吉村 昭 著作 「漂流」 新潮文庫
これは、18世紀末、高知沖から鳥島へ漂流して生還した人の話です。当時の、幕府や藩の記録に基づいて、書かれたものらしい。
当時の沿岸を走るために作られた船は、嵐にあって外洋に放り出されれば、対応がとれず漂流してしまうより仕方なかったのだろう。そうなれば、生還できる方が難しい事だった。
当時の鳥島は無人島で、渡り鳥のアホウドリの生息地だった。
土佐の船乗り長平は、アホウドリの肉で食いつなぎ、12年間を生活。後から漂着した人達と一緒に、流れ来る破板で船を作って、青ヶ島⇒八丈島へ帰還した。
長平と一緒に漂流した人達は、アホウドリの肉しか食べられず偏食となって健康を害して死んで行った。
この小説では、漂着した人達が死に直面した絶望の中でも、知恵と勇気を出し合って、協力して生還する様子が描かれています。
一人では、何もできないけれど、皆ですれば何かが出来る!
絶望に打ち勝つすべは、なに?
念仏を唱和して、心を無にしたとあった。
偶然の災いに翻弄される人生、神仏に頼るしかないのか。そして諦めない心。
この小説のお気に入り度:★★★★☆
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