美しい浜名湖の姿
国鉄時代に山の斜面を削って線路を敷設して以来、SLが通過し、多数の乗客や
貨物を運び、経営が代わってからは、気動車が走り、しかも車両のデザインが
塗装からラッピング車に様変わりして、地域の交通機関として多大な貢献を果たして
きたこの路線は、都市や田園地帯の川や野原・湖・山を走り、多くの変遷を見て
きました。
今、通過しようとしている山の斜面からは、集落が並び、小さな広場がグランド
ゴルフ場に変化し、その中心を国道が貫いて、向こうには美しい湖が輝いている
姿が見えるはずです。
引佐細江湖や浜名湖を展望し、天浜線は何を思い何を感じているでしょうか。
春驟雨に煙る猪鼻湖畔
三ヶ日駅の東、猪鼻湖(浜名湖の一部)に注ぐ川を渡る際、TH3000形の
車窓から写した1枚です。
湖面には風はなく、鏡のように静かでした。
遠方の山も霞んで、日本画を思わせる景色でした。
雨雲に覆われた奥浜名湖の夕暮れ
雨雲が空いっぱいに広がり、日暮れが早く訪れた奥浜名湖です。
快晴の時とがらりと変わり、暗い北陸の冬のような印象を受けます。
場所は同じでも、浜名湖は、いろいろな表情を見せてくれます。
秋の静かな湖畔です
秋が深まった頃の 西気賀小学校近くです。
湖畔にはエンジン付きの小さな漁船が、泊まっています。
漁を終えた後の朝も遅い時刻でしょうか。漁夫の姿は、すでに見えません。
隣には釣り糸を垂れる人は見えます。
岸辺には上りのＴＨ２１００形が、気賀駅に向かっています。
目を転じれば、青空の中に淡雲が浮いています。
のどかな湖畔のひと時です。
奥浜名と言われる最北端の湖畔です
引佐細江湖の一番奥、西気賀小学校の近く。浜名湖に生息する魚がこの辺りまで、
北上して来るので、時には舟を出して釣りをしている人の姿が見受けられます。
大きく湾曲している五味半島西の入江です。
西気賀小学校を出て天浜線の踏切を渡ると、すぐに山へ登る急坂が見えてきます。
この急坂を登り切ったところに、稲荷神社の鳥居が待っています。本殿は100段ほどの
石段の上にあります。本殿から見渡すと引佐細江湖から東名そして浜名湖が一望できます
下の写真2枚は、元に戻り、鳥居脇から写したものです。
右の山際には天浜線がはっきりと確認出来て、左手方向には五味半島の入江が迫っています。
天浜線と並行しているのは、国道３６２号線です。
整備された浜名湖のマリーナ
２０年ほど前、プレジャーボートの増加に伴って、湖畔では不法に
係留する人が増え、漁業関係者や湖岸の住民が大きな迷惑を被ることがあり
ました。このため自治体や魚業関係者・警察・自治会・市民代表者などが
対策検討会議を開き、結果、公共マリーナを8か所に造り、浜名湖総合環境
財団が管理指導を行うことになりました。そのマリーナの一つが下の写真です。
そばを通過する天浜線の乗客に、車窓からマリーナが見えても、多分、詳しい
事情を知る由もないでしょう。
雑草の海を通る悲しさ
浜名湖畔は、すべてが風光明媚なところだけでは、ありません。
10年ほど前までは、春は稲田の緑・秋になれば黄金色に輝く稲穂の波に
囲まれていた地域が、いつの間にか休耕田になり、今では荒野に等しい
雑草だけの姿に変わってしまいました。
その背の高い雑草の中を天浜線の車両が通過しているのです。
湖に一番、近い駅
佐久米駅は、浜名湖にもっとも近い駅です。線路の下には、すぐ湖面が広がっています。
ただ、浜名湖の最北端にある上に、奥は盲腸のように行き止まりなので、湖水の流入流失が
あまりなく、湖面はいつも澱んでいます。
そしてすぐ南には、東名高速道路があるので、展望が阻害されていて、折角の浜名湖が
見えずらいのです。何故、駅の北側に東名高速道路を敷設しなかったのかと、いつも
残念な思いにとらわれます。
浜名湖と引佐細江湖の分岐点
上の写真は、東名高速道路を境に左が浜名湖、下の写真は右が引佐細江湖側に
なります。つまり天浜線は東名高速の下を東西に通過しているのです。
その中間あたりに浜名湖佐久米駅があります。
