Randonneur旅日記

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“白鳥の郷”へ行ってみた                    2018年12月14日 金曜日

2018-12-15 09:10:53 | サイクリング・自転車旅
 よく晴れた北風の寒い朝だ。
 今年の春先にここへ来たときには、白鳥たちはすでに北へ帰ってしまった後で一羽も見ることができなかった。それでずっと気になっていたんだ。

 いるいる!たくさんいるよ!もう、北からやってきたんだね!





 白鳥は、コハクチョウというそうだ。白鳥たちにまじって、たくさんのカモもいるよ。





 先端の黒いくちばしと小さな目がとてもかわいい。





 カモたちと仲よく水に顔を突っ込んでえさ探しだろうか。





 ハクチョウたちを見ていると寒さも時間のたつのも忘れてしまう。いつまで見ていても飽きないよ。癒されるねえ。



 あっ、飛び立つ!





 きれいだなあ。優雅だなあ。

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小江戸佐原へ                         2018年12月8日 土曜日

2018-12-12 13:08:27 | サイクリング・自転車旅
 自転車仲間のIWAさんに誘われ、佐原へでかけたんだ。
 最低気温4℃という寒い朝だったよ。待ち合わせの場所の“道の駅やちよ”に着くと、今日一緒に走るBさん、IWAさん、金ちゃんの三人はすでに来ていた。みみ爺は金ちゃんとは初対面だよ。
 一休みしてすぐに出発したんだ。天気は、予報では晴れると言っていたのに、空は一面厚い雲に覆われていて、景色はとても寒々としているね。
 阿宗橋から船戸大橋まで新川沿いに続く農免道路の風景だよ。



 船戸大橋の手前から師戸川沿いの細い谷津道を行く。晴れていれば紅葉もきれいなんだろうが、実に寒々と荒涼とした眺めだね。



 先を行くBさん、IWAさん。
 きんちゃんはみみ爺の後ろだ。



 どこまで行っても日が差してくる気配はない。



 曇り空の先に筑波山がくっきりと見えているよ。向こうはいくらか晴れているようだよ。



 北印旛沼のモモイロペリカンのカンタくんに会ったよ。



 カンタ君を初めて近くで見たが、とても大きい鳥だ。
 そもそもモモイロペリカンは体長1.6メートルほど、羽を広げると3メートル近くなるという。寿命は野生で15~25年、飼育下だと50年以上も生きるらしいよ。
 このカンタくんは、ここに住み着いてすでに20年以上になるというからかなりの高齢だ。もしかしたらみみ爺とうまがあうかもしれないね。
 カンタくんはいつも漁師さんのこの船の上で暮らしているらしいよ。
 ペリカンはもともと人懐っこい性格だそうだ。それだからだろうか、カンタくんは人が近づいても逃げるとか警戒するとかもなく、まったく意に介していない様子だ。
 近くで作業をしていた漁師さんの話では、
「えさは自分じゃ絶対に獲らない」
 と。
「あっちこっち勝手に飛び回っているけれど、えさは絶対に自分で獲らないんですよ」
 自分でえさを獲らないカンタくんは漁師さんに食事をいただいているわけだが、高級魚を遠慮なくバクバク食べるそうだよ。
 カンタくんは広い印旛沼で、上げ膳据え膳のうえ、まさに自由奔放に生きている。
「カンタくんは殿様みたいですね」
 と誰かが言う。本当にそのとおりだ。
「タバコを吸おうと思って火をつけると、取られちゃうんですよ」
「いたずらですね」
「そうなんです。かまってもらいたいんですよ」
 漁師さんはまたこんなことも話してくれた。
「こっちが怒ると、魚倉に逃げ込んでしまうんですよ。こっちはそこに入れないから、そこに隠れちゃう。そこで、漁で獲った魚を食べちゃうんです」
 このカンタくんは漁師さんにとって、いたずらで手のかかる天真爛漫な弟か、あるいは、ほおって置けないほどかわいい悪友と言ったところか。漁をするときは一緒に船に乗っていく。いたずらはする。気ままに遊びまわる。えさは自分で獲らない。



 それにしても今日はとても寒い。印旛沼を覆う重い灰色の雲。




 ここは県道161号線沿いの、坂東三十三観音第28番、滑河山龍勢院だよ。慈覚大師円仁が開山したと伝えられる古刹だ。ここの滑河観音は十一面観音だそうだ。





 国指定の重要文化財の仁王門は茅葺きだよ。立派だね。左右の内陣には仁王尊が睨みをきかせている。





「お祈りしておいたほうがいいですよ」
 と、仁王門の前でニコニコとうれしそうにIWAさんが教えてくれた。



 みみ爺はしっかりお祈りしたよ。



 銅葺きのみごとな本堂だね。



 これは、銅の鋳造製の宝篋印塔だ。千葉県の有形文化財だそうだよ。



 寒空の下を黙々とペダルをこぐBさん。成田線に沿った、いやになるほど退屈で真っ直ぐな長い道だよ。



 
 1時半にようやく佐原駅に着いたよ。きれいな駅だね。



 駅前には伊能忠敬の像があるよ。



 ちょっと遅い昼飯をいただく。豚肉の産地だけあって、やわらかくておいしい肉だったよ。



 食事のあと、江戸の風情漂う小野川べりの道をた訪ねる。
 こんな寒空の下でも観光客はそこそこいたよ。



 佐原に来たら誰もが訪れる有名な場所だからね。







 みみ爺は香取神宮にも行ってみたかったけれど、日暮れが早いので時間がないからやめようということで、駅に近い観福寺という真言宗の古刹を訪ねることにしたんだ。
 観福寺の門の先は暗く、ちょっと恐ろしいような雰囲気が漂っていたよ。



 しかし門をくぐってみると、石段の先にみごとな紅葉が目に飛び込んできたんだ。





 ああ、いいカメラがほしいなあ。実際はもっともっときれいだったんだ。みみ爺のカメラではこれが精一杯だ。





 安物のカメラだけど、これはきれいだね。





 境内はとても広い。荘厳な空気に包まれた空間だよ。





 建物の配置が非常に立体感のある境内となっている。





 実に立派な本堂だね。





毘沙門堂、鐘楼、観音堂。







 不動堂、大師堂。
 すべてのお堂が静かで厳かな雰囲気を漂わせている。





 観音堂で見事にろうろうと般若心経を唱えているBさん。その後ろで神妙に拝むIWAさん。
 Bさんは坊さんのアルバイトもできそうだよ。



 三界万霊塔の左右には、地蔵菩薩、観音菩薩がある。



 伊能忠敬の墓がある。しかし、こちらには髪と爪が納められているだけだそうだ。遺骸は浅草の源空寺に葬られているという。



 みみ爺は観福寺のすばらしさにすっかり打ちのめされてしまった。こんなに立派な寺が近くにあったとは驚きだったよ。

 観福寺を出て、まだすこし時間がありそうだったので、近くの荘厳寺へよってみた。
 寛永18年(1641)の創建の古刹だ。もともとは観福寺の末寺だったらしい。
 境内には、国重要文化財の十一面観音立像が安置されている。木造で身の丈3.25メートルもある大きなものだそうだ。





 境内にはそれぞれ名前の書かれた石仏が並ぶ。









 門前にあった展望台からの佐原の町の眺めだよ。
 今日は結局一日寒い曇り空だったね。



 きれいな紅葉を眺めながら、佐原駅へ向かう坂道を下る。



 駅に着いたときは4時を過ぎていたよ。この時季は4時半には日没を迎え、すっかり暗くなってしまう。ちょうどいい時間に駅に着いたね。
 ずっと平地を走ってきたので疲れはしなかったが寒かったよ。
 印旛沼では初めてモモイロペリカンのカンタくんに会い、佐原では訪ねた寺が思いがけなくすばらしいお寺で、楽しいサイクリングだったね。

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御荷鉾スーパー林道へ(その2)  2018年10月28日 日曜日

2018-11-06 08:34:29 | サイクリング・自転車旅
 翌朝、民宿のおかみさんに聞いてみた。
「鹿は鳴きますか」
「鳴きますよ。今朝も鳴いていましたよ。聞こえましたか」
「ええ、聞きました。夜中にも、明け方にも、ひゅう~、ひゅう~と聞こえましたが、あれは鹿の鳴き声ですよね。なんだかとても悲しげに聞こえました」
 夜中にふと目が覚めたとき、布団の中で耳にした遠い笛の音のような不思議な音を思い出す。
「IWAさんは聞こえましたか」
「いいえ、わたしは」
 若いIWAさんは眠りが深かったんだね。
「熊は出ますか」
「熊も出ますよ。鹿やイノシシはしょっちゅう出ます」

 まだ夜が明けたばかりの、宿の窓からの景色だよ。静かな景色だ。
「川の向こうの銀杏が黄色く色付くととてもきれいなんですよ」
 昨夜おかみさんが言っていた銀杏はたぶんあの銀杏だろう。形のいい、きれいな銀杏だね。まだすっかり黄葉はしていないが、十分に見事な美しさだよ。



 朝食だよ。
 定番の鯵の開きが出てくるかとおもったら、新鮮な鮭の切り身が出てきたのでうれしかったね。それに南牧村の名物のしそ巻きもあって、とてもおいしくご飯をいただいたよ。



 さあ、いよいよあこがれの御荷鉾スーパー林道へ出発するよ。とてもよく晴れた朝だ。きっとすばらしい景色に出会えるだろうね。
 民宿の玄関の前でおかみさんに写していただいたよ。



<南牧村(民宿)→大仁田ダム→御荷鉾スーパー林道→児玉>



 本当にいい民宿だったよ。また来たいと本気でおもったほどだ。
 冷たい朝の空気の中を、まずは大仁田ダムをめざしてペダルをこいでいくよ。
 大仁田川の水音が谷間に響いている。道はすこしずつ勾配をましてくるよ。







 青空の下、朝日をあびた山々がすごくきれいだ。左手の少しとがった山は、きっと烏帽子岳だろう。烏帽子岳は特徴のある形をしているよ。



 朝明けから間もない大仁田の集落だよ。古びた橋、そしてひっそりと静まりかえった家々のたたずまい。雰囲気のあるいい景色だね。





 大仁田ダムだ。
 集落を過ぎるあたりから勾配がまして、ダムまでの2キロほどは10%を超えるところもあってちょっとつらかったよ。





 いよいよ林道を上っていく。
 御荷鉾スーパー林道の起点は、南牧村の雨沢からさらに南牧川に沿って県道93号を進んだ勧能というところにあるのだが、今は日が短い季節なので無理をせず、ここから林道に入ることにしたんだよ。



 序盤かなりきつい勾配を上ると、左手にきれいな山の姿が現れた。青空を背に、朝日をいっぱいに受けている。紅葉もちらほら見られるよ。
 あの山は、たぶん三ッ岩岳だろう。



 そしてこちらは南牧村や下仁田方面の景色だ。もう、かなり上ってきたんだね。



 舗装路はダートに変わったよ。勾配はすこし落ち着いたが確実に高度を上げていく。





 日差しは明るく、空気は冷たく、ダートの上りには最適なコンディションだよ。





 沢すじにすっと立つ大きな木が目に止まった。



 昨日の朝の雨で水溜りもできていたよ。



 静かだなあ。山々の景色もすばらしいなあ。いい林道だなあ。







 このあたりのダートは勾配もかなり厳しいよ。10%ほどだ。路面の状態は大きめの石が多く、とてもガレている。
 IWAさんはパンクを警戒して歩き始めた。
 IWAさんの自転車はブロックタイヤをはいていたが、リアのタイヤがかなりすりへっていたんだ。
「そろそろ替えようとおもっていたんです」
 みみ爺も、大きな石ころに乗り上げてともするとバランスを崩しそうになるので、自転車を押すことにしたよ。
 しばらくは二人とも自転車を押して歩いたが、IWAさんの歩く速さはみみ爺よりはるかに速いんだ。みみ爺は時速3~4キロ、IWAさんは5~6キロのスピードだよ。どんどん距離が広がっていくんだ。



 山の形が奥武蔵や秩父辺りとは違うね。ゴツゴツしていてとても力強い山容だよ。
「房総の山とは全然違いますね」



 トンネルだよ。このトンネルを抜ければ塩之沢峠への下りになるのだろうか。



 トンネルの出口の方は日があたっていて、紅葉が輝いている。



 トンネルから先は下りになるのかと思ったら、ダートのままなおも上りが続くよ。
 しかし落葉や紅葉が最高にいい雰囲気だ。空気もとてもひんやりとしていて気持ちがいい。





 ようやく舗装路に変わったよ。長く厳しいダートだったっよ。



 久々の舗装路の下りはじつに快適だよ。



 垂直に切り立った崖を、真下から写したんだ。青空と紅葉がすばらしい。
 頭上に垂直に立った崖はすごい迫力だよ。



 どこを見ても日ざしと紅葉がいっぱいだ。



 ここが塩之沢峠だよ。正面の道は“西上州やまびこ街道”で、南牧村、下仁田へ下る道だ。スーパー林道は右手へ上っていくんだよ。



 塩之沢峠からこのトンネルまでのおよそ600メートルはいくらかきつい勾配だったが、そこからの勾配はすこし落ち着いたよ。



 途中の景色を楽しむ余裕もうまれた。





 秩父方面の二子山や両神山も遠く望むことができたよ。





 真っ赤な紅葉が美しい。



 林道から急勾配のコンクリート舗装の道を上がったところにある御荷鉾スーパー林道展望台からの景色だよ。まさに絶景だね。秩父の山々から山梨方面の大弛峠の方まで見渡せる。すごい展望だ。





 マウンテンバイクで来ていた若者に写してもらったよ。



 展望台から林道へもどる道だが、やっぱりかなりの勾配だったね。みみ爺は上ってくる途中で力尽きて自転車を押してきたんだよ。



 快適な舗装路を行く。





 木でできた砂防ダムだよ。



 ここは10年ほど前の台風で大崩落したところだ。舗装路が跡形もなく消えている。ここからの展望は、先ほどの展望台からのものと比べても負けず劣らずすばらしかったよ。









 崩落箇所を迂回する道はダートだ。



 舗装路にもどるのかと思ったら、ずっとダートのままだったよ。IWAさんはとても速い。すぐに姿が見えなくなる。









 ダートの路面の状態がすこしよくなって、また自転車にまたがる。





 杖植峠付近だ。標高1477メートル。このへんが御荷鉾スーパー林道のピーク地点だね。



 峠からすこし下ったあたりで、枯葉の上に腰を下ろしてお昼にしたんだ。
 ちょっと大きめのおにぎりと玉子焼きがとてもおいしかった。
 民宿で用意してくれたお弁当には、このほかに黒砂糖のお菓子とアメ、それにペットボトルのお茶までついていたんだ。民宿のおかみさんに大感謝だよ。



「民宿、よかったですね」 
「よかったですね」
「今日はIWAさんにご一緒していただいてほんとうによかったです。私一人ではちょっと自信がなかったんですよ」
 さていよいよ下りだ。時刻は午後2時にすこし前だよ。日が暮れるまであと3時間ほどだ。急いで下ろう。林道途中で日暮れを迎えたらとても危険だからね。



 走りやすいがダートは続くよ。



 小さな展望所があったよ。熊出没注意とある。



 オレンジ色のウインドブレーカーを着た熊さんか?



 木々にさえぎられて展望はなかったよ。



 神流町の標識だ。ここからようやく舗装路に変わるのかな。



 雲が出てきてちょっと心配になったよ。





 これも垂直に切り立った崖を、カメラを上に向けて写したんだ。



 紅葉がきれいだね。御荷鉾林道は今が紅葉のピークかもしれない。



 舗装区間はそれほど長くは続かなかったよ。道はふたたびダートにもどってしまったんだ。



「苔がいい感じですね」
 と、IWAさん。



 落ち葉と紅葉がすばらしい。



 木の枝越しに富岡、高崎方面が眺められたよ。



 ダートの道はまだまだ続くよ。でも走りやすい路面だ。



 公園休憩所だね。



 こちらの管理棟には無料のウォーターサーバーがあるんだ。みみ爺はからになったペットボトルに水を満たさせていただいた。



 それにしても、みごとに色付いているね。



 ダートの下りはまだまだ続くよ。





「形のいい山ですね」
 と、IWAさん。
 たぶん御荷鉾三山だ。手前がオドケ山、左が西御荷鉾山、右奥が東御荷鉾山だね。夕日をあびて、紅葉がすばらしい。



 ようやくダートが終わったようだよ。時刻は3時半を過ぎた。山陰はもう薄暗くなってきた。



 道を急ぐ。





 ここが塩沢峠だね。御荷鉾スーパー林道には、塩之沢峠と塩沢峠と名前の似た峠が二つあってまぎらわしいね。



 山はいよいよ日暮れが迫る。道を急ごう。暗くなる前に林道を出なければね。





 ひたすら下り坂をとばすよ。秋葉峠もそのまま通過だ。





 ここは西御荷鉾山の登山口になっているところだ。“不動明王三叉の鉾”だね。天を突き刺すように立っている巨大な立派な鉾だよ。
 不動明王の足元にも三叉の剣(鉾)が供えられているね。





「現在の標高はまだ1000メートル以上あります」
「ずいぶん下ってきたようですけど、まだそんなにあるんですか」
 と、IWAさん。



 先を急ぐ。林道は刻一刻と暗くなってくるよ。林道を出るまであとどのくらい時間がかかるのかわからない。とにかく暗くなる前にはなんとか林道を脱出したい。



 こんなきれいな山の夕暮れの景色を横目に、ひたすら下って行く。



 後ろから、
「そんなに急がなくても…危ないですよ」
 と、IWAさん。
 しかし、ちょっと心配なみみ爺は急勾配の下り坂をとばす。



 日が落ちるよ。





 美原トンネルを抜けてまもなく、三波川へ下る道へ。



 やっとのことで三波川だよ。いい感じの古い橋があった。





 ようやく県道177号に出たよ。
 暗くなる前になんとか林道を出ることができて一安心だ。



 後はただ児玉駅へ向かうだけだ。
 御荷鉾スーパー林道はほんとうに景色のすばらしい林道だったね。

 ところで、みみ爺は今、五木寛之の「親鸞」という小説にはまっているんだ。
 弟子の唯円が親鸞に語るところがある。
「浄土を憧れる気持ちは本当でございます」「それでも私は、大好きなものがこの世にたくさんあるのです。朝はやくおきて凜とした冷気の中に身をさらすとき、子供たちの無邪気に遊びたわむれる声をきくとき、みずみずしい野菜の色や形を目にするとき、そして美しい女性と出会うとき、わたしはどうしようもなく胸がはずむのを感じないではいられません。やわらかな日ざしをあびて、空の雲の行き来を眺めるときもそうです。寒い日に熱い粥をすするときもそうです。町のにぎわいも、野良犬さえも好きなのです」
 みみ爺はこのくだりにとても感動をおぼえたんだ。
 みみ爺はもうこの年だ、死ぬのがそれほどこわいとは思わない。もちろん浄土や天国があるからと思っているわけではない。そもそも浄土や天国があるとは考えていない。
 死ぬことはそれほどこわいわけではないが、もちろん死にたいわけではない。むしろその逆で、ただただ、いつまでも生きていたい、死にたくないだけだ。親鸞の弟子の唯円が言うように、この世には大好きなものがたくさんあるからなんだ。日の光、風の音、雲の流れ、小鳥のさえずり、舞う蝶、ころげまわる子犬、あたたかい朝ごはん、そして、すばらしい林道。そんな大好きなものに満ちたこの世界から、いつかかならず去らねばならないときが来る。みみ爺はそれがとてもつらい。

 ここは県道299号にある今日最後の坂を上った場所だ。
 眼下を流れる神流川の景色だよ。ほっとした気持ちで眺める川の景色はとてもおだやかだ。



 日はすでに山の向こうに沈んでしまったんだね。



 もうすぐ児玉駅だ。
 今日はほんとうに疲れたけれど、こんなにすばらしい、こんなに楽しい旅はなかったよ。IWAさんにご一緒していただいたおかげだ。
 IWAさん、ありがとう。お疲れ様でした。
 そしてみみ爺もお疲れさん。
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御荷鉾スーパー林道へ(その1)    2018年10月27日 土曜日

2018-11-04 13:47:56 | サイクリング・自転車旅
 夕べから今朝にかけて雨が降っていたんだ。それもかなり激しくだ。天気予報では昼から晴れるというので、信じて家を出たよ。
 天気予報のとおり、高崎についた昼前には雲の隙間に青空も見え隠れしはじめたんだ。明日は秋晴れまちがいなしだよ。
 
 今日は高崎から南牧村まで行くんだ。距離はざっと40キロ。暗くなる前には南牧村の民宿に着くことができるだろう。

<高崎→下仁田→南牧村(泊)>



 一緒に走っていただく自転車仲間のIWAさんが駅の階段を下りてきたよ。いつもと変わらぬいでたちだね。そこに何かホッとさせる人柄が感じられる。



 IWAさんがあらかじめ調べてきてくれた人気店でお昼を食べたんだ。安くておいしい卵とじのカツ丼だよ。さすがに地元の人気店だね。入れ替わり立ち代り客の途切れることがなかったよ。(食べかけで失礼)



 すっかり天気もよくなった。昨夜から今朝にかけての雨がうそのようだよ。
「きっと明日は、天気最高ですね」
「そうですね、最高でしょうね」
 雨上がりでちょっと蒸し暑い。しかしペダルは軽いよ。
 聖石橋だ。遠くに小さく高崎白衣大観音の姿が見えるね。



 市街を抜けるとめっきり車の数がへった。
 空はすっかり晴れて、いくらか涼しく感じられる秋の日ざしが降りそそぐ中を、ゆるやかな勾配で県道203号を上っていく。



「朝の雨がうそのようですね」
「ほんとにすっかり晴れましたね」
 10%近い勾配の坂を700~800メートル上ったところで右手を見ると、白衣大観音の斜め後姿がまじかにそびえていたよ。この有名な観音様は標高190メートルの観音山の山頂にあり、観音像自体は41.8メートルもあるそうだ。



 さらに県道203号を行くよ。紅く色づいた木々もちらほら。その下をIWAさんは力強く上っていく。



 ほんとうに信じられないほどいい天気になったよ。遠く、明日走る御荷鉾山が見えるね。明日が楽しみだ。



 県道171号は車がまったく来ない。旧道ではないが、まるで“旧道”というような雰囲気だ。すごくいいね。





 県道をそれて、右へ細い道を入ると、またいっそう雰囲気がよくなったよ。
「いいですね、この道は」
「いいですね」








 立ち枯れた木の姿が美しい。干してある稲わらが日をあびている。





 上り坂になるとIWAさんが俄然速くなる。というより、みみ爺が遅くなるのか。



 ゴルフ場の横断橋だね。立派なもんだね。ゴルフ場には金があるんだね。



 県道に出たよ。道を少し間違えて遠回りをしたけれど、いい道を走ることができたのでよかった。



 県道10号だ。この辺は富岡市になるんだね。青空の下を走るのはやっぱり気持ちがいいね。



 この川は高田川だ。川北橋のうえから写したものだ。青空を映した小さな水面がきれいだよ。



 しばらくは国道254号を行く。車が多いので、歩道を走ったり車道を走ったり。



 天台宗の施無畏寺という寺の前を通過する。寄ってみたいが車が多く、道路を渡るのが面倒くさい。



 あれは教会の建物だろうかね。比佐理橋北という三叉路だ。



 国道をそれると、下仁田ネギの畑が広がっていたよ。下仁田ネギは他の品種のネギとくらべて太いのが特徴だね。
 ネギ畑の向こうに横たわる山並みがきれいだ。



 国道わきにある“道の駅しもにた”はなにやら工事中だったよ。よってみようかと思ったが、なんとなくやめた。



 国道をはずれると、国道とは違ってとても静かな道だよ。







 ふたたび国道だ。石渕橋の上からの鏑川の景色だよ。



 ここは、はねこし峡というそうだ。下をのぞくと谷がとても深い。



 上信電鉄の2両編成の車両だ。ほかにもいくつかかわいい塗装の車両があるらしい。



 東部大橋からの眺めだよ。午後の日をあびた山と川がきれいだね。



 こちらはまた別の橋だ。牧口橋というらしい。川は南牧川だよ。この川沿いに、今日泊まる南牧村まで行くんだ。



 もうすぐ4時になるよ。日が傾いてきて、夕日に染まる紅葉が美しい。



 しばらくは風景に目を奪われながら、少し急ぎ足にペダルを回したよ。







 山陰にひたひたとよせてくる夕闇に、ひっそりと沈み込むように家々が並んでいる。



 古い橋の向こうには、夕日をあびてきれいに色づいた山と、その背後には明日の天気を想わせる青空があるよ。



 おや、こんな石仏があったよ。



 “道の駅オアシスなんもく”で一休み。
「オアシスとは砂漠にあるものだが、ここは山ばかりだ。なんでオアシスと名をつけたのか意味がわからん」
 IWAさんは道の駅の名前がいささか不服のようだ。





 南牧川を渡って、川の反対側を走ってみる。





 右手は南牧小学校のグラウンドだ。



 ふたたび県道にもどる。村の家々は日暮れを迎えて静まり返っている。磐戸の集落だよ。





 もうじき暗くなる。宿へ急ごう。







 山の村は日が落ちるとたちまち暗くなるね。
 道の先に小さく、とがった岩山が夕日を背にして立っている。大岩、碧岩というらしい。



やっと民宿に着いたよ。どうにか真っ暗になる前に着くことができてよかったね。



 こちらの宿は、ぎりぎり昨夜予約が取れたんだよ。
 ほかにいくつか宿をあたったけれど、すべて断られてしまったんだ。土日の直前だから無理もない。
 こちらの民宿は何度電話をかけてもつながらず、だめもとで、とりあえず名前と電話番号を留守電に入れておいたんだ。
 夜になっても連絡はなく、今回は御荷鉾林道はあきらめようと思っていたところ、9時過ぎになって、留守電に入れておいた民宿から電話がかかってきたんだよ。
「留守にしていてすみませんでした。明日は宿泊だいじょうぶですよ」

 おかみさんは用事で山梨の知り合いのところへ行っていたそうだった。そして昨夜帰ってきたという。
 建物はけっして新しくはないが、中に入ると部屋も廊下も浴室もトイレも、すべて掃除が行き届いていた。そのうえ畳も壁も、まるでリフォームしたばかりのようにきれいだったよ。
「自転車は玄関の中に入れてください」
「ほかのお客さんが入れなくなりませんか」
「だいじょうぶですよ。みんなキャンセルになっていますから」
 さらに、
「せまかったら廊下に上げていただいてもいいですよ」
「いいえ、ここで十分です。そこまでいっていただかなくても、だいじょうぶです」
 とIWAさん。
「たいせつな自転車に雨露があたらないですむのはほんとうにありがたいです」



 おかみさんにビールを注いでいただいて、IWAさんは恐縮しながらも上機嫌だ。



 料理はすべて新鮮な材料を調理したものだった。しかも、品のある味付けと盛り付けでと、てもおいしくいただいたんだ。



 “おっ切り込みうどん”という郷土料理のおいしさは特別だった。山梨のほうとうにも似ていたが、なんとも上品な味だったんだ。このうどんを食べたら、もうすっかりお腹が一杯になってしまって、みみ爺はもちろん体積の大きなIWAさんもお釜のご飯には手が出せなくなったよ。



 部屋は、8畳ほどの広さの部屋がふすまをへだてて二部屋用意されていたんだ。ふすまを開けたとき、そこに二人分の布団が敷いてあってびっくりしたんだ。まさか二部屋も使えるとは想ってもいなかったからね。まさに貸しきり状態だ。民宿の対応はみみ爺たち二人に至れり尽くせりだったよ。
「いびきがうるさいので、絶対に耳栓を用意してきてください」
 来る前にIWAさんはつよく言ってたけれど、布団一組をテレビの置いてある部屋へ移すことで、二人それぞれ別々の部屋で寝ることができたので、いびきはお互いに気にせずに眠ることができたよ。
 夜中に目が覚めたとき、IWAさんのいびきはほとんど聞こえなかった。IWAさんが気にするほどではないようだったよ。
 IWAさんのいびきのかわりに、遠くの方でひゅう~、ひゅう~と不思議な音が聞こえた。それはなんだかとても物悲しい響きで、みみ爺は妙に目が覚めてしまったんだ。何の音だろう。動物の鳴き声のようでもあるし、遠く山の中ので吹く笛の音のようでもあったんだ。なんだろうと考えているうちに、いつかまた眠ってしまった。くるまっている布団は、民宿にありがちなしけっぽさもなく清潔でとても温かかったよ。

 明日はいよいよ御荷鉾スーパー林道へ出撃だよ。
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秋晴れの刈場坂峠へ…みみ爺一人旅       2018年10月21日 日曜日

2018-10-30 07:33:47 | サイクリング・自転車旅
 東武東上線の小川町から出発したんだ。
 すごくいい天気だよ。雲ひとつない。最高の秋晴れだ。



 槻川に沿った静かな道を、遠くの山の景色を眺めながら、のんびりとペダルをまわす。
 道には秋の日差しが一杯あふれているよ。本当に明るい。空気はとてもひんやりとしている。



 矢岸歩道橋からの眺めだよ。笠山や堂平山方面の山並みがくっきりと眺めら
れる。



 この矢岸歩道橋は、以前通りかかったときに、いつか渡ってみたいなと思った橋なんだ。がっちりとしたトラス鉄橋だが、足元は板張りで、隙間からは下に流れる水が見えるんだ。自転車で渡ると、ちょっと心細い感じがしたよ。
 でも、こういう橋を渡るのはなんとなく楽しいね。



 県道とは川を挟んで反対側の静かな道を行く。
 空は青く、日差しは明るく、穏やかな景色が最高だよ。



 山の陰に入ると空気がいっそうひんやりしている。寒いわけではない。とても気持ちがいいんだ。



 すっかり風化した石仏が山陰にかたまっていたよ。



 山陰を出ると、明るい秋の日差しがまぶしいほどだ。



 古びた石の橋を渡り、ここから館川ダムへ向かって緩やかに上っていくよ。



 明るい日差しと、長閑な風景を楽しみながらペダルをこいでいく。







 左右に山が迫ってくると、川の水音がひとしきりだ。



 右手は林道栗山線の入り口だよ。ここを通るのは2度目だ。左の馬頭観音にも見覚えがあるね。今日はここを直進するんだ。



 館川の小さな流れだ。水がきれいだよ。





 館川ダムだ。巨大な砂防ダムのようだね。もう少し近くから写したかったんだが、逆光で、この距離がせいいっぱいだったよ。
 派手なダムではないが、こんな素朴な感じのダムもいい。そして、ここはとても静かな場所だ。いつまでものんびりと休んでいたいようなところだよ。





 ダムから少し上ったところが林道赤木七重線の起点だ。



 けっこう勾配がきついね。





 木々の間にダム湖のきれいな水面が見えるよ。



 通行止めになっているダム東岸の道の崩落の様子が見える。すさまじいね。



 路面には杉の小枝や葉が一面に散り敷いているよ。先の台風で落ちたものだろうかね。
 24号はすごい風だったからね。みみ爺の家の近くでは、電気店の瓦屋根が飛んだ。隣の家のベランダが壊れ、ベランダの柱がみみ爺の家の雨戸に寄りかかっていた。夜中に外がなにやら騒がしかったが、そういう具合だったんだ。



 空気がしっとりしていて、冷たくておいしい。



 やけに静かだよ。ちょっと怖くなって熊除けをぶら下げる。これがいい音色なんだ。





 相変わらず急勾配が続くよ。





 林道赤木慈光線の入り口だ。6月に慈光寺へ向かったときには通ることができた。途中にダートの区間があったが、その部分が舗装されるのだろう。走りやすくなるのはいいけれど、ちょっと淋しいかな。



 碑原峠だ。何も無い山の中の林道のピークだよ。
 ここからは都幾川までしばらくは下りだね。



 七重の集落を急勾配で下っていく。







 県道172号の七重橋から七重川の上流を眺める。この上流には七重砂防堰堤群が見られるよ。(七重砂防堰堤群の写真は「林道栗山線と黒山三滝…みみ爺一人旅」に)



 長閑な都幾川の風景の中を上っていくよ。









 ここは竹の谷バス停の待合所だ。ちょっとおもしろい待合所だね。



 都幾川を流れ下る水の音を聞きながら、少し勾配がきつくなった道を上っていく。





 ここは林道大野峠線の入り口だね。グリーンラインの大野峠まで続いているんだ。



 厳しい勾配が続くよ。林道奥武蔵支線を経てグリーンラインへ接続している道だよ。





 不意に左手が開けた。都幾川沿いの竹の谷集落だろう。



 そこからいきなりの激坂だ。上れるかな。



 22%の激坂区間はほんの数十メートルですんだよ。よかったね。
 しかし、10%前後の勾配はずっと続くよ。









 ロードが下ってくる。すれ違いざま、
「いいですね、ランドナー」
 と声をかけてきたよ。
 みみ爺はちょっと気をよくしてペダルに力をこめた。



 林道奥武蔵支線の起点がどこなのか気がつかなかったけれど、そろそろ終点に近い。



 ここで林道奥武蔵支線は終わりだ。ここからはグリーンラインを刈場坂峠まで行くよ。





 刈場坂峠まではすぐだったよ。



 ここで景色を楽しみながら、インスタント味噌汁とコーヒーつきでお昼をいただく。今日のおにぎりはなんだかいつもよりおいしい。天気がいいせいかな。





 眺望は素晴らしい。







 あれは堂平山の天文台だろう。





 さあ、ここからは奥武蔵グリーンラインの稜線の道を行くよ。



 木立の間に見え隠れする都幾川方面の景色を楽しみながら下っていく。







 杉の植林がきれいだね。



 それにしても紅葉はまったく始まっていないよ。もう少し進んでいるかと期待していたんだが、ちょっと残念だね。







 高山不動尊の茶屋の展望所からの眺めだ。



 杉林の道を行く。きついアップダウンはあるが下り基調だよ。
 いくつもの峠を貫くグリーンラインは、5年ほど前に北鎌湖から上って定峰峠まで走ったことがあるけれど、今日のように逆方向から走った方が楽だよ。下りの距離が長いからね。





 ここは顔振峠だ。
 眺めは最高だよ。山々が重なり合ったその先に富士山の姿も確認することができた。







 おや、杉木立ちの中にちょっといい感じの二重の塔があるよ。
 気になって後で調べてみたら、摩利支天堂というようだ。摩利支天とは、もともとはインドの神様で、ほとけの守護神だそうだ。陽炎を神格化した神様ともいわれる。



 奥武蔵グリーンラインを離れ、林道阿寺線に入るとすぐにこんな景色があったよ。山々の眺望と小さな集落だ。









 集落を過ぎるとひたすら急勾配の下り坂だよ。







 まだ3時半にはならないけれど、山陰に入るとすでに薄暗い。



 ひっそりとした山の中に突然出現する巨大な砂防ダム。その迫力で周囲の静けさがいっそう深まる感じがする。
 山の上のほうには夕日が当たっているよ。日が短くなったなあ。



 もう、すっかり夕暮れの雰囲気だね。





 福徳寺阿弥陀堂の屋根が見える。国の重要文化財だそうだよ。行ってみよう。







 きれいなお堂だなあ。







 福徳寺からは東吾野の駅はすぐだったよ。誰もいない無人駅だ。先月もこの駅から電車に乗ったね。



 さあ、池袋行きの電車が来たよ。
 ヘッドライトを点けて夕暮れの中を走ってくる電車を見ると、なんとなく淋しい気持ちになる。あ~、一日の旅が終わったんだと感じる。
 お疲れさん、みみ爺。楽しかったね。


 
          (つぎはいよいよ御荷鉾スーパー林道だよ。おたのしみに)
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