前に告知した企画展「見た目問題」ってどんな問題?~顔の差別と向きあう人びと~@大阪人権博物館(リバティおおさか)
***以下チラシより抜粋***
「見た目問題」とは顔や身体に生まれつきアザがあったり、事故や病気による傷、ヤケド、脱毛などといった症状がある人たちが毎日の生活の中で直面している問題のことです。日本では80万人から100万人の当事者がいるとされています。
見た目を理由とした採用拒否、学校での不当ないじめ、街の中で周りからジロジロ見られる体験、迷信や偏見にもとづく差別など、「見た目問題」の当事者の身に起こる問題は枚挙にいとまがありません。本展では「見た目問題」に向きあう当事者たちの活動や主張を通して、私たちと「見た目問題」の関わりについて考えようとするものです。
***抜粋ここまで***
の、関連企画、シンポジウムにパネリストとして登壇させていただきました。
まず2月12日(日)「「見た目問題」を見る!聞く!うなる?」NPO法人マイフェイス・、マイスタイル。
登壇者は単純性血管腫(赤あざ)の中谷全宏さんとトリーチャーコリンズ&ネイガー症候群ひまわりの会から石田祐貴くんと円形脱毛症を考える会から私。
トリーチャーコリンズがわからない方は適当に「トリーチャーコリンズ、画像」とかでググってみてください。名前には??な人でも割と見たことがある症状なので、あーー、なるほどね!と、わかると思います。
司会の外川さんとアルビノエンターテイナーの粕谷さんの軽妙なやり取りの中で、始められたシンポジウム。ノリ的にはマイフェイス・マイスタイルが毎週Ustream配信している
「ヒロコヴィッチの穴」に近い感じでした。いきなり音楽かかってビックリした方もいたみたいですけど(笑)
最初はそれぞれの簡単な症状説明(一般の方にもわかりやすく説明するのって難しかったです)。一人ずつ前に出て、外川さんや粕谷さんの質問に答えるという形です。随所、随所に外川さんが雑誌マイフェイスの宣伝を入れるので、これでほぼ一時間。途中休憩をはさみ、その間に参加されている方々に質問票を配布し、質問を受け付けて後の部は三人そろって前に座って、その質問に答える形でトーク、トーク!
中谷さんは、ほんわかとした大阪弁で、優しいお人柄がそのまま出ている雰囲気がよかったですね。幼い頃いじめに遭った話をされていても、何故だかそれが暗~い感じにならないところが彼の魅力なんじゃないかと思います。
石田くんは大学生(若干19歳)だというのに、しっかりしているなあという印象。受け答えの内容も完璧やったなあ・・・。ご両親に大切に育てられて愛情を一杯注いでもらって、すくすく育ったんやろうなあという感じ。一番の若手の割には一番安定感あった気がします。
当の私は結構緊張していましたが、言いたいことは、概ねしゃべらせてもらったと思います。脱毛症である前に大阪のおばちゃんやしね(笑)
三人とも症状は違うし、症状への向きあい方や受けとめ方は違うけど、一つだけ共通点があるとすれば三人とも隠したり矯正したりしてないってことかな。あざの中谷さんはレーザー治療やカバーファンデで治療したり隠したりもできる。石田くんも形成手術で普通の顔に近づけることも可能。私もウィッグ被っていれば隠すこともできる。でもいろいろ考える所があって「そのまんま」なのよね。その「そのまんま」感がうまくシンポジウムで伝わっているといいなと思います。
2月18日(土)は「母親になった当事者たち」という演目で再度登壇しました。
こちらは顔面動静脈奇形の河除静香さん、アルビノの寺田利子さんとご一緒しました。
「見た目問題」の当事者たちはどうしてもコンプレックスを抱きがちで、周囲の人間に上手く心を開くことができなかったり、恋愛や結婚に対して臆病になったりしがちですが、いやいやいや、そんなことはないよ。ちゃんと恋愛して結婚もして、子どもだってできるよ!というメッセージを込めたシンポジウムです。ま、今の時代結婚や出産だけがそのまま幸せに繋がるかと言えば微妙ですけど、少なくともそうしたいのに一歩踏み出せない当事者の人たちや親御さんたちに小さな一歩踏み出すきっかけになればいいな~と思います。
河除さん始終笑いを取る面白いエピソードが沢山あって、婚活話はその中でも秀逸!
見た目に症状のない人でも彼女の婚活にかけるエナジーはいいお手本になるのではないでしょうか。
寺田さんは二人の成人されたお嬢さんをお持ちのママ的存在。ご自身の親御さんへの思い、お子さんたちへの思い、そしてお子さんたちやお友達から受けた優しくて心温まるエピソードの数々。彼女の話で涙ぐんでいる参加者の方も多かったですね。私も事前打ち合わせしてなかったら絶対前で泣いてたと思います。
笑いの河除さん、涙の寺田さんに対し、私はといいますと、これが月並みな答えばっかりで我ながら「つまらんな~。なんかもっと面白いこと言わなあかんのちゃうん?」と、思いつつも、そないにライブで上手い事しゃべれるワケでもなし・・・。まあ、しっかり言いたいことは言わせていただきましたけどね。
他にも見た目の症状が子どもに与える影響、子どもの友達との接し方、遺伝、パートナーとの関係(対等であるべき)などについても3人で話をしました。
最後の方に出生前診断(母親が妊娠中に胎児に奇形や障害があるかどうかを調べる検査)についてどう思われますか?と問われた時には上手い言葉が見つからなくてホンマに難儀しました。個人的にはあまり賛成しないけど世の中の流れ的には増えて行くんだろうなみたいな感じで。やっぱりそういうことに関しても普段からちゃんとアンテナ張っておかなあかんねんなとこの点に関しては猛省。
そんな感じでこのさっぶい中人権博物館まで足を運んでくださった方々(東京や九州からも沢山来られていました)関係者の皆さん、お世話になりました。少しでもライブならではの熱い化学反応があったら、来られた方達の心の中に少しでも何か暖かいモノが残ったらいいなと私は思います。
それからこの企画展、シンポジウムは終わりましたが、展示そのものは3月25日まで行われていますので是非にお運びくださいませ。素敵な写真、記事、文献などが多数展示されております。
最後になりましたが、こういうイベントをやると必ずと言っていいほど出てくる質問があります。
「僕は(私は)見た目に症状がある人を見るとつい目を反らしてしまいます。本当はどんな風に接したらいいですか?」みたいな質問です。
質問されている方は学校の授業で数学の問題を問うように「これこれ、こういう風に接するのが正解です。」みたいなバシッとした答えを期待されているのかも知れませんが、残念ながら答えはありません。100人の当事者が居たら、たぶんその答えは100通りあると思います。
もっと冷たく突き放して言えば
「自分の頭で考えろ!」
と、いうのが私の答えです。「見た目問題」は当事者だけが抱えている問題ではありません。むしろ普通の容姿の方々の心の中にある問題、あるいは社会が構造的に抱えている問題だと思いますので、ご自分なりの答えを見つけてみて欲しいと思います。
そうは言っても、普通の容姿の方になかなか想像しにくいことかも知れませんので、この動画を貼っておきます。人からジロジロ見られたり、あるいは目を背けられるのがどんな風に感じるのか、よくできている動画です。ご参考になさってください。
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YouTube: Face Equality film