ありふれた愛じゃない 価格:¥ 1,620(税込) 発売日:2014-03-28
村山由佳著のこの小説を最近読みました。彼女らしい王道なラブストーリーです。
舞台がタヒチなので、読み進めているうちにすっかりタヒチの自然やそこに暮らす人々(特に今回は素敵な脇役が多い)、暮らし、風俗などが描かれていて、すっかり気分は南国です。険しい山々、天候によって時間によってその表情を刻々と変える海の色、色とりどりのパレオ、サンゴ礁に熱帯魚、白い砂、火照った身体を冷やしてくれる美しい色のカクテル、勇壮なタヒチアンダンス、贅を尽くしたホテルの様子。
どれもが読んでいるうちにバーン!と色彩を放って脳内に映像化されるようでした。
実は、20代の後半に一度タヒチは訪れた機会があります。当時は旅行代理店で働いていたので、破格の価格で行けたのですが、本当に海も山も砂浜もホテルも、そこで働くスタッフの人々も突き抜けてリゾート気分を盛り上げてくれました。
ただ、当時の私はあまりにも若過ぎて、南洋真珠(いわゆる黒真珠)の良さにまったく気づかなかったことが悔やまれます。パペーテで専門店に足を踏み入れた途端、「あーー、これは私のような庶民の来る場所じゃないわい。」と、そそくさと店を後にしました。何しろとびきりの価格の大粒の南洋真珠ばかり。どれを見ても黒々と光る真珠、真珠。その繊細な違いに目を凝らすこともなければ、付けてみようとすら思わなかったですね。今なら少しは興味あるのですけど。いや、少しばかりではないですね。正直にいうとかなり興味があります。やっぱり黒真珠はそれなりに歳を重ねた女性に愛されるジュエリーなのかも知れません。
後はフランス語が公用語なので、空港やホテル以外ではほとんど英語が通じずに苦労しました。ま、観光客はあまり現地をウロウロせずに、基本ホテルの中で全て事足りるようになっているのですが。ほら、日本人の性として、いろいろな場所(特に市場などに)足を延ばしてみたいではないですか。私はそういう場所で暮らしている人たちの様子を垣間見るだけでもずいぶんと異国情緒に浸れるのですが。
でもフランス始め、ヨーロッパ各国から訪れている観光客はそういう要望がほとんどないということにも驚きました。彼らは一ヶ月以上も滞在している割には、現地の人の暮らしや民俗的なものに見向きもしません。ホテルのスタッフにひたすらチップを払って自分がいかに居心地よく滞在するかだけを考えているようでした。植民地支配した人たちの考え方には、やはりついていけんな~なんて考えたりもしましたね。
話をこの小説に戻しますと、この小説。最近の婚活とやらに励んでいるアラサー、アラフォー女子というんでしょうか?そういう人々に一度立ち止まって読んでいただきたいような内容です。自分が相手に求めるものが、本当に年収や学歴などの条件だけで絞り込んでいいものかどうか。そんなちまちました事を判断材料に一生の伴侶を求めていいのかどうか。考えさせられる内容です。
ま、小説だからおとぎ話の世界だからと言えばそれまでですが、もっと女性は本能的に相手を求めてもいいんじゃないかと思いましたね。このヒロインみたいに。
もちろん誰でもそんな相手に巡り合えるわけではないと思いますが、いわゆる女の直感みたいなもの、言葉では言い表せない第六感みたいなものにもう少し耳を傾けてもいいんじゃないかと。頭で考えてばかりだとダメかもね・・・と思いました。
これから夏本番。旅行気分を一足先に味わいたい方にお勧めの一冊です。
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