世に名言、格言集の類は数多いけれど、本書ほど型破りな名言集は珍しいのではないか。歌謡曲あり、懐かしい映画のセリフあり、かと思うと、サルトル、サン=テグジュペリ、マルクス…。しかつめらしく覚えたり、読むのではなく、Tシャツでも着るようにもっと気軽に名言を自分のものにしよう!思い出にすぎない言葉が、ときには世界全部の重さと釣り合うことがあるのだから。異彩を放つ、真にユニークな書。
出版社:角川書店(角川文庫)
ずいぶん前に「アメトーク」で読書芸人をやっていて、その中でスピードワゴンの小沢(だったかな)が、『ポケットに名言を』を誉めていた。
細かいことはほとんど忘れてしまったが、この本はぱっと開いたときに、いい言葉に出会えるっていう感じのことを言っていて、ああそういう本って一冊あるといいよね、と思ったことを覚えている。
タイトルにあるように、本書は寺山修司が気に入った古今東西の名言や、寺山修司自身の言葉、名言に対する思いなどを書いてまとめた本である。
たぶんどんな人であれ、本書を読めば、一つは心に響く言葉があるにちがいない。
そして人によって、それぞれ好きな言葉はちがうだろう。
そういう意味、本書は読む人によって、いろいろな発見があるのかもしれない。
とりあえず、僕が気に入った言葉を以下に羅列することで、感想の結語としたい。
人は仰いで鳥を見るとき
その背景の空を見落とさないであろうか
小さい子供がはじめて笑うとき、その笑いは全然何を表現しているのでもない。幸福だから笑うわけではない。むしろ、笑うから幸福なのだと言いたい。
ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとはだれにも言わせまい。
わたしは、お前のいうことに反対だ。だが、お前がそれを言う権利を、わたしは、命にかけて守る。
私には、忘れてしまったものが一杯ある。だが、私はそれらを「捨てて来た」のでは決してない。忘れることもまた、愛することだという気がするのである。
しばしば勇気の試練は死ぬことではなく、生きることだ。
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とはなんぞ
評価:★★★★(満点は★★★★★)
この本に出ていた名言の元を知りたくて、ってところはよくわかります。僕の場合は、寺山修司の作品がを読んでみたくなりました。
いろんな作品を読むきっかけになるという上でも『ポケットに名言を』はステキな上に、いろんな発見ができる本だと思いました。
この本に出ていた名言の元を知りたくて、ジャック・プレヴェールとか、サルトルなど未知の著者の本を探して読むようになりました。
自分の読書ノートを付けはじめ、気に入った言葉を引用して書き留めるようになったのも、この本がきっかけ。そのノートは28年たった今でも付け続けています。自分のブログもその延長です。
本当にいい本ですよね。この本が今も読まれていることが、うれしいなと思います。
やっぱり同じことする人いるんですね。メディアに乗せられてる、とどこかで思いながら、買ってしまいました。でもいい本です。
僕もこの本はちまちまと読み進めました。そういう風に読んだ方がいいタイプの本のようです。
現在でも全部読み切れておらず、
気が向いた時に、ぱっっっと開いて読むような感じが、心地よいです