二十三歳の医学生エルネストは、親友アルベルトと共に中古のバイクに乗って南米大陸縦断の旅に出る。金も泊まるあてもなく、喘ぐバイクでアンデスを超え、船倉に隠れて密航し、いかだでアマゾン川を下る。様々な出会いと別れ、そして初めて目にする過酷な現実。この旅の記憶が、エルネストの運命を変えた―。青年ゲバラが綴った真実の記録。
棚橋香奈江 訳
出版社:角川書店(角川文庫)
本書は若き日のチェ・ゲバラによる旅先での日記である。
その文章は、日記という性質のせいもあるのかもしれないが、基本的には読みづらい。
ところどころで説明が足りない部分があるし、無駄に凝った言い回しもあって、意味が伝わりにくい箇所も見られる。
そのため、読んでいてすんなり頭に入ってこず、いくつかのパートでは辛抱強く読まなければならなかった。
率直言うなら、読んでいて、ちょっといらっとした。
だが一人の若者の日記として見れば、そこそこおもしろいというのは事実である。
解題に、この作品には「青春の無鉄砲さも、いい加減さも、よく読み取れる」と書いてあるが、その言葉は言いえて妙である。実際、本書にはゲバラの若さを感じさせるエピソードが多いからだ。
たとえば、チチーナと会ってからの未練たらたらの部分とか、バイーア・ブランカを出てからオートバイに手こずる部分、アサード会場でワインをくすねようとして失敗する場面、チリでの密航、サン・ラモンで医師から無理やり食い物をおごってもらう場面、それにアマゾンでいかだを使う部分(なぜそんな無茶をするんだ?)など。
そこでのゲバラは若者らしくて、結構無茶をやっている。
そしていくつかの部分は、冷静につっこむなら、はっきり言ってアホなのである。
だがこのちょっとアホなところが、男の子って感じで悪くない。
どんな英雄でも、若造だった時代があるということを、それらのシーンは教えてくれる。
この旅で、ゲバラはラテンアメリカの現実を見ることになったらしい。
確かにペルーに入ってからはインディオに対しての同情的な視点が多く、理想主義に燃える若者の姿がそこから仄見える。
末尾に付された『医師の任務について』はそれをさらにわかりやすく示すものだろう。
そんなゲバラの考えは、いくつかの部分で僕の考えとは合わない。
だが、弱者たる民衆のため、率直に尽くそうとする姿勢自体は美しくすばらしいだろう。
本書は、そんなチェ・ゲバラという人物にとって一つの原点だったようだ。
そう考えると何かと感慨深い一冊である。
評価:★★★(満点は★★★★★)
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