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徒然なるままに~のんびり、ゆったり、こまやかに

猪突猛進型の60代。そして卵巣がんですっ転んで8年。目指すはのんびり、ゆったり、細やかな生活!無理かなー(#^.^#)

面白い!!「小林カツ代と栗原はるみ-料理研究家とその時代」を読む

2015-08-30 17:52:34 | 団塊世代夫婦の一コマ
今から40年ほど前。
結婚が決まった私は母と一緒に
夫の家に挨拶に行った。

この日は夫の方は姑と二人。
私の方は母と私。

あれやこれや話しているうちに
料理の話になった。

「ところでお料理はどうなの?」(姑)
「・・・、嫌いではないですが、あまりしていません・・」(私)

すると母が
「今はよいお料理の本がたくさん出ていますものね。
字が読めれば大丈夫じゃないかしら」(母)
「(口をあんぐり)・・・・」(姑)

この日のことは今でも忘れられない。

姑は料理上手。でも教え下手。
何でも自分でやってくれた。
教えてほしいと言っても、
「これはこれくらい、これはまあ、適当な量」(姑)
という感じで、サッサ、パッパと作ってしまう。

だから若い頃、夫の実家に行っても
私はもっぱら洗い物係に徹した。
いや、若い時だけではない。
姑が施設に入るまで、ほぼこの状態が続いた。
料理は姑の牙城だったのだ。

一方実家の母はお世辞にも
料理上手とは言えなかった。
味が薄いこともあった。
口の悪い父は時々こんなことを言った。
いや、言うだけならいいのだが、怒り出した。
「この味噌汁、薄いぞ!なんで毎日味が違うんだ!!」
という具合。

それで、母は変わったかというと、変わらない。
だから、そんなことがまま繰り返された。

ところでこんな母はNHK「今日の料理」のファンだった。
テレビを見ていることもあったし、
時たまテキストを手にすることもあった。
私の手元には昭和47年、私が22歳の時のテキストがある。
これは結婚してから母にもらったものだ。
正月料理の特集テキストだ。

そういうこともあってか、
母は料理の本があれば大丈夫と
姑の前でごく自然に言ってしまったのだと思う。

それでびっくり仰天した姑は
ことあるごとに
「あんたのお母さんは、本があれば大丈夫なんていってたねえ」
と私に言った。

今、居間にある「今日の料理」のテキスト数を数えてみたら、
なんと90冊。
これが私が40年間に買った数。
私の頭には「料理の本があれば大丈夫」の言葉が
刷り込まれていたのだろう。

そして気づいたことがある。
昔のものは作り方がとても丁寧だということ。
そのまま素人がやるにはちょっとハードルが高い。
が、作れば作った感がある。

それが、段々簡略化され、
分かりやすさが前面に出てくる。
NHKの「今日の料理」もやはり時代に左右されていたのだ。

当たり前と言えば当たり前の
こんなことに気付いた矢先、
阿古真理著「小林カツ代と栗原はるみ
 -料理研究家とその時代」 新潮新書 に出会った。



丁度90冊の「今日の料理」を
引っ張り出していたところだったので
うなづけることばかり。

読み物としてもとても面白い。
多分、私自身がその変化の時代を
主婦という家庭料理の当事者として
生きてきているからかもしれない。

なるほどな。
こんな視点もあったのだなって思った。

私の「今日の料理」、一番多いのが12月号。
それはお正月料理の特集号だからだ。
仕事を始めてからは、春休みや夏休みのある、
3月、4月、8月、9月号に集中している。

姑の料理は見様見真似で作ってみたが、
なかなかその味が再現できない。

母の料理で再現したものはあまりないが、
母の言う通り、本から学んで作ったものが圧倒的に多い。

私や妹を育て終え、
私たちが結婚して家を出てから、
経済的にも余裕のできた母の本棚には
「今日の料理」のテキストが並び、
帰省すると、自作のアイスクリームをふるまってくれた。

夫は新婚当初に私が無我夢中で作った
グレープフルーツのゼリーが忘れられないという。
そんなに手をかけたものを夫に出したのは
後にも先にもその一度だけ。
今では幻のグレープフルーツゼリーになっている。

そんな料理にまつわるあれこれを思い出しながら、
読んだ夏の一冊なのでした。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読みたくなりました。 (palau1919)
2015-08-31 17:05:05
始めまして。palau1919と申します。

ブログを拝見して、この本にとっても興味をそそられました。

アマゾンのレビューを見ると、よく調査された上質の本らしき感じ。

いい本を 紹介してくださってありがとうございます!

(一ヶ月ほど前に、ブログなるものを始めたばかりで、同じカテゴリ

ーに登録しています。え~と、コメントは こんな感じでよかったんで

したっけ。今後ともよろしくお願いします。(^ ^))
返信する
お返事遅くなりました (あかね雲)
2015-09-25 08:04:56
コメントありがとうございました。
お返事が遅くなりました。
私はそのあと、「小林カツ代のお料理入門」を手に入れました。これがまた、歯切れのよい日本語で、文章なのに、料理のコツがわかりやすいのです。難しく考えないでなるべく簡単に、でも、コツをはずさずというスタンスです。これに指南されながら、いくつか作ってみています。入門というより、料理を毎日やっている人にとって、ある意味目から鱗の料理書かなと思いました。小林カツ代さんが亡くなっているのが本当に残念ですが、彼女の勢いが本から飛び出してくるのは、とても気持ちがいいですよ。
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