元インドネシア代表監督、スリランカ代表監督(野中寿人- 66番の部屋)

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外国人監督・・・としての覚悟

2011年10月31日 13時48分56秒 | 66番の思想


「インドネシア代表ナショナルチームの監督」という、1つの国を代表する組織を統括させてもらってきた中で、体験し、学ばせてもらったことを、何項目かに分けて、述べてみたいと思います。個人的思想が強いかもしれませんが、その点はノークレームということでお許し下さい(笑)

野球という形体で述べますが、これらは野球という競技の枠を超え・・・
今後、海外に進出しようとしている企業や駐在の方々、また、既に駐在などで海外で在住という立場にいるビジネスマンの方々への「1つの教訓」となる要素を多分に含んでおります。

・・・ご自身の状況に当て嵌めて頂き、何かの役に立ってもらえれば幸いです。

外国人監督の重圧は、日本のプロ野球の監督とまでは言いませんが、「結構~」それなりに大きなものです。国家の1組織、ましてや、その国の「国旗を背負う」という意義は確かに感無量なのものですが、その反面、その「責任」については相当なる覚悟を含んでいます。

簡単な例で言うと、諸外国に出て行き「公の場」で、その国の国歌を歌う様な立場にある人間は、一般には、「大統領や首相」などの国を象徴する人物と、他には、各競技におけるナショナルチームといった国を代表する組織以外には存在しないものです。

国旗を衣服に入れ印たり国旗を掲げてことを邁進するようなことも特別な意味を持ちます


その国を代表し、その国の期待を背負い、その国の名と名誉を背負っているのであり、まして、その組織を統括する監督と呼ばれる役職であれば良いにつけ悪いにつけ、ことごとく全ての眼が集中します。このように、国際大会に臨む以前の就任の段階から相当な重圧が圧し掛かって来ます。

最初に覚悟をしなければならない大きな要因は経済面や精神面などであり、これらは非常に苦しいものなります。監督への就任の話があった段階で、この状況を把握し、全て飲み込まなくてはいけません。

既に野球が発展している先進国のように、全てに予算が組み込まれているのでは無いのです。まず、自己の経済状況を整えなければ生活の維持が出来ないと言う問題にも直面してきます。要するに、野球後進国においては野球では生計が成り立たないということです。
強化練習が開始され終了するまでの期間しか給与は支給されず、持続して野球漬けの生活を送る為には、ある程度の蓄え、または、本業と呼ばれるような仕事からの収入が無ければ代表監督と言う職業の遂行は困難なのです。

インドネシアを例にとって言えば・・・
国際大会に参戦すべく招集がかかり強化練習が開始されて始めて代表監督としての給与が発生します。しかし、国際大会が終了すれば代表チームは即解散となり、この解散と同時に給与の発生も無いのです。当然の事として次の国際大会参戦の招聘までは本業となる自分の仕事で生計を立てて行かなくてはなりません。
既に、お分かりの様に、本業においても代表監督の任務を遂行していり期間は、100%本業に打ち込むことはままなりません。国際大会のスケジュールの合間を縫っての本業(?)という解釈になり、業種によっては本業を持続することが不可能になってしまう恐れも出てきます。

また、代表チームの解散中においてはインドネシア国内での各会議や日本へ渡航して各スポンサーとの会議などについては当然のごとく、全てが自己負担になり、この部分についても覚悟しなくてはなりません。

すなわち、おうおうにして代表監督を続ければ続ける程、そこには自己資金を費やす結果が待っているケースが多いということです(笑)。

加えて、野球に対して、よほどの情熱が漲っているような人材、もしくは野球という競技を介して人生における自身の目的や目標を遂行する環境や立場、心情にある人材でなければ務まらないでしょう。一番、最悪なケースは、日本(外国)で携ってきた「野球」に関する全て(環境、待遇、選手の質・・・など全てを含む)と、実際に現地に入って体験する「後進国の野球」とのギャップに嫌気を起こしたり、「日本の野球」を全面に押し出して選手を矯正へ至ったり、更には「日本の野球が1番良い」と頭ごなしに現地の全てを見下す人材です。

これは本末転倒も良いところですが・・・居るんですよ。この手の人材が(嘆)

野球先進国(日本)のどこかで監督をして来た人材は、現地の環境に自分を合わせられるかを自身に問いた方が良いです・・・ここが最初の1歩ですね

一概にして、何から何まで段取りや支度を選手やマネージャーなどがしてくれて来た指導者は・・・{今さら、そんな事までするのかぁ~~?}
などという気持ちを持っているものです。
しかし、メインの現地から物申すとすれば・・・
{殿様や王様じゃぁあるまいし・・・}
となるのです。



当然
野球後進国の野球を向上させるために野球先進国から外国人監督を招聘する訳です。
その全てが「結果
{良くなってきましたねぇ~}は見てくれないんです。話しにも出ません。

そうです・・・ズバリ
国際大会での順位、すなわち「金メダル」を獲るのみ

何年計画・・・?(大笑)
通常、そんなものは100%ありません””

付け加えて「何年」なんて言葉もありえません
・・・6ヶ月?・・・3ヶ月?・・・1ヶ月?での勝負です。

1回の国際大会での金メダル奪取が全てなのです。
その1回で「有能な監督」か「無能な監督」にハッキリと分類されてしまいます。
「無能」と判断された場合には、今後一切、国内のどこからも相手にされません。

要するに、本当の「野球馬鹿」と呼ばれる様な人材でしか野球後進国での外国人監督という任務は全う出来ないと断言します。

最初に断っておきますが、いわゆる「日本からの出稼ぎ監督」のような立場の人材は土俵に上げて考えていません。後々の項で説明しますが「責任や摩擦」の部分において問題が多すぎて、最初の1歩の段階で無理だからです。


外国人監督は生半可な「覚悟」じゃ務まらない
その国の国歌で泣けなくては外国人監督は失格です


外国人監督の宿命に続く)
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