姪の結婚式で京都に行きました。若者たちが創意工夫を凝らした清々しい式でしたが、さすがに京都の旧家の令嬢らしく、式場に選んだのは京大和という大料亭。かつては翠紅館(すいこうかん)という名で歴史は古く室町時代にさかのぼる名跡です。幕末時代には三条実美や坂本龍馬も足を運び、史実によると文久3年(1832年)の1月27日、この場所に武市半平太、井上聞多、久坂玄瑞らが集い、同じ年の6月17日には桂小五郎、真木和泉守が会合を開いたそうです。
幕末時代の歌人、熊谷直好による翠紅館八景には嵐峡春花と題した歌が残されています。「かしこくも 君がながめにかかるとは 知るや嵐の遠山桜」。
本日より一日一品づつ、ここで供された京懐石をご紹介します。いままで体験した結婚式での料理の中では最高ランクのものであったばかりでなく、東京で食した幾多の懐石料理の味を完璧に凌駕する逸品でした。
本日は、オードブルと呼ぶべき祝肴。ディティールは以下のとおりです。
葡萄豆蜜煮、紅白手網寿し、厚焼玉子、諸子甘露魚、海老旨煮、子持若布、一寸豆、揚稲穂。