Randonneur旅日記

おじいちゃんの自転車一人旅
輪行サイクリングと
のんびりポタリング

星竹林道、大入林道を走ってきたよ       2018年9月23日 日曜日

2018-09-28 09:38:38 | サイクリング・自転車旅
 今日は全国的に晴れるという予報だった。しかし、なかなか雲が取れないよ。青空がほしいけれど、まあ我慢しよう。
 JR武蔵五日市駅の前で自転車を組み始めてだいぶ組みあがった頃、
「おはようございます」
 と声がしたんだ。顔を上げると、今日一緒に走る自転車仲間のIWAさんだ。いつもと変わらない出で立ちで現れた。飾らないその出で立ちのIWAさんがみみ爺は大好きだ。
 9時過ぎ、駅前のコンビニで水とおにぎりを買ってから出発したよ。
 都道31号を400メートルほど進んだところで県道をそれ、平行して続く裏道をいく。

<武蔵五日市→林道星竹線→林道大入線・梅ノ木峠→小沢峠→林道長尾坂野口入線→東吾野>



 車の来ない民家の間を抜けていく。



 なかなかいい道だよ。空を覆っている灰色の雲はなんとなくいやだけれどね。



 彼岸花の季節なんだね。この花を見ると秋が来たことを感じるよ。



 昨日までの雨で、草木も路面もなんとなくしっとりと濡れていて埃っぽさがない。ただ、ちょっと蒸し暑い。



 相変わらず空を覆う雲の下で、山々の姿にも元気がない。



 ただ、秋川を流れる水は澄んでいてとてもきれいだ。



 民家もなくなり、道はいい感じになってきたよ。サイクリングは、やっぱりこういう道でなけりゃあね。



 ここからいよいよ林道星竹線だ。なんとなく心をそそるような、ロマンチックな名前の林道だよ。どんな林道だろうね。



 いきなり急勾配になった。コスモスなんかに気をとられている余裕なんかない。



 力強くペダルを踏むIWAさんのあとから、遅れないように頑張る。 



 ここが林道の起点なんだね。勾配がさらにきつくなってきたよ。



 15%を超える勾配が何度も現れる。
 軽いギアーをつけていないIWAさんはとうとう押し始めたよ。



 みみ爺のランドナーは、リアー32T、フロント24TというMTBなみの軽いギアーをつけているので、なんとかペダルをこぐことはできたが、歩いて押しているIWAさんのほうが早いんだよ。もう見えなくなった。



 少し勾配が落ち着いたと思うと、路面は舗装が切れてダートに変わったんだ。



 道がダートに変わってまもなく、勾配15%を超えるのものすごくきついところが一箇所あった。みみ爺はバランスを崩して足をつき、そこを越えるまでは少し自転車を押したが、そのあとはまた頑張ってペダルを踏み続けた。
 路面がふたたび舗装になったとき、
「ウワーッ、蛇だ!」
 と、後ろのIWAさんが叫んだ。驚いて振り返ると、
「カナヘビです」
「カナヘビなら大丈夫でしょう」
「しかし、前のことを思い出しましたよ」
 前のこととは、去年の9月に西秩父林道を一緒に走ったときのことだ。IWAさんの自転車のスプロケットに、チェーンに挟まれて首が千切れた蛇が絡みついたんだ。千切れた首からは血が滴り、それは本当におぞましい光景だったよ。
 (そのときの記事・「西秩父林道を走ったよ」 2017年9月3日 日曜日)



 さらに少し行くと、今度はみみ爺の目の前に本物の蛇が現れたんだ。
「ウワーッ、蛇だ!」
 みみ爺も思わず叫んでしまったよ。必死で蛇をよけてよろめいた。
 お~怖かった。IWAさんの気持ちがよくわかる。

 道はまたダートに変わる。
 湿ったダートの道を行くよ。





 遠くに五日市の街が見える。もう少し晴れていたら山もきれいなんだがね。



 急勾配のダートの道が続く。なかなか楽しい。





 大きな砂利が少なくなり、勾配も少し落ち着いてきた。ピークの峠は近いようだよ。



 前方が明るくなったと思うと、金比羅尾根に着いた。
 上に架かる橋は日の出山へ続く登山道だ。
 林道星竹線はここまでだね。きついが山深い雰囲気がして、いい林道だったよ。ここから先は林道南沢線となるよ。





 一休みして、さあ下りだ。走りやすい舗装路になっている。



 白く煙ったような街の景色がはるか遠くに広がっている。



 昨日の雨でできた水溜りがときどき現れるよ。昨日はずいぶん降ったからね。



 快適な舗装は切れ、ふたたびダートの砂利道に変わったよ。
 …と、行く手に展望台が現れた。



 まだ新しい展望台だ。雲がなくて、もっと青空だったら、気持ちがよく、すばらしい眺めなんだろうがね。



「つづら折れが見えます」
 とIWAさん。
 展望台から下をのぞくと、これから下っていく急勾配のつづら折れの始まりが見えていた。



 ここは赤土がむき出しになっている。崩落の痕だろうかね。



 ダートの路面は、砂利が細かいので走りやすい。



 しかし、とがった石ころも散らばっている。IWAさんはパンクを警戒して、自転車を降りて歩いて下ってくる。いくらか太めでもロードのタイヤではパンクも考えなければね。



 ダートは抜けたが、今度はガタガタのコンクリート舗装だ。スピードは出せないよ。



 集落が見えてくると、ようやく普通の舗装路になった。IWAさんもホッと一安心だ。





 長閑な集落の中を下っていくよ。





 小さな神社があった。この神社の祭神を調べたら、高皇産霊神、神皇産霊神、いざなぎの神……。
 学のないみみ爺にはどんな神様なのかさっぱりわからん。



 さらに道を下っていく。下り坂はちょっと寒い。



 分かれ道は左へ行くんだね。だいぶ下ってきたよ。



 この先で都道に出るはずだ。
 林道南沢線はダートがあっても走りやすい路面だったね。



 都道へ出て、向側から林道横沢・小机線へ入って行くつもりだったが、なにやら工事中とあり、厳重な二重の柵に塞がれていたんだ。閉鎖されて久しいのか柵の先を覗いてみると、道は草ぼうぼうだったよ。みみ爺はこの林道の横沢地区の山里の景色を見たかったんだが、今回は断念することにした。

 都道31号から184号へ進み、つるつる温泉をめざす。





 青空がちらほら見えてきたが、とても蒸し暑くなってきたよ。





 左手を流れる川では、ところどころで子供たちが水遊びをしていた。





 それほどきつくはないがずっと上りだ。





 つるつる温泉だ。坂の途中でみみ爺たちを追い越して行ったおもしろい形の送迎バスが止まっている。
 少し手前で話を交わした数人の若者たちは、今日はこの温泉に浸かって帰るといっていた。それも楽しいサイクリングかもしれないね。



 いよいよ林道大入線だ。10%を超える勾配がおよそ3キロ続くんだ。場所によっては15%以上のところもある。頑張ろう。



 すぐに勾配がきつくなった。





 山の景色はやっぱりいい。



 軽いギアーを持たないIWAさんはずっと押し歩きだ。岩さんが押し歩きするくらいだから、相当きつい勾配だ。
 軽いギアーを持つみみ爺はなんとかペダルをこぐことができたが、IWAさんの歩く速度の方がずっと早い。少しずつみみ爺との距離が離れていくんだよ。

 

 いかにみみ爺のペダルをこぐスピードが遅いかがわかる。みみ爺の自転車のスピードは時速4キロ前後だ。
 ためしに歩いて押してみたが、すぐにお尻の筋肉が痛くなった。やっぱりペダルをこいだ方が楽だったよ。
 いつの間にかIWAさんの姿は見えなくなってしまった。
 もし、IWAさんの自転車にみみ爺と同じように軽いギアーがついていたら、一体どうなっちゃうんだろう。たとえ45度の角度の斜面だって戦車のようにグイグイ上っていくパワーを出すんじゃないかね。空恐ろしい。





 前方が明るくなってきた。峠は近い。



 梅ノ木峠だ。









「きつかったですね。私は今までで一番きつかったですよ」
「私も一番きつかったですね」
 と、IWAさん。
 剛脚の岩さんが言うんだから、本当にきつい上りだったんだね。みみ爺、よく頑張ったよ。

 ここで買ってきたおにぎりを食べながら一休み。
 IWAさんの先に見えるのは梅ノ木林道だが、今回はこちらへは行かない。



 御岳山から日向和田方面へ向かうハイキングの方たちが、自転車で上って来たみみ爺たちをすごいすごいと言う。自転車で山に上ってくると大体みんなそう言う。しかしこちらは、そんなにすごいことだとは感じていない。なぜすごいと言うのかわからない。なので返事に戸惑う。



 一休みした後、今度は同じ大入林道を軍畑の方へ下っていくよ。
「ゲートが閉まってますよ」
 とIWAさん。
「自転車は大丈夫です」
 ゲートの脇からみみ爺が先に入っていく。IWAさんはちょっと心配そうだ。



 山の北側で路面はかなり湿っていて、ところどころ苔に覆われている。しかもかなりきつい勾配の下りだ。
 苔を踏んで、タイヤをとられないように気をつけよう。





 ブレーキレバーを握る手が痛くなるほどの急勾配だよ。









 とくに、濡れた路面のカーブはスピードを落とそう。



 路面を水が流れているよ。



 ようやく出口のゲートだ。下りはあっという間だったね。でも楽しかったよ。





 さらに道を下って、まもなく都道45号・吉野街道に出る。





 多摩川の軍畑大橋を渡る。悠々と流れる多摩川はきれいだ。





 前方の赤い鉄橋は青梅線だね。青梅線は複線かと思っていたけど単線だったんだね。



 鉄橋の下を通って県道193号を上っていくよ。





 ピークの切り通しだ。いい感じに苔むした壁面だよ。



 一下りして、この先を左折すると、まもなく松ノ木トンネルだよ。



 多少交通量があるので、長めのトンネルはいやだね。車やバイクの爆音が、トンネル内に反響して恐ろしい。



 松ノ木トンネルを出て、都道53号・成木街道を小沢峠へ向かう。
 左手に成木川が心地よい水音を立てて流れている。上り坂でも気持ちのいい道だよ。







 流れや景色を楽しみながら上っていく。





 小沢峠の手前約500メートルほどは勾配10%くらいあり、ちょっときつめだ。軽いギアーを持たないIWAさんは、しかしここではガンガン上っていく。みみ爺は一人でトボトボ後を追う。
 峠のトンネルの手前で待っていてくれたIWAさんの顔には余裕の笑みが浮かんでいたよ。これが老年と壮年の違いだね。



 トンネルを抜けて下ると、入間川に出た。







 県道70号・飯能下名栗線をしばらく行く。





 原市場というところで県道をそれて裏道へ入る。
 車が来ないので走りやすい静かな道だよ。





 右手には入間川が流れているよ。



 川に面した、あの地下室のようなところは何に使われているんだろう。つまらないことが気になる。



 もう、コスモスの季節なんだね。いい道だなあ。



 あれあれ、通行止めかな?
 いやいや、「四輪自動車は通行できません」と書いてあった。ちょっとワクワクする道だね。



 いい雰囲気の道だなあ。







 右手のがけ下には入間川のとても静かに流れる川面が光っているよ。



 この道は、みみ爺にとっては今日一番に好きな道になるかもしれない。距離は500メートルほどだけれど、本当にステキないい道なんだ。みみ爺は感動のあまりちょっと興奮してしまった。

 年をとると、次第に物事に感動するということがなくなってくるという。感動することがなくなれば、人生に未練を残すことなく終わりを迎えることができる。そのほうが楽だろう。
 しかしみみ爺は、なかなかそうはなりそうもない。今、この道に出会い、子供のように感動している。年をとって感動することがなくなるなんてことが本当にあるだろうか。みみ爺は死ぬまで旅に感動し続けるかもしれない。そして、未練たらたら終わりを迎えるような気がする。死にたくねえ、死にたくねえなんて哀れにもみっともなく叫びながら。
 …いやいや、物事に感動できるということは、まだまだ長生きするということかもしれないねえ。うふふ。





 ふたたび県道へ戻り、鼻の欠けた「新寺地蔵尊」のところから県道350号へ。
「このお地蔵様はどんなご利益があるんですか」
「私にもよくわかりません」



 さあ、今日最後の上り坂だよ。林道長尾坂野口入線だ。長い名前の林道だね。
 上り坂の距離は約1.6キロ、勾配は8%ほどだ。



 とくにどうということもない林道だね。



 ちょっと頑張ったら峠についてしまったよ。峠は天覚山へ続く登山道と交差している。



 今日最後の下り坂を楽しもうかね。







 車が来ないからちょっとだけスピードを出して下る。下りはやっぱり気持ちがいい。







 あっという間に東吾野の町だ。



 小さな無人駅に到着。4時40分。
 お疲れさん、みみ爺。曇っていたけれど雨が降らなくてよかったね。
 そしてIWAさん、一緒に走っていただきありがとう。お疲れ様です。

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福満寺へ行ってみたよ              2018年8月30日 木曜日

2018-09-02 11:50:17 | サイクリング・自転車旅
 一時涼しい空気に包まれ、秋の気配を感じたけれど、ふたたび暑さが戻ってきたよ。しかし、7月から 8月半ばにかけての殺人的な猛暑ではない。熱中症のニュースも少なくなってきた。
 先日、弘誓院という寺を見つけて気をよくしたので、今日は福満寺という、手賀沼西南岸の台地に囲まれた天台宗のお寺を訪ねてみようと思ったんだ。
 大津川の、手賀沼に近い二子橋のところから行く。



 空にはうっとうしい雲がかかっている。蒸し暑い。



 この道を上っていくと台地の上に出るよ。民家や畑が普通に見られる高台だ。



 そうした畑のはずれ、こんもりと茂った樹木の根方に「車の前五輪塔」というのがあったんだ。



 「車の前」とは、平安時代、一時この地を支配した平将門の側室の名前だという。
 この地域には平将門ゆかりの史跡などが多い。歴史に疎いみみ爺はもちろんよくは知らないけれど、平将門は他の国司たちと異なり厳しい税の取立てもせず、農民たちにも人気があったらしい。将門の乱は、そもそも地方の状況を無視した貴族政治への反抗でもあったという。今も残る将門伝説や史跡の数々は、民衆の人気が彼に集まっていたことを物語っているのだろうね。







 車の前五輪塔からさほど遠くないところに、今日の目的の福満寺はあった。



 教永山福満寺というんだね。福満寺は奈良時代の創建と伝えられる古刹だ。
 時代を思わせる深みのある落ち着いた感じの山門だ。いや、鐘楼門というのかな。二階が鐘楼になっている。「大井の晩鐘」とも呼ばれているそうだ。





 門の前には5体の如意輪観音像があるよ。ここでも念仏講が広く信仰されていたんだね。





 楼門を抜け、急な坂を下っていく。



 小さなお堂がたくさん並んでいるよ。





 六地蔵だね。







 六地蔵の両脇には、上部に観音坐像の刻まれた古い燈籠(?)が立っている。





 この寺へ来て、みみ爺が一番目をみはったのは、境内の山の斜面に所狭しと並んでいる小さなお堂の数々だよ。これだけたくさん並ぶと実に壮観だ。









 准四国八十八ヶ所のお堂なんだね。だからお堂は88あるんだ。



 境内にはほかに馬頭観音堂や太子堂、それに金比羅大権現などもあるよ。





 また、みみじいは知らないが、この地では有名人だったらしい日暮玄蕃の墓があった。
 なんでも、日暮玄蕃とは、水戸街道の小金宿(松戸市)に水戸家の本陣・水戸御殿があり、そこを世襲で管理していた人物だそうだ。



 観音堂だね。こちらには聖観音菩薩像が安置されているという。幾多の火難を逃れたことから「火防観音」とも言われているそうだよ。見てみたいなあ。



 観音堂の回廊左手には、こんな仏像が4体。



 小さな鳥居と朱色の欄干の太鼓橋。



 弁天池と弁財天。





 これが福満寺の本堂だね。堂々としているよ。





 境内にはまたこんな霊石があった。



 竹林に囲まれた、とても静かな福満寺だったよ。来てよかったね。





 手賀沼の暑い自転車道をいつものように走って家に帰って行く。





 まだ厳しい残暑の中、早くも稲刈りが始まっている。秋も近い。

コメント (4)
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