[一席]
(新発田市・渋谷和子)
〇 村に目立つ外国の人藻屑めく顎に秋陽を溜めて笑みかく
所が新潟だけに、作中の「外国の人」は、中古車購入などの商談があって来日したロシア人と判断される。(笑)
〔返〕 村に目立つ外国かぶれせし人の藻屑蟹めくもじやもじや頭
[二席]
(茨木市・田辺榮一)
〇 korean?と聞かれてすぐにJapanese!強く答える我も外国の人
「すぐにJapanese!強く答える」ところがいかにも日本人らしい。
〔返〕 「korean?と訊くとは何と失礼な!」「正真正銘Japaneseなるぞ!」
[三席]
(横浜市・清水峻)
〇 花のパリさぞや美人がと見回せど美人は真昼うろうろしない
何が花のパリなもんですか!
パリ暮らし8年の友の話に拠ると、「パリの第一印象は、犬の糞尿臭い街だということである。日本と同じように犬に散歩させているパリジャンやパリジャンヌが沢山いるが、彼らと私たち日本人との決定的な違いは、彼らには、自分の飼い犬が仕出かした糞尿の後始末を自分がしなければならない、という意識が決定的に欠けているということである。また、パリの街には煙草の吸殻がやたらに落ちていて、雨の降る日に歩道を歩いていたら、煙草の吸殻で黄濁した水が跳ねてズボンの裾を汚してしまうから、雨天の際の外出は絶対に避けなければならない」とか。
また彼の話を拠ると、「巴里の街頭や地下鉄の車両内には。飛び切りの日本美人を女房にしている自分さえも振り向きたくなるような美人は確かにいる。しかしながら、私は、今の女房を棄てたり裏切ったりしてまでも、彼女たちと結婚したいとは思わないし、同衾したいとも思わない。何故ならば、彼女らの肉体は、パリの街頭を埋め尽くしている犬の糞尿の匂いで染められているのであり、その体臭の酷さといったら、鼻がひん曲がってしまうくらいなのである。パリの女が自分の身体や着衣に香水をやたらに振り撒くのは、そうしなければ糞尿臭くてたまらないからである」とか。
〔返〕 体臭で鼻ひん曲がるパリジャンヌ香水掛けねば人とは会えぬ
犬の糞踏んで歩くも花の巴里セーヌ汚れて入水魂胆(je suis content)
[入選]
(つがる市・松木のり子)
〇 注文を終へたるあとの安心や基地の家族に母国語もどる
木造町の神武食堂に「基地の家族」たちがお客様として訪れ、「注文を終へたるあと」に安心感を抱くのは、食堂側もお客様側も同じことでありましょう。
〔返〕 注文を貰った後の気安さに弥三郎節を歌って歓待
(龍ヶ崎市・倉野いち)
〇 おふくろの味を聞いたらラザニアと答える舌と対峙している
「舌と対峙している」とは、真にシニカルな言い方である。
でも、「おふくろの味がラザニア」と言われたぐらいで驚いたりしてはいけません。
驚く勿れ、私の二人の息子たちにとっての「おふくろの味は生キャベツである」とか。
今の我が国には、「生キャベツにブルドックのとんかつソースをかけたのが、たった一つのおふくろの味だ」と思っている可哀そうな子供が沢山いるんですよ!
〔返〕 おふくろの味を訊いたら冷奴大蒜おろしをたんまり掛けて
(瑞浪市・西尾文夫)
〇 外国の観光客に殊の外おもてなしとて折り紙指導
「外国の観光客」相手に「折り紙指導」とは、「殊の外」に元手要らずの「おもてなし」なのかも知れません。
〔返〕 折り紙は中国製で105円殊の外なるおもてなしなり
(名古屋市・田中稔員)
〇 金髪の人隣席に座したれば我が半身の意識がそよぐ
「金髪」を珍しがっていて、よく名古屋に住んでいられますね?
〔返〕 金髪の美人が隣に座ったら我が下半身自意識過剰
名古屋嬢隣の席に座ったら味噌カツ丼の匂いぷんぷん
(新見市・小川みや子)
〇 ゆきずりにアメリカ人らしき人と会う英語教師かと振りかえりみる
掲歌の作者・小川みや子さんがお住いの新見市は、「岡山県の西北部、吉備高原上に位置する市である。北は中国山地を介して鳥取県に、西は広島県に接する」とか。
「ゆきずりにアメリカ人らしき人」を目にすれば、即「英語教師か」と思うとは、中国山地のど真ん中の新見市民に相応しい素朴な発想である。
〔返〕 ゆきずりのアメリカ娘と出来ちゃってシアトル暮しの友より賀状
(鹿児島市・郷戸格)
〇 中国の友は母国の論を説きかなしくなるほど水餃子食む
喋りたいだけ喋らせている他無し!
〔返〕 自国製水餃子食み自国製論旨ぺらぺら喋り捲って
(新発田市・渋谷和子)
〇 村に目立つ外国の人藻屑めく顎に秋陽を溜めて笑みかく
所が新潟だけに、作中の「外国の人」は、中古車購入などの商談があって来日したロシア人と判断される。(笑)
〔返〕 村に目立つ外国かぶれせし人の藻屑蟹めくもじやもじや頭
[二席]
(茨木市・田辺榮一)
〇 korean?と聞かれてすぐにJapanese!強く答える我も外国の人
「すぐにJapanese!強く答える」ところがいかにも日本人らしい。
〔返〕 「korean?と訊くとは何と失礼な!」「正真正銘Japaneseなるぞ!」
[三席]
(横浜市・清水峻)
〇 花のパリさぞや美人がと見回せど美人は真昼うろうろしない
何が花のパリなもんですか!
パリ暮らし8年の友の話に拠ると、「パリの第一印象は、犬の糞尿臭い街だということである。日本と同じように犬に散歩させているパリジャンやパリジャンヌが沢山いるが、彼らと私たち日本人との決定的な違いは、彼らには、自分の飼い犬が仕出かした糞尿の後始末を自分がしなければならない、という意識が決定的に欠けているということである。また、パリの街には煙草の吸殻がやたらに落ちていて、雨の降る日に歩道を歩いていたら、煙草の吸殻で黄濁した水が跳ねてズボンの裾を汚してしまうから、雨天の際の外出は絶対に避けなければならない」とか。
また彼の話を拠ると、「巴里の街頭や地下鉄の車両内には。飛び切りの日本美人を女房にしている自分さえも振り向きたくなるような美人は確かにいる。しかしながら、私は、今の女房を棄てたり裏切ったりしてまでも、彼女たちと結婚したいとは思わないし、同衾したいとも思わない。何故ならば、彼女らの肉体は、パリの街頭を埋め尽くしている犬の糞尿の匂いで染められているのであり、その体臭の酷さといったら、鼻がひん曲がってしまうくらいなのである。パリの女が自分の身体や着衣に香水をやたらに振り撒くのは、そうしなければ糞尿臭くてたまらないからである」とか。
〔返〕 体臭で鼻ひん曲がるパリジャンヌ香水掛けねば人とは会えぬ
犬の糞踏んで歩くも花の巴里セーヌ汚れて入水魂胆(je suis content)
[入選]
(つがる市・松木のり子)
〇 注文を終へたるあとの安心や基地の家族に母国語もどる
木造町の神武食堂に「基地の家族」たちがお客様として訪れ、「注文を終へたるあと」に安心感を抱くのは、食堂側もお客様側も同じことでありましょう。
〔返〕 注文を貰った後の気安さに弥三郎節を歌って歓待
(龍ヶ崎市・倉野いち)
〇 おふくろの味を聞いたらラザニアと答える舌と対峙している
「舌と対峙している」とは、真にシニカルな言い方である。
でも、「おふくろの味がラザニア」と言われたぐらいで驚いたりしてはいけません。
驚く勿れ、私の二人の息子たちにとっての「おふくろの味は生キャベツである」とか。
今の我が国には、「生キャベツにブルドックのとんかつソースをかけたのが、たった一つのおふくろの味だ」と思っている可哀そうな子供が沢山いるんですよ!
〔返〕 おふくろの味を訊いたら冷奴大蒜おろしをたんまり掛けて
(瑞浪市・西尾文夫)
〇 外国の観光客に殊の外おもてなしとて折り紙指導
「外国の観光客」相手に「折り紙指導」とは、「殊の外」に元手要らずの「おもてなし」なのかも知れません。
〔返〕 折り紙は中国製で105円殊の外なるおもてなしなり
(名古屋市・田中稔員)
〇 金髪の人隣席に座したれば我が半身の意識がそよぐ
「金髪」を珍しがっていて、よく名古屋に住んでいられますね?
〔返〕 金髪の美人が隣に座ったら我が下半身自意識過剰
名古屋嬢隣の席に座ったら味噌カツ丼の匂いぷんぷん
(新見市・小川みや子)
〇 ゆきずりにアメリカ人らしき人と会う英語教師かと振りかえりみる
掲歌の作者・小川みや子さんがお住いの新見市は、「岡山県の西北部、吉備高原上に位置する市である。北は中国山地を介して鳥取県に、西は広島県に接する」とか。
「ゆきずりにアメリカ人らしき人」を目にすれば、即「英語教師か」と思うとは、中国山地のど真ん中の新見市民に相応しい素朴な発想である。
〔返〕 ゆきずりのアメリカ娘と出来ちゃってシアトル暮しの友より賀状
(鹿児島市・郷戸格)
〇 中国の友は母国の論を説きかなしくなるほど水餃子食む
喋りたいだけ喋らせている他無し!
〔返〕 自国製水餃子食み自国製論旨ぺらぺら喋り捲って