ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

ルーイへ  感動のピータコン

2011年12月22日 02時15分53秒 | 旅行

配属先、コンケン第9特別教育センターの研修旅行で ルーイ県に行く。


「2泊3日で研修旅行があるよ」 と言われたのが、旅行のちょっと前。
それが「1泊2日に変わったのよ」 といわれたのが旅行の2日前。

タイでは本当に、直前になるまで変更変更の繰り返しで、
誰に聞いてもはっきりしない。
誰も先のことは分からないのだ。
でも、みんな何となく分かっていて、そのなんとなくでどうにかなっちゃうタイ。



これまで、正直言って、研修旅行というのは
なんだかよく分からないことが多い不安の中、長い時間を過ごし、
泊をともにすることが、けっこうきついものがあった。
みんなが楽しそうにしていても、私は内心、早くこの苦しさから逃れて家に帰りたいと思っていた。
しかし、今回の旅行は今までとは違っている。


まず、私の気持ちが違う。
みんなが楽しみにしている気持ちを理解したいと思ったし、
一緒に時間を過ごし、同じものを見て、感じて、楽しみたいと思った。
「さちえ 行けるの?」と聞かれたとき、「行きたい!」と心から思った。

そして、周りの人たちの気持ちも違っていたと思う。
「さちえ 行けるの?」に対して
「行ける」と答えたときの、自閉症クラスの2人の先生が「わー!」と喜ぶ様子、
「夜は一緒に寝るのよ。」とはしゃいでいる姿は、本当に私と一緒に行きたいのだと感じた。
バスに乗り込むと、「さちえ、ここ、ここ!」と私の席をとっておいてくれて
私を呼んでくれたり、ごはんを一緒に食べるメンバーに当然のように入っていたり、
私の居場所があることが嬉しかったし、
建前やお客さん扱いではなく、同僚として友達として私が存在していると感じて
今までにない、親近感を感じた。
だから、2日間、みんなが笑っているのと同じように笑い、楽しんだ。
そんな研修旅行は、はじめてのこと。



夜、感動で胸が熱くなることがあった。

宿泊先は、ルーイ県のプールア学校。
校長や職員全員がもてなしてくれた。
そこで、親しい先生達とではなく、以前のように偉い人たちの間に
座り、夕食をとりながら、もてなしをうけることになった。
偉い人たちの中にぽつんといることが、以前と同じに感じてちょっとしょげていたら、
カウンターパートで、立場の偉いピーティンが、
「さちえ、写真撮りなさい、写真!」と私に言う。

いつも、行く先々の学校やセンターでのもてなしぶりはすごいのだが、
今回はさらにすごくて、タイの踊りや芸能人並みの歌や踊りで歓待を受けていた。

黙ってそれを見ているのに、写真写真って、もう、うるさいなあ、
撮りたいときに好きに撮らせてよ、なんて思っていた。


そこに出てきたのが  ピータコン。
      
    


ピータコンは ルーイ県のお祭りで、タイ随一の奇祭でといわれる。
毎年6月~7月にの3日間、華麗なお面と衣装を身につけたピー(精霊やお化け)が、
細長い刀を手に持って通りを練り歩く、珍しい祭り。
ルーイ県はタイ人には人気の観光地だが、外国人旅行客が多く訪れるような場所ではない。
行くのに不便で、ホテルも少ない。地元に精通していないと自力で行くのは難しい。
私はピータコンをずっと見たかった。
この先、日本に帰って教職に復帰したらまず行けない。行けるとしたら定年退職後。
タイにいる間に、一番見ておきたいもの、それがピータコンだった。
だけど、日本に一時療養帰国したために、それは叶わなかった。


そのピータコンのピー(お化けや精霊)たちが、目の前に踊って出てきた。
     


とんでもなく驚いて、私が騒いでいると
センター長がピーたちを並べ
「さちえ、写真を撮れ、ほら、写真を撮れ」
と私を呼び、一緒に写真を撮らせてくれる。 私だけに。
          

ピーたちを並び、思わず「キャーー!」と悲鳴を上げると、
みんながドッと笑う。


「ピーたちと踊ってこい。写真撮ってあげるから。」
と、みんながすすめる。

もてなしてくれているプールアン学校の先生達も
私が喜ぶと、喜んでくれる。

「ピータコン ピータコン!」と騒ぐ私をみんなが笑い、
私が喜ぶのを 心から嬉しそうにしていて、
みんなが喜んでくれているのが、すごく分かった。
      


踊っているピータコンを見ながら、写真を撮りながら涙が出た。
まさか、こんなことがあるとは。
もう見られないと思っていたピータコンを見られるなんて。
それもみんなと一緒に見られるなんて、信じられない。
神様がくれたプレゼントで、センター長がくれたプレゼントで、
みんなが、タイ人のみんながくれたプレゼントだと思った。
       

泣きながら 
「感動しました! ずっと見たかったんです。みんなと一緒に見られて嬉しい。」
そしてお礼を言うと、センター長も嬉しそうにしてうなずく。
タイのこの仕事場は、センター長がお父さんで、まるでみんな
家族のように親しくし、お父さんがみんなをかわいがるような、
子どもたちはお父さんに甘えるような、
それをよいとしているのだと、最近になって分かるようになった。

さっき、ピーティンが
「さちえ、写真、写真を撮りなさい」と言っていた言葉も
私にタイを見せてあげたい、珍しいものを見せて喜ぶ顔が見たい、
という気持ちから来ている言葉で、
「タイにいる間に写真をたくさん撮っておきなさい」
という愛情がこもっているんだと感じた。


ルーイの空は、満天の星。
グラウンドに寝転がって空を見上げると、降るような星空。
日本でもいつも見ていたオリオン座がここでもはっきりと見える。
      
「星がきれいだったよ」というと、
「誰といったの? 一人でいったの? だめよ!友達と行かなきゃ!」
と、こんなことも優しさをすごく感じる。


今日、胸が熱くなったのは、
感動のまさかのピータコンを見たから、
それも配属先のみんなと見られたから、
そして、
この配属先の人たちの、タイ人たちのあたたかい気持ちが
ぐっと胸の中に浸みてきたから。

      




    











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