いよいよ2014年 みみ爺の旅が始まる。まずは今年も春にふさわしい房総半島だよ。今回はJR内房線の佐貫町からスタートするんだ。コースをざっと紹介するよ。
JR内房線佐貫町→宝竜寺→林道鬼泪山線→マザー牧場→林道鹿野山線→上郷台→林道高宕線→三島湖→林道奥米線→林道香木原線→片倉ダム→林道片倉三石線→三石山観音寺→表参道→亀山大橋→林道坂畑線→林道大福山線→林道月崎大久保線→小湊鉄道月崎

一昨日から昨日にかけて雨が降ったんだ。数日前の天気予報ではずっと晴れの日が続くとなっていたので、本来なら昨日行くはずだったけれど、一日出発を延ばして正解だったよ。年金生活者はお金には不自由しているが、こういうことでは強みだね。
朝の暗いうちに起きて新聞を取りに外へ出てみたら空には星が散らばっていたんだ。“よし!”思わず口から出たよ。ただちょっと心配だったのは高宕林道のことだ。ネットで調べるとそこはかなり危険な林道で、雨のあとはやめた方がいいというんだ。
<鬼泪山林道>

いい天気だね。ここは佐貫町駅だよ。みみ爺の相棒はしばらくの間輪行袋の中で冬眠していたんだ。きのうタイヤの空気圧などのチェックはしたんだけれど、やっぱり長いことほったらかしにしといた罰で、組み立てていく手順を忘れてしまったよ。それでもどうにかこうにか、まごつきながら無事に組むことができたよ。 時間は9時前だ。
さて、駅前から国道465号を少し走り、国道127号にぶつかるところにあるミニストップで、水と食料を買い、フロントバッグに無理矢理押し込んで、出発したよ。いつも無理に押し込むものだから、せっかくの自転車旅の定番“あんぱん”が変形しちゃうんだ。
ミニストップからは県道163号を進んでいくんだよ。県道に入ると車はほとんど通らなくなった。
気温はちょうどいいね。暑くなく寒くなく、ペダルをこいでいると風が心地いいよ。おや、鶯が鳴いたよ。いいなあ。今日の旅はきっと素晴らしいものになるぞ。そんな気がするよ。澄んだ鶯の鳴き声が、あっちからもこっちからも聞こえてくる。

菜の花がそこここで咲いているよ。春先ののどかな風景を楽しみながら走って行くと、間もなく宝竜寺だ。

宝竜寺の前にあった水場だ。白雲水と書いてある。山の水はやっぱり冷たくておいしいね。

水場の正面にこれから走って行く鬼泪山林道の入口があるよ。いい雰囲気だなあ。ワクワクするよ。ここからが今日の本当の旅の始まりだね。

道は少しずつ山の中に入って行くよ。遠くに見えるのが鬼泪山とか鹿野山とかなんだろかね。心が安らぐ風景だよ。カエルがしきりに鳴いている。
さて、いよいよ林道は山の中だ。かなりきつい上りだよ。頑張ろう。
この林道はマザー牧場までずっと上りなんだ。

左手は支線だよ。
やっぱり林道はいいなあ。静かだなあ。平日だから、今日は林道独り占めだね。ほら、輪郭のはっきりした鶯の声が遠く近く聞こえるよ。気持ちがいいなあ。
…それにしてもきつい上りだよ。

この辺りは最近舗装されたのかなあ。ずいぶんきれいなコンクリート舗装になってるね。静かな杉林の中を上って行くよ。

全舗装された林道かと思っていたら、途中からいきなりごろた石のダートに変わったよ。しかもかなりの急勾配だ。
うわっ、これはたまらん。とてもペダルをこげる状況じゃないね。ひっくり返る前に押すことにしたよ。

ガレガレの急勾配を、しばらく相棒を押して上って行くと、勾配は相変わらずきついが、ガレた路面が少し落ち着いてきたので、ふたたびペダルをこぎ出したよ。ふらつきながらもなんとか上って行くことができたけれど、時々後輪がズルッと空回りするんだ。地図上ではこの辺りは古屋敷となっているよ。

だいぶ走りやすくなってきたね。林道はいいけど、上りはやっぱりきついよ。また少し押そうかね。
ピークを越えてダートを下り、またゆるやかに上って行くと、左手に広々とした牧場が現れた。馬が草を食んでいる姿が眺められる。

やっと鬼泪山林道の終点だよ。目の前は県道93号だ。左へ行くよ。この辺りはすでにマザー牧場だが、入口はもう少し先だ。

県道からの眺めだよ。房総の山々は低いけれど、明るくていいね。
県道を気持ちよく下って行くよ。マザー牧場のまきばゲートはもうすぐそこだ。
<鹿野山林道>


マザー牧場のまきばゲートを入ったけれど、ちょっとわかりにくく、係員にたづねてなんとか林道の入口に着いたよ。


鹿野山林道はほとんど下りだよ。嬉しいねえ。しかも全舗装されているらしい。一つ目のトンネルの中は真っ暗だ。

トンネルを過ぎたところで通行止めの標示があったよ。崩落個所があるらしい。気を付けよう。

上から倒れ落ちて道をふさいだ木の向こうに、崩落個所があった。道が半分ほどザックリとえぐられて無くなっているよ。お~こわ。

崩落現場から恐る恐る下をのぞくとこんな具合だったよ。

明るい房総の山々だ。いいなあ。天気もいいし最高だね。

少し上り返したところでまたトンネルだ。鹿野山林道2つ目のトンネルだね。写真は出口の方だが、“かのうさんとんねる”と書いてある。

切りとおしの間を通って、どんどん下るよ。気持ちいいねえ。
鹿野山林道の終点だ。

この通行禁止の道を、国道465号の九十九トンネルを迂回するように上って行く。
通行止めの表示は、今度の旅ではとにかくいたるところにあったね。車の進入を防ぐためだろうが、ハイカーや自転車なら問題なく通り抜けることができるよ。自転車はいいねえ。


迂回して出た国道465号だよ。そしてすぐそこに平田トンネルの入口が大きく口をあけている。後ろには九十九トンネルの入口が見えるよ
平田トンネルを迂回する道を行こうと思ったが、こちらは鉄柵の扉で厳重に閉ざされていて立ち入ることができない。ちょっと惜しいが仕方がないね。国道のトンネルは安全のために歩道を走ることにした。平日のせいか車の数は少なかったけれどね。

車のほとんど来ない国道を下って行くのは気持ちがいいよ。スピードがぐんぐん出るね。

根形台というところで右へ曲るんだ。林道っぽい近道だよ。8%と書いてある急な下り坂だね。この道を抜けてまた右へ曲ると上郷台だ。

上郷台の分かれ道だよ。左のひろい方を行くと再び国道に出てしまう。ここは右の坂を上って行く。ここからいよいよ今日一番の難所、高宕林道へ向かうんだ。
<高宕林道>


上郷台の分かれ道から少し行くと、右手にお地蔵さんがいたよ。無事に高宕林道を通過できますようにと手を合わせて出発。


船塚というところまで一気に下って、そこからは上りだよ。さあ、道はどんどん上って行く。けっこうきついね。

小さな崩落現場だ。ますます不安が募ってくるよ。昨日の雨で高宕林道はひどいことになっていやしないだろうかね。崖から自転車もろとも滑りおちても、山深い林道だから誰にも発見されず救助もされず、そのまま死んでしまうかもしれない。昨夜は本気でそんなことを思ったりして、それでよく眠れなかったよ。でも、もう後には引き返せないみみ爺なんだ。
それにしても鶯の声がきれいだよ。


さあ、いよいよ高宕林道だ。“危険”の文字が否応なく不安をかきたててくる。このトンネルを出たところから荒れたダートが始まるんだ。

トンネルを出ると、いきなり倒木が道をふさぐように横たわっている。先の大雪で倒れたんだろかね。とにかく倒木、崩落、落石はいたるところで目にしたよ。

急な下り坂だよ。それもかなり荒れている。


そしてトンネルだ。こんなトンネルがこの先いくつも現れるんだ。ぬかるみや水たまりもね。



ガタガタの急な下りで、景色や雰囲気を味わっている余裕はあまりなかったよ。転ばないように走るので精いっぱいだ。


大きな倒木の下をくぐったり、落石の間をすり抜けたり…。

なんとか無事に難所を切り抜け…。

またトンネルだ。おおっ、いいトンネルだねえ。トンネルの中はぬかるんでいるよ。それに壁が崩れている。暗がりで石に乗り上げないように気を付けよう。

トンネルを抜けると沢の水音が聞こえてきた。きれいな流れを眺める余裕が出てきたよ。
そろそろダート区間が終わりに近づいてきたからね。ここまで、大変だったけど、いい林道だなあ、ここは。

ダートの終わりだ。

ここが高宕支線の分岐点だね。
ここからは怒田沢林道ともいうらしい。道は走りやすくなったが、ピークまではかなりきつい上りが続くんだ。

このトンネルがピークらしいよ。ああよかった。ここからは下りだ。

トンネルの向こうにまたトンネルだ。小さなトンネルを3つ4つ抜けるよ。しかも下り坂だ。いいねえ。

最後のトンネルを抜けて間もなく、いきなり明るい田園風景の中に飛び出したよ。怒田沢の集落だね。

田んぼに沿った明るい道を気持ちよく走るよ。田んぼはまだ冬の姿だね。青空が田の水面に映っている。
ああ、なんだかほっとしたね。高宕林道を抜けるまでは、どうなるか気が気じゃなかったよ。かなり荒れた林道だったからね。…でも、通り抜けてしまえば、なんとか通り抜けられるもんだとわかったよ。注意さえしていればそれほど危ないところもなかったね。ああ楽しかった。
それはそうと、今日はペダルのトークリップをはずしてきて正解だったよ。危ないときにすぐ足が出せたからね。トークリップを付けるとカッコいいけど無い方がずっと走りやすいよ。急な上り坂の途中からペダルをこぎ始める時なんか絶対に楽だね。
三島湖へ向かう途中のみちだよ。
<林道奥米線・三間線・香木原線>


おや、清和県民の森の案内図があるよ。現在地がわかるね。



三島湖だ。柔らかな日差しの中に静まっている。ここの桜は、まだいちりんも咲いていないね。

国民宿舎の建物の横、湖畔の石のベンチでお昼の支度を始めたよ。もちろん食後のコーヒーも忘れない。穏やかな日差しがとても気持ちいい。

どこからかノラが出てきて、物欲しそうにニャーニャー鳴くんだ。仕方なくサンドイッチを少しだけ分けてやったよ。それなのに、油断するとほかのものまで持って行こうとするんだ。こんニャーろう!

1時半だ。さあ出発しよう。

奥米隧道は長いトンネルだね。しかも中はカーブしながら上っている。

木と木の間に三島湖の一部、きれいな水面がのぞいているよ。

今度は奥米台隧道だ。このトンネルも長いよ。300メートルくらいあるらしい。

ここからは林道三間線というんだ。

三間隧道と書いてあるね。“サンゲン”じゃなくて“サンマ”と読むんだね。ここからはまたきつい上りだよ。

またトンネルだ。

トンネルが続くね。トンネルの中もずっと上りだ。きついねえ。

林道香木原線の標示があるね。トンネルの先にまたトンネルが見えるよ。今日は本当にたくさんのトンネルをくぐるね。それもいい雰囲気の素朴なトンネルばかりだ。トンネルは大好きだよ。でも上り坂はつらい。

また通行止めだ。これもまた車を止めるためだろうね。ここを抜けないことにはどうしようもない。

林道東山線の分岐点だ。こちらはもっと道が細く心細くなっているね。


またトンネルだ。でも今度は下りだね。トンネルを出てさらに下って行くよ。いいなあ、くだりは。
ここが林道香木原線の終点だね。ここでもまたカエルの声がしきりだよ。

鴨川有料道路の料金所付近だ。ここからは県道24号になる。


県道を片倉ダムの方へ下って行くよ。有料道路に続く道だから通る車はかなりのスピードを出している。車の多い休日なんかは広い歩道を走った方が安全だね。

片倉ダムのある笹川湖の眺めだ。きれいだなあ。

ふるさと物産館だ。休日にはさぞたくさんの人で賑わうんだろうなあ。
<林道片倉三石線・坂畑線・大福山線・月先大久保線>



片倉ダムだ。放水しているところを撮るのにちょっと怖かったよ。カメラを落としそうで。

笹川湖だ。静かな湖だね。房総の湖もなかなかいいもんだよ。山も湖も穏やかだ。


湖畔を離れ、ここから三石山観音寺までは林道片倉三石線を上るんだ。


よく整備された林道だね。斜度はけっこうきついが、走りやすい林道だよ。高度が上がるにつれて、いくらか林道らしくなってきたね。房総の山々がきれいだねえ。
三石山観音寺の山門かね。本堂まで行きたいところだけれど、相棒を一人にしておかなければならないからやめておこう。

ああ、きれいだなあ。


三石山観音寺の表参道を下って行くよ。桜が咲いているね。

やっと亀山大橋に着いたよ。亀山湖の端っこの方だね。ここも今日は穏やかで静かな水面だ。



亀山湖から、最後の長い上り坂だぞ。
林道坂畑線だよ。今日一番のきつい上り坂のような気がするね。疲れてきたからかな。きつい、きつい。長いねえ。それに大きなダンプカーが時々2台ずつ連なって下りてくるんだ。そのたびにこちらは隅っこに止まってやり過ごす。

どうにか林道大福山線まで上ってきたと思ったら、そこからはさらに上りのダートになった。そういえば1年前に通ったね、ここは。

大福山の方へ行くよ。林道大福山線終点の分岐点から折り返すような感じで上って行くんだ。

大福山付近からの眺めだよ。夕方のひっそりとした山々の姿がいいなあ。

いよいよここから今日最後の林道、月崎大久保線だ。房総のどこにでもある同じようなような林道だよ。派手さもなく、しかし素朴で静かな林道だ。こんな林道がけっこう好きだよ。しかも下りだ。




林道大地蔵線の分岐点を過ぎてさらに下って行くよ。

迫力のあるきり通しの間を走りぬける。月崎まで小さなアップダウンはあるけど、だいたい下りだ。下りは最高。




夕方のひっそりとした林道を独り占めにして、月崎までひたすら下って行く。

そろそろ旅も終りだ。たった一日だけど贅沢な旅だったよ。素朴なトンネルをたくさんくぐったし、静かな林道をいくつも走った。穏やかな明るい湖にも出会った。とりわけ変化に富んだ荒れたダートの高宕林道は最高に楽しかったよ。
…でも、ちょっと淋しいね。いつものように旅の終わりはさ。

小湊鉄道の簡素な無人駅、月崎に着いたよ。無事に着くことができてよかった。ランドナー一人旅万歳。5時10分。走行距離約56キロ。
自転車を片付け始めて間もなく上り電車が来た。4,5人のハイカーたちを乗せると電車は発車した。駅にはほかに誰もいなくなったよ。

相棒を袋の中に納めると、急にしんと静まり返った。あたりはすっかり暗くなり、心細くなってきた頃やっと一両編成の電車がやってきたよ。窓に明かりを煌々と点けて。
JR内房線佐貫町→宝竜寺→林道鬼泪山線→マザー牧場→林道鹿野山線→上郷台→林道高宕線→三島湖→林道奥米線→林道香木原線→片倉ダム→林道片倉三石線→三石山観音寺→表参道→亀山大橋→林道坂畑線→林道大福山線→林道月崎大久保線→小湊鉄道月崎

一昨日から昨日にかけて雨が降ったんだ。数日前の天気予報ではずっと晴れの日が続くとなっていたので、本来なら昨日行くはずだったけれど、一日出発を延ばして正解だったよ。年金生活者はお金には不自由しているが、こういうことでは強みだね。
朝の暗いうちに起きて新聞を取りに外へ出てみたら空には星が散らばっていたんだ。“よし!”思わず口から出たよ。ただちょっと心配だったのは高宕林道のことだ。ネットで調べるとそこはかなり危険な林道で、雨のあとはやめた方がいいというんだ。
<鬼泪山林道>


いい天気だね。ここは佐貫町駅だよ。みみ爺の相棒はしばらくの間輪行袋の中で冬眠していたんだ。きのうタイヤの空気圧などのチェックはしたんだけれど、やっぱり長いことほったらかしにしといた罰で、組み立てていく手順を忘れてしまったよ。それでもどうにかこうにか、まごつきながら無事に組むことができたよ。 時間は9時前だ。
さて、駅前から国道465号を少し走り、国道127号にぶつかるところにあるミニストップで、水と食料を買い、フロントバッグに無理矢理押し込んで、出発したよ。いつも無理に押し込むものだから、せっかくの自転車旅の定番“あんぱん”が変形しちゃうんだ。
ミニストップからは県道163号を進んでいくんだよ。県道に入ると車はほとんど通らなくなった。
気温はちょうどいいね。暑くなく寒くなく、ペダルをこいでいると風が心地いいよ。おや、鶯が鳴いたよ。いいなあ。今日の旅はきっと素晴らしいものになるぞ。そんな気がするよ。澄んだ鶯の鳴き声が、あっちからもこっちからも聞こえてくる。

菜の花がそこここで咲いているよ。春先ののどかな風景を楽しみながら走って行くと、間もなく宝竜寺だ。

宝竜寺の前にあった水場だ。白雲水と書いてある。山の水はやっぱり冷たくておいしいね。

水場の正面にこれから走って行く鬼泪山林道の入口があるよ。いい雰囲気だなあ。ワクワクするよ。ここからが今日の本当の旅の始まりだね。

道は少しずつ山の中に入って行くよ。遠くに見えるのが鬼泪山とか鹿野山とかなんだろかね。心が安らぐ風景だよ。カエルがしきりに鳴いている。

さて、いよいよ林道は山の中だ。かなりきつい上りだよ。頑張ろう。
この林道はマザー牧場までずっと上りなんだ。

左手は支線だよ。
やっぱり林道はいいなあ。静かだなあ。平日だから、今日は林道独り占めだね。ほら、輪郭のはっきりした鶯の声が遠く近く聞こえるよ。気持ちがいいなあ。
…それにしてもきつい上りだよ。

この辺りは最近舗装されたのかなあ。ずいぶんきれいなコンクリート舗装になってるね。静かな杉林の中を上って行くよ。

全舗装された林道かと思っていたら、途中からいきなりごろた石のダートに変わったよ。しかもかなりの急勾配だ。
うわっ、これはたまらん。とてもペダルをこげる状況じゃないね。ひっくり返る前に押すことにしたよ。


ガレガレの急勾配を、しばらく相棒を押して上って行くと、勾配は相変わらずきついが、ガレた路面が少し落ち着いてきたので、ふたたびペダルをこぎ出したよ。ふらつきながらもなんとか上って行くことができたけれど、時々後輪がズルッと空回りするんだ。地図上ではこの辺りは古屋敷となっているよ。

だいぶ走りやすくなってきたね。林道はいいけど、上りはやっぱりきついよ。また少し押そうかね。
ピークを越えてダートを下り、またゆるやかに上って行くと、左手に広々とした牧場が現れた。馬が草を食んでいる姿が眺められる。

やっと鬼泪山林道の終点だよ。目の前は県道93号だ。左へ行くよ。この辺りはすでにマザー牧場だが、入口はもう少し先だ。

県道からの眺めだよ。房総の山々は低いけれど、明るくていいね。

県道を気持ちよく下って行くよ。マザー牧場のまきばゲートはもうすぐそこだ。
<鹿野山林道>


マザー牧場のまきばゲートを入ったけれど、ちょっとわかりにくく、係員にたづねてなんとか林道の入口に着いたよ。


鹿野山林道はほとんど下りだよ。嬉しいねえ。しかも全舗装されているらしい。一つ目のトンネルの中は真っ暗だ。

トンネルを過ぎたところで通行止めの標示があったよ。崩落個所があるらしい。気を付けよう。


上から倒れ落ちて道をふさいだ木の向こうに、崩落個所があった。道が半分ほどザックリとえぐられて無くなっているよ。お~こわ。

崩落現場から恐る恐る下をのぞくとこんな具合だったよ。

明るい房総の山々だ。いいなあ。天気もいいし最高だね。

少し上り返したところでまたトンネルだ。鹿野山林道2つ目のトンネルだね。写真は出口の方だが、“かのうさんとんねる”と書いてある。

切りとおしの間を通って、どんどん下るよ。気持ちいいねえ。

鹿野山林道の終点だ。

この通行禁止の道を、国道465号の九十九トンネルを迂回するように上って行く。
通行止めの表示は、今度の旅ではとにかくいたるところにあったね。車の進入を防ぐためだろうが、ハイカーや自転車なら問題なく通り抜けることができるよ。自転車はいいねえ。


迂回して出た国道465号だよ。そしてすぐそこに平田トンネルの入口が大きく口をあけている。後ろには九十九トンネルの入口が見えるよ
平田トンネルを迂回する道を行こうと思ったが、こちらは鉄柵の扉で厳重に閉ざされていて立ち入ることができない。ちょっと惜しいが仕方がないね。国道のトンネルは安全のために歩道を走ることにした。平日のせいか車の数は少なかったけれどね。

車のほとんど来ない国道を下って行くのは気持ちがいいよ。スピードがぐんぐん出るね。

根形台というところで右へ曲るんだ。林道っぽい近道だよ。8%と書いてある急な下り坂だね。この道を抜けてまた右へ曲ると上郷台だ。

上郷台の分かれ道だよ。左のひろい方を行くと再び国道に出てしまう。ここは右の坂を上って行く。ここからいよいよ今日一番の難所、高宕林道へ向かうんだ。
<高宕林道>


上郷台の分かれ道から少し行くと、右手にお地蔵さんがいたよ。無事に高宕林道を通過できますようにと手を合わせて出発。


船塚というところまで一気に下って、そこからは上りだよ。さあ、道はどんどん上って行く。けっこうきついね。

小さな崩落現場だ。ますます不安が募ってくるよ。昨日の雨で高宕林道はひどいことになっていやしないだろうかね。崖から自転車もろとも滑りおちても、山深い林道だから誰にも発見されず救助もされず、そのまま死んでしまうかもしれない。昨夜は本気でそんなことを思ったりして、それでよく眠れなかったよ。でも、もう後には引き返せないみみ爺なんだ。
それにしても鶯の声がきれいだよ。


さあ、いよいよ高宕林道だ。“危険”の文字が否応なく不安をかきたててくる。このトンネルを出たところから荒れたダートが始まるんだ。

トンネルを出ると、いきなり倒木が道をふさぐように横たわっている。先の大雪で倒れたんだろかね。とにかく倒木、崩落、落石はいたるところで目にしたよ。

急な下り坂だよ。それもかなり荒れている。


そしてトンネルだ。こんなトンネルがこの先いくつも現れるんだ。ぬかるみや水たまりもね。




ガタガタの急な下りで、景色や雰囲気を味わっている余裕はあまりなかったよ。転ばないように走るので精いっぱいだ。


大きな倒木の下をくぐったり、落石の間をすり抜けたり…。



なんとか無事に難所を切り抜け…。

またトンネルだ。おおっ、いいトンネルだねえ。トンネルの中はぬかるんでいるよ。それに壁が崩れている。暗がりで石に乗り上げないように気を付けよう。

トンネルを抜けると沢の水音が聞こえてきた。きれいな流れを眺める余裕が出てきたよ。
そろそろダート区間が終わりに近づいてきたからね。ここまで、大変だったけど、いい林道だなあ、ここは。

ダートの終わりだ。

ここが高宕支線の分岐点だね。
ここからは怒田沢林道ともいうらしい。道は走りやすくなったが、ピークまではかなりきつい上りが続くんだ。

このトンネルがピークらしいよ。ああよかった。ここからは下りだ。

トンネルの向こうにまたトンネルだ。小さなトンネルを3つ4つ抜けるよ。しかも下り坂だ。いいねえ。

最後のトンネルを抜けて間もなく、いきなり明るい田園風景の中に飛び出したよ。怒田沢の集落だね。

田んぼに沿った明るい道を気持ちよく走るよ。田んぼはまだ冬の姿だね。青空が田の水面に映っている。
ああ、なんだかほっとしたね。高宕林道を抜けるまでは、どうなるか気が気じゃなかったよ。かなり荒れた林道だったからね。…でも、通り抜けてしまえば、なんとか通り抜けられるもんだとわかったよ。注意さえしていればそれほど危ないところもなかったね。ああ楽しかった。
それはそうと、今日はペダルのトークリップをはずしてきて正解だったよ。危ないときにすぐ足が出せたからね。トークリップを付けるとカッコいいけど無い方がずっと走りやすいよ。急な上り坂の途中からペダルをこぎ始める時なんか絶対に楽だね。

三島湖へ向かう途中のみちだよ。
<林道奥米線・三間線・香木原線>


おや、清和県民の森の案内図があるよ。現在地がわかるね。



三島湖だ。柔らかな日差しの中に静まっている。ここの桜は、まだいちりんも咲いていないね。

国民宿舎の建物の横、湖畔の石のベンチでお昼の支度を始めたよ。もちろん食後のコーヒーも忘れない。穏やかな日差しがとても気持ちいい。

どこからかノラが出てきて、物欲しそうにニャーニャー鳴くんだ。仕方なくサンドイッチを少しだけ分けてやったよ。それなのに、油断するとほかのものまで持って行こうとするんだ。こんニャーろう!

1時半だ。さあ出発しよう。

奥米隧道は長いトンネルだね。しかも中はカーブしながら上っている。

木と木の間に三島湖の一部、きれいな水面がのぞいているよ。

今度は奥米台隧道だ。このトンネルも長いよ。300メートルくらいあるらしい。

ここからは林道三間線というんだ。

三間隧道と書いてあるね。“サンゲン”じゃなくて“サンマ”と読むんだね。ここからはまたきつい上りだよ。

またトンネルだ。

トンネルが続くね。トンネルの中もずっと上りだ。きついねえ。

林道香木原線の標示があるね。トンネルの先にまたトンネルが見えるよ。今日は本当にたくさんのトンネルをくぐるね。それもいい雰囲気の素朴なトンネルばかりだ。トンネルは大好きだよ。でも上り坂はつらい。

また通行止めだ。これもまた車を止めるためだろうね。ここを抜けないことにはどうしようもない。

林道東山線の分岐点だ。こちらはもっと道が細く心細くなっているね。


またトンネルだ。でも今度は下りだね。トンネルを出てさらに下って行くよ。いいなあ、くだりは。

ここが林道香木原線の終点だね。ここでもまたカエルの声がしきりだよ。

鴨川有料道路の料金所付近だ。ここからは県道24号になる。


県道を片倉ダムの方へ下って行くよ。有料道路に続く道だから通る車はかなりのスピードを出している。車の多い休日なんかは広い歩道を走った方が安全だね。

片倉ダムのある笹川湖の眺めだ。きれいだなあ。

ふるさと物産館だ。休日にはさぞたくさんの人で賑わうんだろうなあ。
<林道片倉三石線・坂畑線・大福山線・月先大久保線>



片倉ダムだ。放水しているところを撮るのにちょっと怖かったよ。カメラを落としそうで。

笹川湖だ。静かな湖だね。房総の湖もなかなかいいもんだよ。山も湖も穏やかだ。


湖畔を離れ、ここから三石山観音寺までは林道片倉三石線を上るんだ。


よく整備された林道だね。斜度はけっこうきついが、走りやすい林道だよ。高度が上がるにつれて、いくらか林道らしくなってきたね。房総の山々がきれいだねえ。

三石山観音寺の山門かね。本堂まで行きたいところだけれど、相棒を一人にしておかなければならないからやめておこう。

ああ、きれいだなあ。



三石山観音寺の表参道を下って行くよ。桜が咲いているね。


やっと亀山大橋に着いたよ。亀山湖の端っこの方だね。ここも今日は穏やかで静かな水面だ。



亀山湖から、最後の長い上り坂だぞ。
林道坂畑線だよ。今日一番のきつい上り坂のような気がするね。疲れてきたからかな。きつい、きつい。長いねえ。それに大きなダンプカーが時々2台ずつ連なって下りてくるんだ。そのたびにこちらは隅っこに止まってやり過ごす。

どうにか林道大福山線まで上ってきたと思ったら、そこからはさらに上りのダートになった。そういえば1年前に通ったね、ここは。

大福山の方へ行くよ。林道大福山線終点の分岐点から折り返すような感じで上って行くんだ。

大福山付近からの眺めだよ。夕方のひっそりとした山々の姿がいいなあ。

いよいよここから今日最後の林道、月崎大久保線だ。房総のどこにでもある同じようなような林道だよ。派手さもなく、しかし素朴で静かな林道だ。こんな林道がけっこう好きだよ。しかも下りだ。




林道大地蔵線の分岐点を過ぎてさらに下って行くよ。

迫力のあるきり通しの間を走りぬける。月崎まで小さなアップダウンはあるけど、だいたい下りだ。下りは最高。




夕方のひっそりとした林道を独り占めにして、月崎までひたすら下って行く。


そろそろ旅も終りだ。たった一日だけど贅沢な旅だったよ。素朴なトンネルをたくさんくぐったし、静かな林道をいくつも走った。穏やかな明るい湖にも出会った。とりわけ変化に富んだ荒れたダートの高宕林道は最高に楽しかったよ。
…でも、ちょっと淋しいね。いつものように旅の終わりはさ。

小湊鉄道の簡素な無人駅、月崎に着いたよ。無事に着くことができてよかった。ランドナー一人旅万歳。5時10分。走行距離約56キロ。
自転車を片付け始めて間もなく上り電車が来た。4,5人のハイカーたちを乗せると電車は発車した。駅にはほかに誰もいなくなったよ。

相棒を袋の中に納めると、急にしんと静まり返った。あたりはすっかり暗くなり、心細くなってきた頃やっと一両編成の電車がやってきたよ。窓に明かりを煌々と点けて。
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