重松清の三作は偶然本屋さんで手に取ったものです。特に「十字架」はいじめ自殺がテーマとなっていて、非常に興味深かったです。いじめのニュースはあまりにも多すぎて、社会問題となっているにも関わらず、その現場でしかも長期間にわたって遺族やクラスメートたちがどのように感じているのかをリアルに描いた作品は稀有だと思います。死んで、犯人捕まえたら「はい。終わり」ではないことを強く印象づけられました。
「とんび」はドラマにもなったので知っている方も多いでしょう。父と子の不器用な愛の形が周囲の人も含めて涙を誘います。昭和のノスタルジーに浸ることもできて、なんだか昨今の子育て事情はこの頃に比べるといささか窮屈になったなと思いました。子どもなんてこんなふうに育てればそれで十分なのだというお手本のような一作。
「君去りしのち」は子どもを失った男性が前妻の娘と二人で、あるいは一人で、日本全国を旅しながら喪失感と向き合う話。上質のロードムービーを見るかのような印象。前妻の娘(高校生の設定)の吐くセリフが気が利きすぎているのが少し気になるけど、女の子で感受性が鋭い子ってこんな感じなのかなとも思います。
「放蕩記」。これはずいぶん前から気になっていたのですが、ようやく読めました。普段の村山由佳の作品とは一風違っていて、母と娘の確執を描いた作品。確かにこの作中に登場する母親はいわゆる「毒親」に分類されるのかな?とにかく母と娘のあり方についていろいろ考えている最中の私にとっては非常に参考になりました。
「多崎つくる~~~」はニュースでも取り上げられたくらいだから、読んでいる人も多いでしょうし、これから読む方も多いのであえて深くは書きません。ただ唯一印象的だったのが今回名古屋が舞台として出てきたところかな。名古屋には私も5年ほど住んだことがあるので、あの街が持ついい意味でも悪い意味でも排他的、保守的な感じが非常によくリサーチされていて驚きました。
「雲の階段」はドラマを見て原作を読みたくなって本屋に走りました。人間の業や欲、弱さ脆さを如実に語る作品ですね。僻地医療が抱える問題、都会の病院の特質に加えて、ハラハラドキドキのサスペンス的要素や、LOVEの要素もあってこれは読みすすめてしまうと思います。余談ですが、あまりテレビを見ない私がたまに見るドラマには最近必ず、長谷川博己さんが出演されています。売れっ子なんでしょうね。(顔はタイプです!)
「モンスター」は映画も昨日見てきました。高岡早紀の特殊メイクと濡れ場が目玉の映画ですが、確かに人間の美醜に対する執着ということに関しては考えさせらます。いやあ、そんなこと言ったって、人間外見じゃなくて中身でしょう!と豪語する人ほど読んでみるべしな小説ですね。女性にとって若いということ、そして美しいということは一体どういう意味があるのか、あらためて問い直すいい機会になりました。後、美容整形にまつわる細かな描写が非常に興味深かったです。
「風が強く吹いている」はなんというのでしょうか。タイトル通り疾走するように読んでしまいました。比喩の使い方が上手いのと、独特のリズム感があって、作者の力量を感じさせる一冊です。大体最初から結末の予想がつくのにグイグイとそれこそ強靭なランナーのごと読者を引っ張る技量に感服いたしました。友人が映画もよかったと教えてくれたので映画も見てみたいです。走るって文章にすると奥が深いです。私の中では「博士の愛した数式」を読んでいる時のような爽快感がありました。自分の知らない世界に誘われて、どんどんその世界観にはまっていく心地よさですね、きっと。
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心の深いところをつかれる感じ[E:catface]
モンスターも読みましたよ~。
美容整形に関する情報がすごくて、おもわず色々検索してしまいました(笑)
でもなんだかんだって、綺麗な方が得ですよねー[E:sad]
名前入れ忘れた『ぷーさん』でした[E:coldsweats01]
重松清さんいいですよね~~[E:ok]
特に家族ものっていうんですか?
親の心情や子どもの気持ちを丁寧に掬い上げている描写が見事だと思います。
モンスターも強烈でしたね。
私も読んだ後、いろいろ検索したので
他のサイトを開いていても右上や真上に「●●美容外科」の広告が出まくりです(笑)
綺麗な人ってそれだけで価値があるのだと素直に認めざるを得ないなと私も思いました。人間、中身でしょという人もいると思いますが、まず外見がそれなりでなければその中身にさえ到達できないですものねー。ああ~~。[E:weep]