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Burning Pavilion Part3

日常のもろもろ

真・McCARTNEY2

2011-08-10 00:02:08 | 私的ポール・マッカートニー史
6月にポール・マッカートニー・アーカイブコレクションの第3段として発売されたマッカートニーⅡ。
本当の発売順で言うと、ウイングスを含むオリジナル作品10枚目、1980年に発売された作品です。全ての楽器を一人で録音したマッカートニーシリーズ第2弾でもあります。

当時全米・全英ともに大ヒットした作品だが、評価は非常に低い。
俺は中3だった1989年くらいに購入した。ポールの作品をむさぼるように聴いていたこの時期、結構古いアルバムと思っていたが、なんと発売から10年経ってないのだ!!。
ポールの曲ならなんでも気に入っていたが、このアルバムだけは少し苦手だったかもしれない。なけなしのおこずかいで買ったので何度も聴いた。曲順も丸暗記してるし全曲歌えるが。。。インストもあるし。YMOに影響されたという発言と裏腹のクオリティの低さ(あくまでYMOと比べての話です)。この発言のせいでYMOを聴く機会が遅れたと思う(笑)。

その後20年経ち、このアルバムを聴く機会は減っていた。
たまにファイアーマンとか実験的なものが出るたびに、90年代のマッカートニーⅡ、とか2000年代のマッカートニーⅡとか言われるのでこれを聴いてみたらさらにクオリティが低く聞こえる。聴くたびに評価が下がっていく気もするので聴かなくなったと思う。
実験的というと聞こえがいいが、思うままに演奏したと思われる曲群がでたらめな順序で並んでいると言ったらよいのか。。。たぶん歌詞も大したこと歌ってないことが言葉を知らなくてもなんとなくわかる(笑)。

そのデラックスエディションでリマスター版を聴いて評価が一変した。実はアレンジが細部にわたり凝っているのだ。リマスタリングのおかげでかなり聞こえるようになった。
これは聴きやすい。元々聴いていた80年代後半に出たCDの音質はひどく、クソだった。カミングアップだけはいろんなベストで音質向上版を聴いていたが、他のは一気に聴いたのでなおさら衝撃的だった。

それだけならまだしも、スーパーデラックスエディションには相当数のアウトテイクが入っている。
何曲か聴いたことがあったが、さらにでたらめな曲ばかりと認識していた。
元々このマッカートニーⅡはそんな曲も含む2枚組を想定していたのだった。この話を知った時、正直、そんなもの売れるはずがない、と思った。

だいぶ後になってしまったが、一応弁護しておくと、これはリリースを想定していなかったもので、1979年の夏にカーステレオでかける用に自宅で気ままに録音したものを、1980年日本で逮捕されたのをきっかけにウイングスが活動休止状態に陥ってしまったからか、レコード会社によりリリースすることになってしまったとか。
結局1枚に絞られ、曲も聴きやすく細かく編集されたのだ。

しかし、それは必ずしも聴きやすいアルバムになったかというと、そうでもないのではないだろうか。
チープなテクノ、ブルースなどがごちゃ混ぜになった変なアルバムという印象になってしまった。

ところが、今回このアウトテイクを混ぜて、元々想定された2枚組の曲順にすると、聴きやすくなったどころか、ものすごい傑作になってしまった!。というのがこの日記で言いたかったことです(長い)。
なるほど、これはテクノ/ニューウエーブの傑作アルバムだ。と思った。
素晴らしい化け方ですよ、これは。曲の選択、並べ方でこんなに印象が変わり、傑作も駄作にしてしまうのかと、戦慄した。マッカートニーⅡに対して、いままで申し訳ない、と思いました(笑)。
チープささえも必然、と言ってしまおう。

また、1979年の夏にレコーディングされているからという前情報なしに聴いても、非常に夏っぽい。細野晴臣のトロピカル入ったテクノを彷彿させる。
この手の込みよう、サージェントペパーズクラスの名作とまで言わないけど、言いたくなってしまう力はあると思う。

2枚組マッカートニーⅡの曲順
DISC-1
A面
1.Front Parlour 
2.Frozen Jap
3.All You Horseriders
4.Blue Sway
B面
5.Temporary Secretary
6.On The Way
7.Mr. H Atom
8.Summer's Day Song
9.You Know I'll Get You Baby
10.Bogey Wobble

DISC-2
C面
1.Darkroom
2.One Of These Days
3.Secret Friend
4.Bogey Music
D面
5.Check My Machine
6.Waterfalls
7.Nobody Knows
8.Coming Up

これが、名作 真・マッカートニーⅡだ!!。
と言いたいところだが、これはかなり凶悪な内容となっている。
なにせ、いきなりインスト2曲からアルバムはスタート。インストの中でもかなり聴きやすい2曲だから、まあやさしいか・・・(笑)。
とにかくこの内容で発表されたとしたら、A面でかなり炎上したものと思われる。この構成は相当勇気がいるだろう。
B面も攻撃的な内容だが、シングルになったTemporary Secretaryが入っている。ポップなのはこれだけでしょうけど。

C面のOne Of These Daysは発売盤マッカートニーⅡの最後に収録されたアコースティックの佳曲だが、凄い曲の間に放り込まれている!!。続くSecret Friendは10分を超えるインスト!!(笑)。 これは意外に聴きやすくて好きですけどね。品のいい音色を使っていて南国風味入ってます。
D面最後にようやく大ヒットシングルのComingUpが入っている。しかし2枚組バージョンはこれを冗長にしたロングバージョンが入っているのだ(シングル盤がこれのショートエディットなわけですが)。一筋縄ではいかない。

誉めているのかけなしているのかわかりませんが、愛のある表現と受け取っていただければ。
ビートルズのメンバーが発表したアルバムでは相当過激な部類に入ると思います。
発表後30年を経たこのアルバムをこうしてまた楽しめるのは非常に素敵なことだと思います。




Once Upon A Long Ago

2007-08-26 23:52:44 | 私的ポール・マッカートニー史
今日音楽ダウンロードサイトで久々に楽曲を購入しました。
ポール・マッカートニーのボーナストラック関連をば。

・アイルランドに平和を
・スパイ・ライクス・アス
・ワンス・アポン・ア・ロング・アゴー(ロングバージョン)
・バック・オン・マイ・フィート
(カントリードリーマーを買うのを忘れてました。)

CD購入の時期によってこれらの曲が入ってなかったりしてたのですが、これで公式に発表しているものは今手に入るものではほとんど手元にあることになります。
アイルランドに平和をなんてほとんど聴いたこと無い、という事態でした。俺としたことが。

この中であまり期待してなかったワンス・アポン・ア・ロング・アゴー(ロングバージョン)がくせ者でした。
全く聴いたことのないアドリブボーカルがギターソロにかぶってました。ミックスも違います。
これをショートエディットしたものがシングルバージョン、後半のコーラスを省いたものがアルバムバージョンとなるのでしょうか。
この中で一番始めに聴いたのはアルバムバージョンだったのですが、シングルバージョン及びロングバージョンを聴いた後では淡泊に聞こえてしまいます。
それにしても些細な違いと思うんですが、こんなにバージョン作らなくても…。とさえ思ってしまいます。なぜこんな所にこんなのを付け加えたんだろうみたいな違和感もあるし。
とはいえあのアドリブっぽいボーカルは結構衝撃的でした。

それでわざわざ書いた次第。




Paul & Me part2 ~ Wings Over America

2007-07-02 21:08:09 | 私的ポール・マッカートニー史

1989年2月

ようやくパート2です(笑)。

1989年1月、ポール・マッカートニー・スペシャルというビデオを購入して、最も気に入った、Maybe I'm Amazedが収録されていて、しかも曲がたくさん入っている、Wings Over Americaが私が買ったポール2枚目のアルバムだった。
決め手はビートルズの曲がどのように再演されているか聴きたかったことにある。

確かに再演されたビートルズの曲を聴くのは楽しかった。レディ・マドンナはまさにそのまんまという感じ。しかも貫禄まで加わっている。ところが、ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロードがなにやらおかしい。明らかにビートルズの方が好きだ。これは歌い方が間延びしていることに起因する。なぜかソロのポールはこの後ずーっとこの歌い方だ。イエスタディも聴いてるうちにあれ?と思う。ビートルズの時の歌い方の方が好きなのだ。
今では両方のバージョンに愛着ありますが、当時はこんなもんでした。

それよりも、Wingsのオリジナルナンバーの素晴らしさにやられた。ヴィーナス&マース~ロックショウの強力さ、ピカソの遺言の哀愁。ブルーバードはビートルズの名作に匹敵する、しかもビートルズにないオシャレさがある。磁石屋とチタン男のシャウトの格好良さ。あの娘におせっかいはこっちのピアノ中心のアレンジの方が好きだった。ビウェア・マイ・ラブ、ワインカラーの少女、バンド・オン・ザ・ラン、ハイ・ハイ・ハイの息をつかせない展開はビートルズとはまた違う、ロックバンドの格好良さを感じた。

全編通しての構成が素晴らしい。ポールはこの後、ライブではこの構成を踏襲し続ける。現在まで続くフォーマットはこの時完成されている。曲も踏襲してくれればいいんだけどね。




追憶の彼方に~メモリー・オールモスト・フル

2007-06-09 13:21:04 | 私的ポール・マッカートニー史
ポール・マッカートニー2年ぶりのニューアルバム、追憶の彼方に~メモリー・オールモスト・フルをついにゲット!。

昨日は出張からようやく戻ったものの退社後すぐに同僚と天ぷらを食いに行ったため、手にできなかったが、TOWER RECORD開店直後にゲットしました。



早速聴いてますが、素晴らしい出来です。予想を超えている。20年近くファンやってるが、これほどの手応えはリアルタイムで聴いた初のアルバムFlowers In The Dirt以来かもしれない。
一聴して構造がわからない曲が多く感じたのも、これからどんどん気に入っていく予兆だと思う。メロディがとにかく豊か。ヴォーカルスタイルも曲によって大きく違いバラエティに富み、格好いいシャウトも随所に出てくる。これこそ待ち望んでいたポールだ。

パッと聞いた感じでは、USでの第1弾シングルのエヴァー・プレゼント・パスト、ポールらしいメロディの綺麗なハードロックであるママ・オンリー・ノウズ、バック・トゥ・ジ・エッグに入っているアフター・ザ・ボールを連想させるグラティチュード(こっちの方がよい)、前作に入っているトゥ・マッチ・レインを発展させたようなヴィンテージ・クローズが素直に良い。ダンス・トゥナイトのわかりやすさも素敵だ。きっと一番最近作られた曲なんだろうな。

前作のように、メロディの展開がなんでこっちへ行っちゃうの?というのが少ない。
今作にはとてもストレートであり、しかしポール以外にはない意外な展開、意外でありながら納得してしまうポップさがある。


前作は傑作と言われたが、個人的にはポールらしさが半分くらい欠けた、リハビリ中のようなアルバムに響いた。久々にポールらしいプロミス・トゥ・ユー・ガールも10年くらい前ならB面に留まっていたんじゃないだろうか(そういう曲が好きなんですけどね)。
もっとさかのぼって、97年のフレイミング・パイも渋い傑作と言われたが、手癖で作ったような地味な曲も多く、なにより、制作期が多岐に渡ってる割には小粒な曲が多く、ポールらしい元気の良さに欠けるようでガッカリした覚えがあり、好きな曲も結構あるものの、アルバムとしてはこういうのは作って欲しくないという印象は変わってません。
また、両アルバムに共通するのが、シャウトがほとんどないことです。

ポールの声の衰えはアルバムごとに感じてはいたが、99年のラン・デヴィル・ランはカバー曲中心ではあるものの、シャウトボーカルが全面的に復活したのが嬉しい1枚だった。
01年のドライヴィング・レインは愛妻リンダの死後初のオリジナルアルバムのため、かなりダークな雰囲気だが、心がボロボロの状態で裸一貫の見切り発車をするポールがとても格好良かった。期待通りシャウトも入っていた。曲も荒削りだが、キラリと光るものが多く含まれていた。ファンの中でも評価が分かれ、批判が目に付くが、その後の大復活の原点であり、人間ポール・マッカートニーを感じるとても好きな1枚です。

このドライヴィング・レインはリハビリ的なものと思っていたので、インスタントな仕上げだろうが、次作は、ビートルズの再演がほとんどのワールド・ツアーを経てビートルズ的な神懸かりな曲に近いものを聴かせてくれるアルバムを、好調な喉で歌い、ツアーメンバーと共に制作するものと思っていたので、その布陣で作られた今回のアルバムは少し遅れて届いたものの期待通りのものでした。
間に発表された前作・ケイオス・アンド・クリエイション・イン・バックヤードもこの位置になって初めて異端の作品であることが浮き彫りになり、新たな魅力が芽生えてきました(マッカートニー2のような存在なのではないかと)。


曲中にいろんなアイディアの詰まったものを聴かせてくれる、アルバム中にいろんな声を聴けるのが、ポール・マッカートニーだ、と信じてここまで聞き続けてますが、今回のアルバムはまさにそれです。71年発表のRAMと同じベクトルを向いた、パワーのある作品だと思います。全盛期と言われる70年代のウイングスとしての一連の作品と並べても引けを取らないと思います。
アルバムが出るたびに、良いけど、こういうのよりもっと聴きたいのがあるんだよな~と思い続けて、15年くらい。待った甲斐があった。とても。

かなり感動しました。聴く度に良くなってます。上に挙げた曲以外も素晴らしいです。


ちなみに、買いに行ったついでにスタバを覗いてみましたが、サンバみたいのが流れていました。。。
レジにポールのCDが並んでいたのは嬉しい光景でした。