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新宿機動部隊(将棋)

社団戦出場チーム「新宿機動部隊」のブログ。

「ゴキゲン中飛車の急所」村山慈明・著

2012-01-17 22:36:32 | 将棋本


竜王を中心に、ゴキ中を粉砕しようとしている空気があるわけですが、そんな中でこの本。超急戦と超速をメインに解説されています。居飛車、振り飛車どちらを持っても参考となる一冊になっています。

しかし、A級順位戦の渡辺竜王対谷川九段戦で後手・谷川九段が2手目△3二飛を採用したのは、居飛車側のゴキ中対策に有効な手段がないということだったのでしょう。久保二冠が後手の△4四歩型をタイトル戦で試していますが、ゴキゲン中飛車の攻防はここしばらくでなんらかの結論が出るのかもしれません。




「よくわかる横歩取り」野月浩貴・著

2012-01-05 20:17:36 | 将棋本


このシリーズ、よく編集されていて使いやすいです。

従来型の△8四飛型から説き起こし、△8五飛の山崎流~新山崎流という流れをわかりやすく解説されています。手筋集、コラムも中身が充実。中座七段が初めて指した△8五歩型を隣で見ていた野月七段でなければ書けない濃い内容です。

▲9六角の変化も詳細に書かれ、後手良しの結論ですので、この変化は指さないほうがいいと思います。いや、ここにもまだ有力な変化があるかもしれないと思わせるところが横歩取りの面白さでしょう。



「速攻! ゴキゲン中飛車破り」中村大地・著

2011-10-02 20:05:10 | 将棋本


後手のゴキゲン中飛車に対して「超速」もしくは「5八金右超急戦」の対策が詳述されています。

「超速」は落ち着かせてからの相穴熊が後手に楽しみのある展開で、そのほかは先手がやや指しやすそうな結論。居飛車側の研究ではありますが、どうもゴキゲン対超速は居飛車よさそうな気がします。そのうちに渡辺竜王が結論を出しそう。

「5八金右超急戦」は、6筋に香を2枚立てる作戦に△6六馬と切っていくのが後手の勝負手かと思っていましたが、現在の研究では先手良し。しかし、別の応手で今は後手良し模様だそうです。

という濃密な研究がわかりやすく説明された好著。…だけに、1ページはさまれたコラムはもうちょっといいテーマを編集者が選んであげればよかったのに、と思いました。

「よくわかる角交換振り飛車」横山泰明・著

2011-09-04 19:51:22 | 将棋本


振り飛車党必携。

「ゴキゲン中飛車対丸山ワクチン」「△3三角戦法」「角交換型四間飛車」「角交換型石田流」など、アマチュアの大会でも最近頻出している戦型がすっきりとまとめられています。それぞれの戦法はひとつずつ定跡書として詳しく解説されてもいますが、角交換型振り飛車全体のコツをつかむには、この一冊が役立つと思います。

惜しむらくは「2手目3二飛車戦法」で4手目△4二銀型が触れられていれば、というところですが、これは改めて一冊の本が書けるかもしれませんね。


「超急戦横歩取り」高橋道雄・著

2011-09-01 22:14:47 | 将棋本


横歩取り定跡のうち、「4五角」「相横歩取り」「3三桂」など、序盤から急戦となる変化の多い戦型にしぼった一冊。

これは案外盲点で、横歩取りの激烈な変化を一望できるだけでも面白いです。昔からある戦型でも、現在の視点でとらえるとどう見えるかという点でも、実用的。個人的には、「3三桂」戦法を改めて考えられるのはたいへん助かります。

「高橋先生、横歩取りで一冊」「ではこんな切り口で?」のような会話があったかもしれませんが…。「本書の最大の特徴であり魅力は、先後を逆にして解説している点にある」(はじめに)というところは、まったく魅力には思えませんでした。横歩取りは後手番の戦法と思っているのですが…。

しかし、有益な一冊であることは間違いないと思います。

「千駄ヶ谷市場」先崎学・著

2011-07-28 20:30:12 | 将棋本




マイナビ女子オープン会場で購入し、先崎八段の揮毫をいただきました。

文章にまったく無駄がない。簡潔ということとはまた違う。書かなくてはならないことをすべて、決められた字数の中に書き込んだ、ということでしょうか。プロ棋士がプロの現場をリアルに書くことへのためらいも滲み出ている。河口七段「対局日誌」の、いまとなってはのどかな空気とは距離があるような。

まえがきの「深夜に及ぶ取材が終わると、いつも私はぐったりしていた」、そして「(原稿を)編集部まで持っていき、開放感に溢れた状態で、そば屋で昼酒を飲んだ」という記述に、書くことへの恐ろしい負荷があったことを感じ取れます。

しかし、たとえば、

「いいなあ広瀬君は」と誰かがいった。「いつもこうやって勝っちゃうんだ」

とか、いう控え室の会話や、

「中村は脇息にもたれ、ライオンが休むような格好で考えている」

といったフレーズの品の良さ。これは観戦記者には書けない。プロ棋士だからこそ書ける文章でしょう。まったく、素晴らしい本だと思います。これからも、先崎八段にはこういう文章を書いてもらいたい。ファンとしての気持ちです。

…220ページ「△5五角と突いたのが急所で」は「△5五歩」の誤り? 編集部はきちんと校正しなくては。



「中飛車定跡ガイド」所司和晴・著

2011-07-10 15:59:06 | 将棋本


所司七段は「東大将棋シリーズ」の執筆を一段落させていましたが、それに次ぐ新しい定跡ガイドブックです。テーマはゴキゲン中飛車。

前書きにあるように「東大シリーズよりやさしい内容」ですが、「現在テーマになっている局面はかなり突っ込んで解説」されていて、「超速」「角交換型」「超急戦」など、重要な形の主要な変化を網羅。所司七段らしく、中飛車有利の変化を重視することなく記されているので、居飛車党の中飛車対策ガイドとしても問題なく使えます。


「戸辺流現代振り飛車手筋集」戸辺誠・著

2011-06-30 21:55:27 | 将棋本


石田流と中飛車、アマチュアでも大流行の振り飛車2大戦法の、序中終盤における手筋を紹介しています。

戸辺六段の実戦を主な題材としているので、かなりリアルに読み筋を公開しているのがまずポイント高いと思います。約半分を占める序盤編、基本変化は他の定跡本でも出てきますが、踏み込んだ読み筋は他書では見られません。

いちばん読み応えのあるのは中盤編。そもそも現代振り飛車で石田流と中飛車がこれだけ指されるのは、序盤で間違えなければある程度有利に(とまで言わなくても気分よく)指せるということに尽きると思いますが、その先はもちろん舗装道路ではないので、ひとつ間違えれば路肩に踏み外してしまいます。この中盤の手筋を把握すると、序盤の有利を拡大して優勢まで持っていけるはず。そのヒントがたくさん記されている一冊です。

振り飛車党必携。対振り飛車党(?)、たぶん必携。

ええと、カバーはもう少し工夫してほしかったです。

「石橋幸緒の将棋レシピ」石橋幸緒・著

2011-06-14 22:15:22 | 将棋本


あれれ、「将棋の出だし4手チャート」、▲7六歩△3四歩▲7五歩に、「続く4手目は割愛」ですか~! それが読みたかった(泣)。

しかし、本当の序盤に立ち返って考えるには非常に価値の高い本です。現代将棋、ここで方針が決まるわけですから。

相手を知っているのならともかく、大会のように知らない相手と当たる場合に、基本的な考え方を整理しておくにはうってつけの一冊です。まったくの初心者だけでなく、定跡の根本を理解したい人にも役に立つと思います。