Runrun日記

最近読んだ本ー悪名高き皇帝たち(三・四)



塩野七生 著 「ローマ人の物語 19・20 悪名高き皇帝たち[三・四]」 新潮文庫

第三部 皇帝クラウディウス(在位、紀元41年1月24日~54年10月13日)

暴政を尽くしたカリグラが暗殺され、突然50歳のクラウディウスへ皇帝の座が回って来てしまった。単にカエサルやアウグストウスの血縁であるというだけの理由で皇帝にされてしまったクラウディウスは、幼少から身体が弱く、歩く時も右足を引きずり、緊張するとどもる癖もある気弱な人だった。

この本には、”クラウディウスは、良き意志にあふれそれを実現する意欲も充分だったが、リーダーには不可欠な条件である何かが欠けていた。”、”クラウディウスとは、一人では生きていけず、妻に支配されるのに慣れた男であった” とある。

カリグラが行った悪政の後始末もそつなくこなし善政を行ったが、気弱な性格は、元老院議員や秘書官達からも畏敬の念を起こさせる事が出来なかった。そして、妻からも軽く見られる存在だった。

思わぬ夫の皇帝即位に舞い上がってしまった皇妃メッサリーナは、増長してすべてが許されると思い上がってしまった。クラウディウスは妻をコントロールできず、メッサリーナの放銃はエスカレートして最後は破滅してしまう。
メッサリーナの死の後、クラウディウスの妻になったアグリッピーナは、先帝カリグラの妹で、死別した先の夫との間にネロという息子があった。行く末は皇帝の母、皇帝の摂政となり政治を操るという野望があった。ネロが成長すると、クラウディウスは邪魔な存在でしかなかった。アグリッピーナはクラウディウスを毒殺し、ネロが皇帝となった。

クラウディウスは、市民や元老院からも、妻からも笑いものにされていた? 可哀想なクラウディウス!

第四部 皇帝ネロ(在位、紀元54年10月13日~68年6月9日)

そんな母親を持ったネロは、どのように育ったのだろう。”暴君ネロ”と言われてしまう
16歳で皇帝となった少年ネロは、反抗期で母親アグリッピーナに反発、ネロの摂政となって政治をしたかった母親を政治から除外し、最後は殺してしまう。好きな女性が出来ると、元妻を殺して再婚する。こうと思うと歯止めが効かなくなる性格だったようだ。

治政は順調だったようだ。ブルタニアで反乱が起きたり、アルメニア・パルティアで問題が起きるが、それぞれの将軍の奮起で解決していく。ローマの大火の後処理で失敗する。大火は、ネロによる付火との噂が立ち、ネロはキリスト教徒による付火としてキリスト教徒を弾圧、迫害する。

紀元65年になると「ピソの陰謀」と呼ばれる、ネロ殺害未遂事件が発覚する。紀元66年、青年将校による、ネロ殺害計画「べネヴェイントの陰謀」が発覚。ネロは、それに加担した人疑わしき人を捕まえて処刑、恐怖政治行うようになる。

ネロは歌うのが好きで、ギリシャまで出かけ歌を歌い、それで凱旋式を開く。

紀元68年、ガリアで反ネロの反乱がおこる。
”ネロは、帝国を私物化し、帝国の最高責任者とは思えない蛮行の数々に酔いしれている。母を殺し、帝国の有能な人材まで国家反逆罪の罪をかぶせて殺した。そのうえ歌手に身をやつし、下手な竪琴と歌を披露して嬉しがっている・・”
反乱は、ガリヤからスペインに飛び火。元老院はネロを「国家の敵」として宣言し、追い込まれたネロは自死する。

ネロは、皇帝にならなかったら、単に歌の好きな陽気な青年だったかも知れない。
皇帝には、それぞれ問題があっても、この時代のローマ帝国は大きな戦争のない平和な時代が続いていたのだ。
この小説のお気に入り度:★★★☆☆

ランキングに参加中、クリックして応援願います。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

最近の「本と雑誌」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事