ターコイズ別館・読書録

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151 談志最後の落語論 立川談志

2010-09-29 06:14:51 | た行
 図書館より。梧桐書院。

 実は談志師の落語は聞いたことがない。私が通っていたところの、寄席に出ないからだ。

 年齢と体調からは逃れられないのか、老い先のことが何度も語られる。
 これからの落語会はどうなってしまうのか。著者によると家元が最後の落語家だそうだ。

 言葉の定義がわからない。
#落語とは、人間の業の肯定である。
#落語とは、非常識の肯定である。
 これはまだいい。
#イリュージョンというのは、毎度言うとおり、宇宙に群れあっている無数のモノやコト、生き物から、さっと一部だけを持ってきて、”どうでい”と示すものだ、という言い方もできる。(略)
#「番頭さん、金魚、どうしたい」
#「食べませんよ」
# これなどは、イリュージョン以外の何者でもない。
 きっと後世の人が分析してくれるであろう。現在すでに、かな。

 以下はわかりやすい例。
#伝統とは何か。それは「時間」である。

#「ナンセンス」は”どっか常識とは違っている””ズレている”という可笑しさを誘うものだ。
#「ウィット」は”野郎、巧いこと言やがったな”というもの。
#「ジョーク」は練って練って作り上げるものだ。

#(名跡を襲名した中で)円歌なぞはいいのではないか。歌奴の円歌です。嘘奴、嘘つき円歌。(略)私が大勢いる前で、
#「これね、”嘘奴”っつってね、嘘ばっかりついてんだ」
# なんと言っても、へらへらと笑っている。それを見て、「面白い奴だなあ」と思ったネ。(略)あれほどどこで演っても受けた芸人を私は知らない。

#”何であんな古くせえ名前を継いだんだ”と言われたネ。
# けど、今になってみると、いい名だ。「志を談る(かたる)」。今更、ほかの名は考えられない。