民間航空輸送に伴う二酸化炭素(CO2)排出は、経済のグローバル化進展による航空需要の拡大で、今後の増加が確実視されている。人間の経済活動に伴う排出量の中では今のところ割合が小さいとはいえ、その抑制が焦点になり始めている。【黒川将光】
◆航空需要は急拡大
国連の専門機関である「国際民間航空機関」(ICAO)の試算によると、現在の航空分野のCO2排出量は全世界の化石燃料消費に伴う排出量の2・5~3%。航空機メーカーのボーイングやエアバス社などによると現在、世界では1万7000~1万8000機の旅客機が飛んでいるが、今後20年でほぼ倍の3万4000~3万6000機前後に増えるという。
今のところ化石燃料を燃焼する以外、航空機の動力を得る方法に見通しが立っていない。そのため、航空輸送に伴うCO2排出は量も比率も高まることが懸念されている。
◆水洗いと無塗装
日本の航空会社が飛行機を飛ばすことで排出したCO2は06年度、日本航空グループが年間1580万トン、全日空グループが年間811万トン。昨年からの原油高騰もあり、燃費効率を高め、CO2排出を抑えることが課題となっている。
全日空は昨年から「エンジンの水洗い」を導入した。ジェットエンジンは、空気を圧縮するコンプレッサーに大気中の細かいほこりなどが付着すると燃焼効率が落ちる。そこでコンプレッサーを定期的に水洗いしてほこりを洗い流し、燃焼効率を回復させる。これにより「年間約6万トンのCO2が削減できる」と整備担当者は説明する。
一方、日本航空は昨年導入したボーイング767型貨物専用機などを無塗装にして軽量化したり、機内食の食器を2割軽くするなどして燃料消費を抑え、06年度合計で109万トンのCO2を削減した。
日本航空の吉田修・地球環境部長(56)は「最も有効な削減手段は排出量の少ない新型機に入れ替えることだが、経費の面で、すぐには難しい。細かい努力を積み重ねていくしかない」と話す。
◆排出分、寄付で相殺
排出権取引の導入に積極的なヨーロッパの航空会社では、「カーボンオフセット」の導入が主流になりつつある。航空券をオンライン購入した乗客を対象に、旅客機利用に伴い排出するCO2を金銭に換算。チケット購入と同時に、クレジットカードやマイレージのポイントを植林のような環境保護活動をする非政府組織(NGO)などに寄付し、「相殺」(オフセット)してもらう方式だ。
05年に英国航空が始め、スカンジナビア航空が続いた。昨年はドイツのルフトハンザ、スイス航空、エールフランス、英のヴァージンアトランティック航空、香港のキャセイとドラゴン航空も開始した。
航空会社のホームページが環境NGOのページとリンクされており、経路ごとの排出量とその価格を計算できる。しかし、寄付はあくまで任意。料金にCO2排出分を上乗せする方法も考えられるが、「現段階では乗客の理解が得られないだろう」(国内の航空会社関係者)という。
◆経営圧迫に懸念
一方、世界の旅客機の4割近くが飛ぶ航空大国アメリカ、経済発展で旅客が急増している中国本土の航空会社はCO2排出抑制に目立った動きがない。民間航空の動きに詳しいジャーナリストの秋本俊二さん(50)は「米国の主な航空会社は100機を超える旅客機を持つため、本気で環境対策を行おうとすれば経営を圧迫するという思惑がある。中国は成長が急で対策を講じる余裕がないのだろう」と分析する。
昨年9月に行われたICAO総会では、航空機の技術革新や管制保安システムの技術向上による効率的運航での排出量削減が決議された。しかし、数値目標は決められず、具体的な行動プログラムの策定は09年末まで持ち越された。
そんな状況の中、欧州連合(EU)は独自に域内に乗り入れる航空会社ごとに排出量を割り当てる法律を検討。日本では、新年度から国土交通省が航空局内に「地球環境保全調整官」を設けて本格的に数値目標提案に向けての作業を進める。
世界的に見ると空のエコは「入り口の前にいる」状態だ。
毎日新聞 2008年1月28日 東京朝刊
今後も、全て頑張って下さい。
非常に良い記事でしょう?(^^)
毎日新聞の記事をまんまコピーした記事です。
ルナは別にブログを書いていて、そのための資料として、このスクラップブログを、まあ自分のために用意しました。
でも私の関心にそった記事だけ収集していますので、同じ趣向の方には興味を持っていただけると思います。
また訪問してみてくださいね。
卓見だと思いました。たしかにそうかもしれませんね。これまでどおり、インチョン空港に頼っていてもいいのかもしれません。
実はわたしなどは、東京のことだしそんなに関心を持っていませんでした。
わたしは大阪に今、住んでいますが、空港は関空よりは伊丹のほうが近いので助かるなあと思っていました。交通費も安く済むんですよ、空港までね。
なもんで、東京の方々も成田よりは羽田の方が便利は便利なんだろうなあ、としか思っていませんでした。お恥ずかしい限りです。
それに成田闘争をニュースで聞いた世代なんですね、わたしは。だから、ああいうやり方を国が行って、それに賛同する国民もいたということにいまだに不愉快に思っています。あんなことが二度とあってはならないと思います。
羽田ハブ化が打ち出されたとき、成田空港のある市だかどこかの「長」の方が、「血と汗を流した成田を粗末にするな」とか何とか言っているのをTVで見ましたが、血を流したのはお前らの強硬突撃だろうが、と腹立たしかったです。