「今週のNHK」は、選者があの斉藤斎藤氏で、ゲストがあの上田信治氏である、と聴いてビックリ仰天!
私は、少年時代から今に至るまで、「鳥羽君はクラス一番の美男子だ!」、「鳥羽先生は本校一のハンサム教師だ!」、「うちの亭主は、町内で最たる美顔のジイジだ!」などと言われて、いい気になって暮らしている所為なのか、生れつき不細工な男が大嫌いであり、不細工な男に対する理解の無さは、或いは、私の性格の唯一無二の欠陥なのかも知れないとさえ思っているのである。
あの不細工な斉藤斎藤氏に、あの不細工な上田信治氏が絡んだら、どんなに不細工な場面が展開されるだろうか、とテレビを点ける前から、私は失望していたのである。
ところが、豈図らんや・・・・・・・・・・?
[一席]
(市原市・今別府美江)
〇 驚きの胡瓜の甘さ苗を植え水は天から吾は捥ぎしに
「是がなぜNHK短歌の第一席に?」と、心(或いは、心得)有る人ならば悩みたくなるような意外な選出ではあるが、斯界に名だたる「斉藤斎藤選」とあらば、別次元の話でありましょうか?
選者の斉藤斎藤氏が盛んに推奨し、ゲストの上田信治氏が頷いていた「苗を植え水は天から吾は捥ぎしに」という上の句も、「出鱈目極まりない言葉の斡旋」としか言いようがありません。
選者は、この三句を「長い時間の経過をよく十七音で表し得た」と盛んに褒め讃えていた。
だが、「苗はホームセンターから買って来て植えただけ、水は天から降って来た雨水が当たっただけ、そして私は捥いで来ただけなのに」といった意は、辛うじて読み取れるのであるが、それとて、読み取れるだけのことであり、もう少し別の言い方があろうというものである。
公共放送テレビ・NHK総合は、私たちから集めた受診料を叩いて我が国の伝統文化たる短歌文芸の滅亡を謀らんとしているのでありましょうか?
〔返〕 驚きの選歌の甘さ!脈絡も考えも無く連ねし言葉! 鳥羽省三
[二席]
(渋谷区・鈴木穣)
〇 赤紙が又来ましたと亡き妻がそっと差し出す夢におどろく
是もまた驚きの選歌ぶりである。
短歌関係のあるブログに「彼は私たちファンの期待を大きく裏切り、何処にでも在るような歌を選び、誰にでも口にすることが出来るような言葉で以って褒め上げているが、それではNHK短歌が彼を選者に起用した意味が無いではないか」といったニュアンスの斉藤斎藤選の悪口が書かれていましたが、本作を二席に選んだ「快挙」否「暴挙」こそはまさしくその悪口の正しさを証明するものである。
本作の意は、「赤紙が又来ましたと言いながら、亡き妻がその赤紙らしきものを、私にそっと差し出す夢を見て、私は驚く」、というだけのことであり、命からがら戦地から引き揚げて来た旧軍人らしき作者の発想になる、古いタイプの短歌であり、題材にも表現にも、何一つとして目新しい点は見られません。
また、この短歌を評するに当たって、選者の口から「この作品の中に見られる出来事は、五、六十代以上の人の人たちの経験・・・云々」といったニュアンスの言葉が飛び出していたのも驚きである。
不肖、鳥羽省三は昭和十五年、即ち皇記二千六百年生まれであり、当年取って七十三歳になりますが、未だ曾てただの一度として「赤紙が来て驚いた」といった内容の夢を見たことがありません。
〔返〕 赤線が廃止されたと友は云う友よお前は童貞なのか 鳥羽省三
[三席]
(箕面市・林薫)
〇 蛇に会う三度も出合う真夏日にソフトクリーム謙虚になめる
選者曰く「真夏日の一日に三度も蛇に出逢ったとしたならば、謙虚な気持ちになってソフトクリームを舐めるしか手がありません。」
然り、斉藤斎藤氏としては珍しくもご適切なる評言である。
〔返〕 妻に会う外出先で妻に会う!妻も不倫をしてるのかしら? 鳥羽省三
[入選]
(仙台市・石川のり子)
〇 数あれど不満の一つ呟けば夫は箸止め酒こぼしたり
「常日ごろ貯まる不満は数々あれど」という訳でありましょうか。
〔返〕 募る不満口に出だせば箸止めて酒溢すなむ不実な夫は 鳥羽省三
(江戸川区・松井正多)
〇 おどろいて逃げる蜥蜴が振りむいてぼくも家族になりたいという
本当かどうかは知らないが、「人が来たのに驚いて、蜥蜴が逃げるときは、必ず一度立ち止まって、後ろを振り向いて見るのよね」などと、選者とゲストが語り合っていて、二人とも会心の笑みを浮かべていた。
それにしても、いかにも選者受けを狙ったような「かんたん短歌」である。
〔返〕 驚いて逃げる鼬は走りつつ必ず臭い屁を放つんだ 鳥羽省三
(北区・保苅澄子)
〇 感情のやや錆び付きて大空へ飛べたらきっと驚くだろう
意味不明瞭なところが選者に気に入られたのかも知れません?
即ち「感情がやや錆び付いたのが原因で、私が大空に飛べたとしたならば、誰もがきっと驚くだろう」という意味なのか?
「感情がやや錆び付いたままで私が大空へ飛べたら、私自身がきっと驚くだろう」という意味なのか?
「感情がやや錆び付いたままで私が大空へ飛べたら、周囲の誰もがきっと驚くだろう」という意味なのか?
「感情がやや錆び付いた状態、即ち、部品がやや錆び付いた状態で、飛行機が大空へ飛べたら、世界中の人々がきっと驚くだろう」等など多種多様な解釈が成り立つのである。
したがって本作も亦、「斉藤斎藤選」への投稿作品らしい野放図な表現である。
〔返〕 感覚が錆び付くままの選歌なり斉藤斎藤感覚磨け 鳥羽省三
(調布市・岩崎公一)
〇 清流に小石落とせばおどろきて乱るる魚影のやがて整ふ
観察眼の鋭さと着眼点の佳さが覗われ、言葉の斡旋の宜しきを得た作品であり、朝日歌壇の選者諸氏のお眼鏡にも適いそうな佳作である。
という事は、選者の「斉藤斎藤氏の短歌観は奈辺に在りや?」と疑いたくもなるような選歌であるとも言えましょう。
〔返〕 清流に針を放てばたちまちに岩魚飛び付き釣り師小踊り 鳥羽省三
たちまちに岩魚飛びつき水濁るそれも束の間やがて静寂
(奈良市・福井照子)
〇 四捨五入六十年を共に棲みおどろくことがあと一つ在る
本作を評するに際して、選者の口から「二人のうちのどちらかが四捨五入して六十年という主語の作品である」というニュアンスの解説が為されているのも驚きである。
「夫婦仲良く連れ添ってかれこれ五十数年、四捨五入して六十年を共に棲み、それでも尚且つ、夫(の生活態度や言動や性癖)にはおどろくことがあと一つ在る」という文意ではありませんか。
うろ覚えの知識しか持たないくせして、無用な詮索は止めましょう。
子供や外人に聴かれたら笑われてしまいますよ。
〔返〕 四捨五入五十ポイント以下の思考力それで選歌はとても無理です 鳥羽省三
(福山市・守谷和之)
〇 前腕にオクラをこすりつけてみる産毛同士の未知との遭遇
入選作九首の披講が終わった段階での私の予想(選者が選者であるが故に)では、本作が第一席を占めるだろうと思っていたのであるが、事態は予想外の展開を遂げ、本作は只の入選作となってしまったのであり、お気の毒様としか申せません。
「産毛同士の未知との遭遇」という下の句はともかくとしても、「前腕にオクラをこすりつけてみる」という発想は、真に奇想天外な発想であり、いかにも斉藤斎藤氏好みの着想ではありませんか?
〔返〕 前身頃後ろ身頃が豹柄の伊太利屋ルックの野暮くさ凄し 鳥羽省三
私は、少年時代から今に至るまで、「鳥羽君はクラス一番の美男子だ!」、「鳥羽先生は本校一のハンサム教師だ!」、「うちの亭主は、町内で最たる美顔のジイジだ!」などと言われて、いい気になって暮らしている所為なのか、生れつき不細工な男が大嫌いであり、不細工な男に対する理解の無さは、或いは、私の性格の唯一無二の欠陥なのかも知れないとさえ思っているのである。
あの不細工な斉藤斎藤氏に、あの不細工な上田信治氏が絡んだら、どんなに不細工な場面が展開されるだろうか、とテレビを点ける前から、私は失望していたのである。
ところが、豈図らんや・・・・・・・・・・?
[一席]
(市原市・今別府美江)
〇 驚きの胡瓜の甘さ苗を植え水は天から吾は捥ぎしに
「是がなぜNHK短歌の第一席に?」と、心(或いは、心得)有る人ならば悩みたくなるような意外な選出ではあるが、斯界に名だたる「斉藤斎藤選」とあらば、別次元の話でありましょうか?
選者の斉藤斎藤氏が盛んに推奨し、ゲストの上田信治氏が頷いていた「苗を植え水は天から吾は捥ぎしに」という上の句も、「出鱈目極まりない言葉の斡旋」としか言いようがありません。
選者は、この三句を「長い時間の経過をよく十七音で表し得た」と盛んに褒め讃えていた。
だが、「苗はホームセンターから買って来て植えただけ、水は天から降って来た雨水が当たっただけ、そして私は捥いで来ただけなのに」といった意は、辛うじて読み取れるのであるが、それとて、読み取れるだけのことであり、もう少し別の言い方があろうというものである。
公共放送テレビ・NHK総合は、私たちから集めた受診料を叩いて我が国の伝統文化たる短歌文芸の滅亡を謀らんとしているのでありましょうか?
〔返〕 驚きの選歌の甘さ!脈絡も考えも無く連ねし言葉! 鳥羽省三
[二席]
(渋谷区・鈴木穣)
〇 赤紙が又来ましたと亡き妻がそっと差し出す夢におどろく
是もまた驚きの選歌ぶりである。
短歌関係のあるブログに「彼は私たちファンの期待を大きく裏切り、何処にでも在るような歌を選び、誰にでも口にすることが出来るような言葉で以って褒め上げているが、それではNHK短歌が彼を選者に起用した意味が無いではないか」といったニュアンスの斉藤斎藤選の悪口が書かれていましたが、本作を二席に選んだ「快挙」否「暴挙」こそはまさしくその悪口の正しさを証明するものである。
本作の意は、「赤紙が又来ましたと言いながら、亡き妻がその赤紙らしきものを、私にそっと差し出す夢を見て、私は驚く」、というだけのことであり、命からがら戦地から引き揚げて来た旧軍人らしき作者の発想になる、古いタイプの短歌であり、題材にも表現にも、何一つとして目新しい点は見られません。
また、この短歌を評するに当たって、選者の口から「この作品の中に見られる出来事は、五、六十代以上の人の人たちの経験・・・云々」といったニュアンスの言葉が飛び出していたのも驚きである。
不肖、鳥羽省三は昭和十五年、即ち皇記二千六百年生まれであり、当年取って七十三歳になりますが、未だ曾てただの一度として「赤紙が来て驚いた」といった内容の夢を見たことがありません。
〔返〕 赤線が廃止されたと友は云う友よお前は童貞なのか 鳥羽省三
[三席]
(箕面市・林薫)
〇 蛇に会う三度も出合う真夏日にソフトクリーム謙虚になめる
選者曰く「真夏日の一日に三度も蛇に出逢ったとしたならば、謙虚な気持ちになってソフトクリームを舐めるしか手がありません。」
然り、斉藤斎藤氏としては珍しくもご適切なる評言である。
〔返〕 妻に会う外出先で妻に会う!妻も不倫をしてるのかしら? 鳥羽省三
[入選]
(仙台市・石川のり子)
〇 数あれど不満の一つ呟けば夫は箸止め酒こぼしたり
「常日ごろ貯まる不満は数々あれど」という訳でありましょうか。
〔返〕 募る不満口に出だせば箸止めて酒溢すなむ不実な夫は 鳥羽省三
(江戸川区・松井正多)
〇 おどろいて逃げる蜥蜴が振りむいてぼくも家族になりたいという
本当かどうかは知らないが、「人が来たのに驚いて、蜥蜴が逃げるときは、必ず一度立ち止まって、後ろを振り向いて見るのよね」などと、選者とゲストが語り合っていて、二人とも会心の笑みを浮かべていた。
それにしても、いかにも選者受けを狙ったような「かんたん短歌」である。
〔返〕 驚いて逃げる鼬は走りつつ必ず臭い屁を放つんだ 鳥羽省三
(北区・保苅澄子)
〇 感情のやや錆び付きて大空へ飛べたらきっと驚くだろう
意味不明瞭なところが選者に気に入られたのかも知れません?
即ち「感情がやや錆び付いたのが原因で、私が大空に飛べたとしたならば、誰もがきっと驚くだろう」という意味なのか?
「感情がやや錆び付いたままで私が大空へ飛べたら、私自身がきっと驚くだろう」という意味なのか?
「感情がやや錆び付いたままで私が大空へ飛べたら、周囲の誰もがきっと驚くだろう」という意味なのか?
「感情がやや錆び付いた状態、即ち、部品がやや錆び付いた状態で、飛行機が大空へ飛べたら、世界中の人々がきっと驚くだろう」等など多種多様な解釈が成り立つのである。
したがって本作も亦、「斉藤斎藤選」への投稿作品らしい野放図な表現である。
〔返〕 感覚が錆び付くままの選歌なり斉藤斎藤感覚磨け 鳥羽省三
(調布市・岩崎公一)
〇 清流に小石落とせばおどろきて乱るる魚影のやがて整ふ
観察眼の鋭さと着眼点の佳さが覗われ、言葉の斡旋の宜しきを得た作品であり、朝日歌壇の選者諸氏のお眼鏡にも適いそうな佳作である。
という事は、選者の「斉藤斎藤氏の短歌観は奈辺に在りや?」と疑いたくもなるような選歌であるとも言えましょう。
〔返〕 清流に針を放てばたちまちに岩魚飛び付き釣り師小踊り 鳥羽省三
たちまちに岩魚飛びつき水濁るそれも束の間やがて静寂
(奈良市・福井照子)
〇 四捨五入六十年を共に棲みおどろくことがあと一つ在る
本作を評するに際して、選者の口から「二人のうちのどちらかが四捨五入して六十年という主語の作品である」というニュアンスの解説が為されているのも驚きである。
「夫婦仲良く連れ添ってかれこれ五十数年、四捨五入して六十年を共に棲み、それでも尚且つ、夫(の生活態度や言動や性癖)にはおどろくことがあと一つ在る」という文意ではありませんか。
うろ覚えの知識しか持たないくせして、無用な詮索は止めましょう。
子供や外人に聴かれたら笑われてしまいますよ。
〔返〕 四捨五入五十ポイント以下の思考力それで選歌はとても無理です 鳥羽省三
(福山市・守谷和之)
〇 前腕にオクラをこすりつけてみる産毛同士の未知との遭遇
入選作九首の披講が終わった段階での私の予想(選者が選者であるが故に)では、本作が第一席を占めるだろうと思っていたのであるが、事態は予想外の展開を遂げ、本作は只の入選作となってしまったのであり、お気の毒様としか申せません。
「産毛同士の未知との遭遇」という下の句はともかくとしても、「前腕にオクラをこすりつけてみる」という発想は、真に奇想天外な発想であり、いかにも斉藤斎藤氏好みの着想ではありませんか?
〔返〕 前身頃後ろ身頃が豹柄の伊太利屋ルックの野暮くさ凄し 鳥羽省三