オリジナルの0dbHyCAAで動作する真空管が手持ちで少ないので、
新しい?のを手に入れる事にしました。
12FQ7
型番さえ知らない真空管でしたが、テレビ球としては有名な物だったとは
これまた失礼しました。
手にとって、これやけに背が高いようなということで、並べてみると、やはり高いようでした。
これこそ、ロングプレート、という仕様なのでしょうねぇ。
左から12FQ7、6189W、12AX7です。
12AU7ファミリーにも、様々な物があるようですねぇ。
さて、さっそく、オリジナルの0dbHyCAAに挿してみました。
2本仕入れているので1本目。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全く鳴りません。
端子はお約束どおり、経年変化もあって真っ黒だったので、ソケット端子と接触する部分を
軽くカッターでこそぎ落としていたのですが、2度、3度、抜き差ししても変化ありません。
カソード電圧を測定すると双極とも0.8Vという始末で、ああだめだ、というのが分かります。
いわゆるエミ減球でしょうねぇ。
まぁ、オークションで格安で売られているのですから、出品側も知って出しているのか、
ということで、2本目を試す事にしました。
左CHだけ鳴ります。しかしえらく歪みます。右CHは、大きい音のところだけ、ボソッと
鳴る始末です。
ということで、これまたオリジナルで使えない物を仕入れてしまいました。
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っと、ここまでは先週の話でした。
諦めが悪いのは、いつもの事でして、どっちみち死んでいる球なら、好き勝手させて
もらおうという事で、荒行にのぞむ事にしました。
題して「エミ減球の修行」
(修行しているのは人間の方だろう、という、突っ込みは無しで)
用意する物。
エミ減球。 ラジオペンチ。適当な小皿。ガスコンロ。
夏、それも毎日湿度が75パーセントから85パーセントと、風呂の中と同じような所で、
ただでさえ暑い中、バーベキューをします。
でも、外ではなく、台所ですが。
いわゆる球焼きを行います。
球の足をラジオペンチで持ち、五徳を外したガスコンロを弱火にしておいて、最初は遠くから1分ほど
球全体を暖め、徐々に火に近づけていきます。焼く箇所は球のてっぺん、銀色になっている部分です。
直接火ひかざすのではなく、ゆらゆらと球を火の上2,3cmで揺らす感じで、銀色部分が変化するのを
注意深く見ながらの作業となります。
念のため、球のぐるり1周を焼き上げます。
2,3分ほどすると、銀色部分が若干消えてくるので、それが確認できたら、小皿の上に球を置きます。
(非常に熱いため)
でも、2、3分もすると手で持ってもヤケドしない温度になっているので、球を挿してみる事にします。
通常ですと、真空管テスターで動作確認するのですが、ここは実地のみということで、
まずはプレート電圧が高圧な+HV 0dbHyCAAに挿して、各々の電圧をチェックしてみました。
プレート側に抵抗を入れているので、抵抗の両端の電圧からプレート電流が分かりますし、
肝心のカソードの電圧も測定できます。
しかしこの球、ヒータが暗いです。写真右端の12AX7なんぞ、豆電球か?というくらい光って
いたので、余計に暗さが目立つのかもしれません。
しかしながら、熱の発生は多いようで、ヒータの発光より熱になっている様子です。
音も出してみました。最初の数分は歪みがかなりありましたが、
1時間ほど放置しておくと、綺麗に鳴るようになりました。1本復活です。
そして、オリジナルの0dbHyCAAに挿してみました。
通常の高圧電圧では動作するのは分かりましたが何か緊張するのは何故でしょうか。
今度は無事鳴ることが確認できました。歪むこともなく、6189Wに比べて少し
高域がきつい感じがしますが、起きたばっかりの球なので、このまましばらくエージングする事に
なりました。
気をよくして、さて同じく2本目の12FQ7。
残念ながらダメな物はダメですね。
そもそも左CHだけ歪みながら鳴っているような球だったので、こちらの球の方が復活するのかと
思っていたのですが、意外な結果となりました。
ということで2度目の焼き上げを。今度はゲッターが2mmほど減るほど焼いてみました。
最近の都市ガスは不純物が多いのか、ガラス表面に黒いススが多く付着してしまいました。
(火に近づけ過ぎたというのもあるのですが)
さて2度目の挑戦を。
左CHは復活しました。でも右CHはまだ相当歪みが出ます。まったく鳴らないような状態だったので
多少ましかもしれませんが、これだけ歪むのではちょっとなぁという感じがします。
ちなみにオリジナルの0dbHyCAAでのカソード電圧は、左3.1V/右1.9Vでした。
(元は左2.2V/右1.8V)
回路上、オペアンプに直結されているので、カソード電圧が2.5Vを超えると
オペアンプとしては動作する最低条件なのかもしれません。
真空管とオペアンプの間にコンデンサを入れている、改悪版0dbHyCAAでは、2本とも全く問題なく鳴るので
12FQ7の1本はオリジナル、もう1本は改悪版仕様ということで、球の裏側(ピンの間)にマジックで
マーキングして区別することにしました。
ついでながら、12AX7の球焼きは、まったく変化なし、という、最悪の結果となりました。