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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

Shadowlands (4)

2006-10-29 19:26:54 | ナルニア・C.S.Lewis
4章は「Forbidden Joy」
ジャックと結婚する事になる,ジョイという女性のお話です。
ジョイは1915年,ニューヨーク生まれ,今回初めて知ったのですが,両親は,お父さんはポーランドから,お母さんはウクライナから,家族でアメリカに移民してきたユダヤ人で,ジョイはアメリカで生まれた最初の世代になります。で,これも今回初めて知ったのですが,彼女のお爺さんは,説教中に肺炎で亡くなったというほどの敬虔なユダヤ教信者だったのですが,お父さんの代で,ユダヤ教を捨て,無神論者になってしまいます。また,当時,こういうユダヤ系家族はごく普通だったようです。

無神論者って,本来とてもまじめな宗教の信者なのに,ある日神を信じられなくなって辞めてしまった人と,元々宗教的バックグラウンドもなく育った人達(私も含め多分多くの日本人みたいな)と,2種類に分かれますが,ジョイの親の代は前者,ジョイ自身は後者だったと言います。

そーいえば,ニューヨーク出身の有名なユダヤ系アメリカ人と言うと,きっと一杯いるけど,ふと思い出したのは,1960年代に活躍したサイモン&ガーファンクル。彼らは,えーと,2人とも,1941年生まれですか。これはジョイの子供世代に当りますねぇ。なるほど。彼らの歌は,ユダヤ系という事を全然連想させない,全くアメリカっぽい歌だと思ったのですが,親の代にそういう事情があったんですね。これもなかなか勉強に。。

ジョイが育った当時のアメリカは,大恐慌の真っ只中でしたので,彼女の家も経済的に大変で,電車賃もろくにもらえなかったそうですが,動物大好きな彼女は,よく何時間もかけて歩いて動物園に出掛けたのだそうです。夜にナイショで出掛けた事もあるとか。(当時は治安大丈夫だったのでしょうかね?)

ジョイのお父さんはとても厳格で,ジョイと,4つ下の弟ハワードをしょっちゅう殴っていたそうです。(汗) お母さんはとっても神経質で,友達との付き合いを制限されたとか。またジョイは貧血持ちで病弱でした。で,彼女は無類の読書好き。小さい時にいろいろな本を読破し,中にはジャックの愛読書だったという,ジョージ・マクドナルドの,Phantastes(右)という本も。(こ,この挿絵ちょっと心霊写真ぽくて怖いなあ~(笑))

彼女はそのお陰でいわゆる「○ビ・○ブ・○ガネ」(ネットでこの言葉をフルに書くのは気が引けます(汗))という,モテない女の子の典型に。しかし彼女の知性は素晴らしく,I.Q.は150だったそう。弟さんも高いI.Q.を持っていて,後にマンハッタンで高名な精神科医になったそうです。頭の良い家系なんですね。後でオックスフォードのドンと言われた男を虜にしたのは,きっとこの知性と,眼鏡の後ろに隠れた,ウクライナ系の美貌ですね!

彼女は反抗期になると,親を言い負かす程頭の良い子になり,同級生は彼女を「Forbidden Joy」と呼んで,彼女の親との戦いの話を聞いてました。

ジョイは大学(コロンビア大学)を卒業すると,ホントは物書きになりたかったのに,親の意向でまず先生になりますが,ほどなく,彼女はバセドウ病を病んでしまいます。この時の治療のために放射線を使った事が,後のガンの原因になったとか。。。

しかし,高校時代に目の前で飛び降り自殺を見てしまったり,当時のアメリカは希望とは程遠い国で,また大変な読書家であった事から,無意識のうちに結構キリスト教の影響も受け,そんな彼女が思ったのは,「人を助けたい!」 しかし知性が高い彼女がまず目指したのは,‥共産主義だったそうです。

彼女は教師を辞め,物書きに専念するとともに,共産主義にも専念していきます。
ところで,当時彼女が描いた話とは,バプテスト派の男性と結婚しようとしたユダヤ系の女性の話(結婚式の当日に彼女の家族が駆けつけてこっぴどく叱られ,男性の家族に冷笑された)とか,アメリカに希望を求めたロシアのユダヤ系女性とか,何か,後の彼女の運命を予言しているようです。


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