虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

ライク・ア・サブタレイニアンズ7

2012-01-24 19:47:32 | ライク・ア・サブタレイニアンズ1
「あたし、眠くなっちゃった」
「おれ、まだ飲んでるから寝ていいよー」
「う~ん」と言いながら、ゆきねはベッドにあがったものの寝ようとしない
「おれのことは気にしないで寝なよ」「いや」「寝なさいっ」「いやだ」
と、変な押し問答が続いた、そしてボクはゆきねを寝せようと、ベッドの縁に腰かけて、
ゆきねはいつのまにかベッドの脇の床にじかに座ってボクを見上げるようなかたちになっていたんだ
押し問答が続いた後で、ゆきねが突然言った「あたし、ミノルさんのこと好きですよ」
言ったあとすぐに、ゆきねは顔を真っ赤にして「あ、言っちゃった・・・」と、うつむいてしまった
聴こえていたけれど、ボクはわざと「何て言ったの?」って訊き返してみた
ゆきねはボクを見上げて「あたし、ミノルさんのこと好きですよ・・・知らなかったでしょ」
ちょっといたずらっぽい目でそう言った
ボクはゆきねの頬を両手で引き寄せた

ライク・ア・サブタレイニアンズ6

2012-01-23 22:29:58 | ライク・ア・サブタレイニアンズ1
そうして、ゆきねに案内されて、雪のしんしんと降りしきる中をゆきねのマンションまで行ったんだ
着くころには二人とも雪で真っ白だった
初めて入る女のコの部屋ってどきどきするよね?
とりあえず腰を下ろしてボクたちはまず、缶ビールで乾杯した
ゆきねがキッチンに立ち、まるでフレンチの前菜のようなオードブルを
作ってくれた、見た目以上の美味しさだった、
ビールを一缶飲み終えそうになったところで
いよいよシャンパーニュの登場!
ゆきねがワイングラスを用意してくれた
「何か手伝おうか?」「ううん、ミノルさんは座ってて」
キッチンに立つ、ゆきねの背中は何故か楽しそうだ
この時点ではボクは何も気付けなかった
そして二人で一本空けてしまった頃に
ゆきねが言った
「眠くなってきちゃった」

ライク・ア・サブタレイニアンズ5

2012-01-16 15:05:16 | ライク・ア・サブタレイニアンズ1
あれは冬の日だった
ボクはバンドの練習スタジオからの帰り道だった
雪がしんしんと降っていたっけ
ボクのバンドの練習はいつも、夜遅くだったからその日も日付が変わりそうな時間だった
車を走らせていると携帯が鳴った あわてて車を路肩に停めた「は~いミノルでっす」
「ゆきねです・・・」「ん?、今?、バンドの練習帰りだよ」
「もう、帰っちゃうの?」「どした?」
「なんか、あそびたいなぁって思って・・・・」
これは、誘われているんだろうか
あまりにも突然でアタマ少しパニックだ
「まだ帰らなくてもいいよ」(これがボクの悪いところだ)
「何処であそぼうか?」
「ウチにシャンパーニュが一本あるんだけどな、一緒に
飲まないかと思ったの」「でもさ、おれ、車だから飲んだら帰れなくなるよ」
「・・・そっか、ちょっと待って、」しばし無言の後ゆきねが言った
「ウチに泊まっていいよ、一緒に飲みたいし」
ボクはゆきねのことをまだあんまり知らなかったので、ゆきねの家の場所を訊き、
その近くのコンビニで待ち合わせることにした
そこからはもう、舞い上がってしまい
どういうふうにそこまでたどり着けたかは覚えていない
ボクのほうが先に着いた
車を停めて、雑誌を立ち読みして待った
相変わらず雪は降り続いている
しばらくして、入口のドアが開き、外の冷気と一緒にゆきねが入ってきた
「お待たせ、」心なしか頬が紅潮している・・寒かったんだね
「ビール買っていこ、ミノルさん何が好き?」
「おれ、モルツが好きだな」「じゃ、それにしよ」
ビールを抱えてゆきねの部屋へ向かった

ライク・ア・サブタレイニアンズ4

2012-01-13 15:04:49 | ライク・ア・サブタレイニアンズ1
そうしてボクとゆきねは 一緒に遊ぶことはなかったけれど、
なんとなく友達になっていった

あの、地下にあるクラブでもよく
顔を合わせるようになっていたんだ
いつものように、いつものメンバーで
酒を飲みながら怪しげなロック談義を
繰り返していた
そんな日だった、ボクは言った
「ねぇ、ライヴやるんだけどチケット買わない?」
「あたし、行ってみたいな」「好みに合わないかもよ」ってボクは言う
「いいの、ミノルさんのバンド観たいから」
結局、チケットを買ってくれた
それからボクとゆきねはメールアドレスを交換した
それ以来、ライヴのお知らせをメールするようになった
ゆきねは、欠かさず来てくれた

しばらく、ボクたちの距離は、
近づくことも離れることもなく日々は過ぎて行った