これにより、各加盟国は自国の状況に最も適した措置を取ることができるようになります。また、農村開発の予算も増やされ、若手のワイン生産者の起業支援や環境保護など、さまざまな措置に充当されます」


個人的には補糖禁止とかが気になりますが、この中で、どれが合意に達し、どれがまとまらなかったのかは、未だ分かりません。冬休みの宿題、です(誰か、ご存知ですか?)。

(担当:附属酒類経済・文化研究所)

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