先日、埼玉在住の友人Mさんが京都に来られるとのことで、お供して来ました。
前にMさんにお会いしたときにチラッと伺っていたのですが、彼女、幕末の歴史にゲームを通じてハマってしまい、今や立派な歴女なのです。今回はそのオフ会(ギャラリー)とゲームに登場する(実在する)登場人物ゆかりの地を訪ねるのが目的なのだそうで。
とりあえず、待ち合わせのJR京都駅で一枚。駅舎越しに見える京都タワー。
京都の古い町並みとは裏腹に改めて見上げると近代的な建物やな~と、こんな写真を撮っていたらMさん、ここではなく、新幹線の改札で待っていたらしく、急いでそちらにダッシュ!
とりあえず、お昼を少しまわった時刻でしたので駅ビルで京都のおばんざいをバイキングで出してくれるお店に行きました。この日はかなり気温が高かったのでお昼からいただくビールの美味しかったこと!普段は車を運転しているMさんもこの日はゆっくりと飲める~とご満悦。
で、こちらがそのオフ会会場近くの島原大門です。オフ会と言っても一度にたくさんの人が集うわけではなく、京都の町家を借りて一週間ほど、各自が自分の作品を展示したり、希望者には販売したりするギャラリーなのだそうで。この時点でまだそのオフ会や展示物の内容が今ひとつ掴みきれていない私なのですが、とりあえず、このあたりを散策してみました。
こちらが角屋もてなし文化美術館。昔は置屋、お茶屋か料亭だったところを今は美術館として皆に見てもらっている非常に歴史を感じさせる建物でした。写真のアングルが悪いですね(涙)
時間と経費の関係で中に入ることは叶わず。残念ー。ちょうど今の時期は夜間ライトアップもされているらしいです。
こちらは駐車場の八重桜。埼玉の方はもう桜の時期を過ぎてしまったとのことでしたので、京都で桜に出会えたMさんはとても喜んでおられました。よかったー。
こちらが輪違屋(わちがいや)というお茶屋さんです。この島原地区というエリアは祇園や先斗町よりも古い花街で今はほとんど住宅地になっていますが、先ほどの角屋さんやこの建物など、当時を彷彿とさせる建物が現存しています。
ちなみに花魁という言葉は江戸吉原に遊郭ができて付けられた呼び名のようで、古くはここ、島原で「太夫」と呼ばれていたらしいです。そしてこの輪違屋さんでは平成の今も太夫が在籍されているとか。もちろん一見さんお断りの京都的花街ルールが厳格に守られているので、私たち一般庶民はその姿を見ることさえ叶わないのですが・・・。
しかし、当時の遊郭や置屋という文化、風習は実に海外の人にはわかってもらいにくいものがありますね。ホステスであり、芸妓であり、夜のお供をする人であり、政治、文化、書物などの教養もありの非常に特殊な職業なわけで。今で言う風俗という即物的なものとはずいぶん様子が違っていたのではないかな~と勝手に推測したりしました。
で、ようやくその町家「ギャラリーのざわ」に迷いながらも到着。こうやって外観だけ見ていると、京都の町ならどこにでもあるごく一般的な町家なので、目を凝らしていないと通り過ぎてしまうかもです。
こちらがMさんの作品達。彼女はとても手先が器用でお人形を作るのが上手なのです。
「艶が~る」という名前の幕末を舞台にした女子向け恋愛シミュレーションゲームの中のキャラクターをこうやって人形という形で再現しているのだとか。なるほどね~~。
ほかにはおびただしい数の美しいイラストの冊子や額に入ったイラストが多かったですね。もちろん小説的な小冊子や消しゴムハンコなどもあったりして。私にはさっぱりわかりませんけど、そのゲームをやって楽しんでいる人ならきっとずっと眺めていたくなるような展示物が町家の一階部分二間にずらずらと並べられていました。
中にはこれは本当に素人が描いたものなのだろうか?と思えるくらい質の高いイラストも何点も手にとって見ることが出来ます。いやー、日本の漫画文化、やっぱりレベル高いな~って感じです。これが全部趣味的&同人誌的作品だなんてねーーー!!
で、奥の間にはなんと、そのキャラクターに扮したコスプレ女子が二人!一人は一橋慶喜、もう一人は古高俊太郎(←こんな名前初めて聞いた!でもこのゲームの中ではかなりの人気キャラクターなんですって)に扮してウィッグと着物を着用し、訪れたファンの人達と写真のポーズを決めておられました。慶喜の格好をした女の子は北海道から来たって言ってました。すごいね。
私たちが滞在している2時間半くらいの間にも、ポツリ、ポツリとその艶が~る世界に魅せられたであろう女子が入ってきては、じーーーっとイラストや小説を食い入るように見て読んでいたのが印象的でしたね。
ギャラリーがオープンした初日には200人もの人がこの狭い(失礼!)町家に押しかけたそうですから、どれだけ混雑していたのと思うと・・・。ふーー!人気のゲームなのね。そして歴女の行動力って改めてすごいなと。
Mさんが艶が~る談義に花を咲かせている間、私は典型的な京町家の奥行に心奪われ、写真を撮らせていただきました。鰻の寝床とは良く表現したもので、表の間口からは想像もできないくらいにょろ~~んと長いこの造り。風情がありますね。当時の人は間口の広さで年貢の額が決まっていたから、狭い間口にして、奥行を深く取ったのでしょう。でもそうなると明かりが入らないのでこうやって二階部分に採光窓を作り、光を取り入れ、奥の間と入口の間の間に中庭を作り、蒸す京都の夏を少しでも快適に過ごせるように、風の通り道を作っていました。んーーー、やっぱり先人の知恵がいっぱい詰まった町家は訪れる人の心を掴んで離さない何かがありますね。
反対側に向いて通りの方をのぞむと、これまたいい自然の光が入ってくるのです。
このイベントの開催をお祝いして贈られた胡蝶蘭。綺麗でした。
ギャラリーを後にして、ホテルにチェックインしたMさんと向かったのは、これぞ!歴女スポットと言われる「池田屋はなの舞」です。
居酒屋さんなのですが、新選組好きな人、歴史好きな人にはたまらないだろうな~という店構え&メニューの数々。Mさんはせっかくなので、風間の野望をオーダーされていました。一口飲ませていただいたのですが、ジンジャーエールが大人の生姜辛さが引き立ち、ぴりっとしていてなかなか美味でした。
私はこのお店のオリジナル辛口冷酒などをちびちび飲みながら、二人でオーダーした食べ物をつつきつつ、話は艶が~るから、健康の話題(←最近この手の話題多いな~(汗))、家族、子どものことといろいろ話をしてもしても尽きないくらいでした。
Mさんは翌日も幕末の志士ゆかりの地を訪ねるとのことでしたので、割と早めに私は四条河原町から帰って来ました。夜の三条から四条界隈は観光客に混じって、地元で働く人や学生さんもが心地よい夜風に吹かれながら皆それぞれの方角へと行き交います。大阪とも神戸とも違うあの独特の心地よさは、ビジネスをするにはびっくりするほど排他的な京都の商習慣と観光客や学生さんなど一時的に滞在する人に対しては、ものすごく寛容さを持ち合わせる京都ならではの雰囲気が醸し出しているのかもしれません。
きっかけはゲームかもしれないし、そのゲームの中では幕末の志士たちがとんでもなくイケメンに描かれていて、ほんでもって、女心をくすぐってくれる甘い言葉を囁いてくれるなんて、まあ、本当に歴史が好きな方々にはちょっと違うかも!と思われそうですが、結果、こうやってたくさんの人が京都のみならず全国各地の名所旧跡を訪ね歩くことになるのは、それはそれで素晴らしいことなのではないかと思います。自国の歴史にどんな形であれ、興味を持つのはいいことだしね。
未知の世界に少しだけ触れたみたいで、新鮮な目線で京都を歩くことができて、私的にはとても楽しい一日でした。