日本語教師の見た中国とか…

日本語教師が見た中国をつらつらと綴ろうとはじめました。帰国後、大学院生を経て今はとうとう専任日本語教師だ~。

日本語が来た道

2007-01-09 10:48:01 | 日本語
 今日は真っ白な雪景色。ちょっとは院生らしくアカデミックなことを書きたい気分です。

日本語は音声的には南方諸語系で、文法的にはアルタイ諸語・朝鮮語系であると言われております。

 なんで音だけ南から来て、文法だけ北から来て、それらがきれいに混ざるのか?

これが非常に興味深い点です。渡来人がわらわらと来たのなら、敦賀経由や北九州経由で朝鮮語がじわじわと広がっていくはずですが、今日のように朝鮮語の形跡が文法面でがっちり残っている事実が説明できません。そもそも後からきた人々の言葉を土着民族が学ぶとは思えないですよねえ。現代の日本で例えるのはお門違いですが、滋賀県にブラジル人が増えてきたからと言って、私の母親の日本語にポルトガル語の語彙や文法が入ることはないですねえ。

 そこでちょっと気になる話。

 『騎馬民族国家』江上波夫(旅ガラスさんのコメントで紹介してもらった)

日本に朝鮮系の騎馬民族が来てそれが天皇になった。っちゅう話です。騎馬民族が来たという話は、みんなからこてんぱんにたたかれてしまい、そのへんの話は、

 『騎馬民族は来なかった』佐原真 

にくわし~く書いてあります。かなり攻撃的にたたいておられます。素人考えでも、江戸時代以前、肉を食べなかった日本人が騎馬民族だなんてなかなか納得できないですもんねえ。

ただ、これらの議論の流れで注目したいのは、日本に来たのは騎馬民族かどうかっていう論点が強くて、日本に朝鮮系の支配者が来たということ自体は否定されているわけではないということです(佐原さんはそれにも若干否定的ですが・・・)。

 支配者が朝鮮系、非支配者が土着系(南方系)と考えると、日本語の現状がよくわかるんですけどね~。

 つまり、インドネシアやベトナム経由できた土着日本人が、朝鮮系の支配者に支配されて、南方語なまりの朝鮮語を話さざるをえなくなった、これが日本語になっていくという流れが想定できます。外国語を習得するときのことを思い出せばわかるように、文法は英語なのに、発音だけ日本人っぽいな~んてことよくありますよねえ。それが日本全体で起こると文法は朝鮮系、発音は土着系となるわけです。ピジンやクレオールの研究でも、こういった混成のプロセスは説明できるそうです(『現代博言学』橋本萬太郎)。

 ユンソナさんの日本語も、文法は完全に日本語ですが、発音は韓国語なまりが残ってますよねえ。

 支配された!なんていうと大げさですが、統一国家などのなかった当時、たまたま日本を統一したのが朝鮮系だったっていうだけのことじゃないのかなあ。

 これは言語を説明するためだけの勝手なアプローチですけどね・・・
  
 ちなみに僕の友人、ユージローさんはパプアニューギニアからボートで直接関東地方に流れてきたのではないかというような顔立ちをされています。
 

 まあ、多かれ少なかれ我々はハイブリッドなのですよん。