Runrun日記

最近読んだ本ーツリーハウス

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今朝は、風もなく暖かく散歩出来ました。
写真は、数日前の画像です(笑)



角田光代 著 『ツリーハウス』 文春文庫

私の家族と、同世代の家族の物語でした。
父の世代は、五族協和とかいう誤った理想に舞妓され、満州開拓移民として満州に渡った。そんな話に乗ったのは、ただ貧しい農家の長兄以外の人減らしだったかも知れません。母は男に騙されて、何気なく満州に渡ってしまう。新京(長春)のバーで女給をしていました。父は徴兵から逃げ、新京の満州人の街に潜みます。そこで二人は出会います。
二人の人生は逃げる事から始まったようです。戦争から逃げ、終戦後は押し寄せるソ連兵を恐れて逃げます。三人の子供が出来ますが、無事日本に連れ帰れたのは、三男の私と同一世代の一人だけでした。昭和21年生まれだと思うので、私と一つ違いです(笑)
日本に戻った二人は、それぞれの家族の元には戻らず、新宿で中華料理店を開きます。誰の土地だか知れない、焼け跡に建てられたバラックを廉く買い取ったとあるので、二人は生涯盗んだ土地と思っていたようです。

私の世代の子供達は、親に束縛されず自由奔放に生きていきます。逃げる事が人生観となってしまった両親は、子供達に対しては無関心無干渉。「自分のケツは自分で拭え」と云います。昭和の戦後を生きた私世代の子供達が描かれていました。

五男は、学生運動や安保闘争に共感し、浅間山荘の事件の後、何を思ったか自殺してしまいます。四男は高校教師になりますが、純粋過ぎて女子高生と問題を起こし懲戒免職。その後信仰宗教に取り込まれます。そしてサリン事件。その後は引き籠りになってしまいます。昭和・平成を代表する事件を取り込みながらこの小説は進みます。

私より一つ年上の三男は、漫画家を目指しますが思うようにいきません。イケメンだったのか、女性を二人も傷つけます。五男が自殺した時に我に返ったと書いています。何事にも流されていく自分、あの時五男と親身に話していれば自殺させずに済んだのではないか。もう逃げないと思ったようです。漫画家を諦めて家業を継ぐ事にします。ここで、頭のいい押しかけ女房を得ます(笑)

そして子供の世代。親たちは相変わらず子供たちに干渉せず、店が忙しい事もあって、家族そろって食事をとるような団欒もなく、それぞれが身勝手な事をしていく家族だったようです。定職も無く、困ると自宅に帰ってきて居座る家族たち。うちなんて簡易宿泊所みたいなんだと・・

祖父が亡くなります。孫は、自分の家族は何故こんな何だろうと疑問を抱き、祖母と厄介叔父(四男)を連れて中国の長春に行きます。そこで見たものは・・・

こんな物語でしたね。
私達の世代。何処か似たり寄ったりではないかと思います。まさかこんな小説のように激しくない! たぶん、戦前の家父長制のなかで生きた家族とは、全く違うのだと思います。戦後の家族の一つの姿!!!!

私は、浅間山荘の銃撃戦は、どこかのスキー場のテレビで見ていました。神戸淡路の大震災の時は、私の職場からも数人が救援に出かけました。サリン事件は衝撃でした。こんな時代を生きて来たのだと思います。

この小説のお気に入り度:★★★★☆

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