都立高専交流委員会ブログ

都立高専と城南地域の中小企業(特に製造業)との交流・連係を図り、相互の利益と地域社会・地域経済の発展を目指します。

震災から復興へのメッセ-ジ③  危機の瞬間から学ぶもの

2011年04月04日 | Weblog
 皆 様
 
  
 平素より、大変、お世話になります。
 
 福島第一原発の災害抑え込みも、
 長期にわたるプロセスの 最初の一段落 が終わりつつあるように思います。
 
 交流委員会のブログに、
 震災から復興へのメッセ-ジの 2回目 を掲載させていただきました。
  http://blog.goo.ne.jp/ota-doyu-kosen/e/f866c7a38a1d0da28d3c77090c734446

 メッセ-ジ その1 は、下記に
  http://blog.goo.ne.jp/ota-doyu-kosen/e/f5abfbe177bd5668fedd0ed4c3193928

 
 復興のビジョンを中心とするものです。
 (「復旧」ではなく、
  未来を開く復興、国のかたちの新たな創造する復興を!)
 
 ご興味のある方に、お読みいただけば幸いです。            (田中)
 
 
 
     国家的危機は、止まってはいない
 
 
 今回の震災、原発の事故と言い、災害の深刻さと言い
 災害を超えて 国家有事の実質 をもつものです。
 
 戦後では、自力で立ち向かう問う意味で、
 初めての 国家有事 と言えるでしょう。
 
 
 かつてないほどの広範な地域にひろがる被災地では、
 国土の少なくない面積が陥没し、
 これらの地域では、
 地域のゾ-ニングを見直すことぬきに
 かつて生活していた方々がそのまま戻って、生活の拠点を建築したり
 従来と同じ位置に、基幹道路や鉄道を再建することはできないでしょう。
 
 岩手県大槌町では、町長が遭難、死亡、
 すべての書類とともに、町役場が流出、
 7名の課長全員を含む職員の2割以上が死亡 または 行方不明となりました。
 
 少なくない市町村(住民と行政機構)が、
 県境を越えて、被災地の圏外へ避難することになり
 公印や住民のデ-タベ-スを持ち出す余裕もなく行政機構が域外避難
 多くの住民が四散している市町村もあります。
 
 災害地域の広範さとライフラインの破断により
 従来の災害対策の常識が通用せず
 
 一方で、社会生活の正常化の 最初の一歩 が始まるとともに
 
 他方で、老人、疾病を持った方、乳幼児など、災害弱者の方々を中心に
 避難所で亡くなる方が増えていると言われています。
 ライフライン仮設のめどが立たない環境に
 身体の機能が衰弱した方などが、
 とどまっているのは、大変、危険なことです。
 
 こうした危機の瞬間に、
 国民の善意の義捐金の配分すらできないとは、どういうことでしょう?
 
 
 
     危機の瞬間から学ぶもの 
 
 
 法治(法律のル-ル、法の支配)を前提とする民主主義社会でなければ、
 戒厳令という事態ですが、
 
 平時の社会の隅々にしみついた セクショナリズムの数々が、
 問題解決の道筋を寸断しています。
 
 危機の時期に理解されるのは
 こうした瞬間に、権限をどう集中するのか、国民の総力をどう結集するのか?
 その際の政府の情報開示や説明責任のあり方などについて
 そのル-ルが決められていなくてはならないということです。
 (有事法制)
 
 このことを理由の一つ(注)として、
 政府のカバナンスは、複雑骨折の状態に陥り
 その修復の努力が続いています。
 
 言うまでもなく、
 法律をつくれば問題が解決するというものではありません。
 
 平時において、国益の根幹となるものが理解され、
 これを、国民の代表によって構成される政府が、適切に掌握されていなければ
 有事に有効に対応することなど、できようもありません。
 
 危機の瞬間に、「計画停電」「輪番停電」などいう、
 従来の大口需要家との需給調整とは違ったやり方が、
 突然、持ちだされることに対して
 政府が、電力需給のデ-タは、電力会社にしかない
 (内閣官房長官記者会見)と、言うようでは、
 
 政府が、一部企業のいいなり(逆噴射)に揺さぶられ、
 (原発推進を省是? として進めてきた)
 経済産業省に、政府への背信がある …… と言われても、
 反論の余地はないように思います。
 
 原子力発電の問題には、その 是非 のまえに
 「原発安全神話」を前提とした企業と行政機構の思考停止があります。
 
 原子力利用の理論、原子炉をはじめとする装置設計、施設設計
 設備、装置の製造、建設施工、装置の運用、装置の保守管理
 環境評価と管理に、包括的に責任を負うものがないという
 (すべての関係者が最終責任を回避する)
 無責任連鎖の構造が放置されつづけ、
 
 様々な問題が派生した際に、
 これを評価し、問題解決にあたるポジションから
 テクノロジ-とサイエンスに精通した人間が排斥されてきた
 事なかれ主義を正当化するシステムが横たわっていることにこそあります。
 
 その結果が、
 東京電力経営陣の 脳死 として露呈し、
 
 原子力安全保安院は、当初、比較的正確に事態を掌握していたようですが
 意味不明の首相の現地訪問などがあり
 (副官房長官クラスのものが、
  専門家とともに急行し、現地の陣頭指揮に当たるのであれば理解できる。)
 
 12日の水素爆発が起きる前の記者会見で、
 セシウム、ヨウ素の検出から炉心溶融の可能性がある と明示した
 原子力安全基盤担当の審議官 中村幸一郎 氏が「更迭」され、
 
 その後の原子力安全保安院の記者会見を行っているのは
 原子力安全保安院の審議官ではなく
 通商政策担当 の 経済産業省大臣官房審議官 西山英彦 氏であるという
 理解しがたい事態が報道されています。
 
 日米関係では
 当初より、自衛隊と在日米軍が緊密に連携していたとはいえ
 震災直後に
 「今回の悲劇に立ち向かう上で、日本の国民とともにある」(オバマ大統領)と表明した
 同盟国 米国 と わが国政府中枢 の情報共有は、1週間余りも進まなかったと言います。
 (3月21日に、合同調整対策会議設置)
 (合同調整対策会議設置に尽力した民主党国会議員 長島昭久氏による
  『AERA』緊急増刊号)
 
 
 
     社会組織 と 社会関係資本 の 再構築を!
 
 
 困難な環境の中で、現地で自主的な活動を進めたのは
 自衛隊や各自治体の消防庁など、
 危機管理を前提に訓練された部隊ですが
 
 国民の代表によって構成される政府が
 正当なリ-ダ-シップを行使するためには
 危機の瞬間にも寸断されない社会(国民)の結びつきが必要なのは
 言うまでもありません。
  
 この点で、重要なのは、
 既成のセクショナリズムを踏み超えて行動することができる社会組織の存在です。
 
 すでに、NGOの一部は、
 震災の直後に、ヘリコブタ-によって現地に急行、    
 提携する企業よりの支援物資を被災地に送り込むとともに
 被災された方を、有償ボランティアとして雇用するところまでの取り組みを進め
  http://www.peace-winds.org/110402.pdf

 海外のNGOとともに、中長期的な支援事業計画の策定に入っています。
  http://www.peace-winds.org/jp/news/index.html

 
 AMDAは、岡山県に本部をおき
 医療や保健衛生を中心に緊急人道支援を進める NGO ですが
 震災の翌日には、最初の専門家、スタッフが現地に到着
 (代表者は、インドより現地に急行)
 現在、医師、看護婦など、100名を超える方々が
 困難な環境にある被災地を中心に活動を進めています。
  http://amda.or.jp/

 
 わが国で初めて、アメリカの国際的医療認証機構JICの認証を受けた
 亀田総合病院(千葉県鴨川市)では
  http://www.kameda.com/about/profile/message/0911.html

 
 地震、津波、原発の被害で、存続困難の深刻な状況にあった
 いわき市の老人保健施設「小名浜ときわ苑」の
 入所者、職員とその家族200名あまり の
 「かんぽの宿 鴨川」への「集団疎開」「集団移設」を実現しています。
  http://medg.jp/mt/2011/03/vol94.html#more

 
 言うまでもなく、
 同友会でも、義捐金と支援物資を、直接、現地へ届けています。
 
 先述の町長が遭難した 岩手県大槌町 では、
 被災直後には、住民の2/3にあたる1万人が行方不明か? と言われた町で
 県立高校の校長が、行政権を行使して、危機管理にあたったと言います。
 
 釜石市では、
 ギネス記録に認定される、巨大な 防波堤 が倒壊、
 千名を超える死者、行方不明者を出しました。
 30年の年月と1千億円を超える費用で建設された 防波堤 であったといいます。
 
 一方
 この市に14校ある小中学校の児童、生徒は、病休で自宅にいた数名を除き
 見事な対応で、全員が遭難を回避しています。
 
 津波災害に対して、どう、自主的に対応するか? を 徹底的に教育されていたといい
 その中には、事前のシュミレ-ションは、
 一番起こりやすい想定であり、シナリオの一つにすぎないこと、
 これを信じすぎてはならず、
 不測の事態を念頭に行動することが含まれていたと言います。
  http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/research02.html
  http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/research02_3.html

 
 
 京都大学教授の 諸富徹 氏が、資本主義の将来ビジョンとして
 「資本主義の未来とその『非物質的転回』」につて論及しています。
  http://www.bk1.jp/product/03171660

 
 まさに、有形のもの(1千億円を超える防波堤?)より
 知識そのものが 資本 となり、
 知識の独占でなく、より広く社会に共有された知識が 資本 となり
 どのような社会的関係をつくっていくかということが 資本 となる時代が
 (『非物質的展開』が)
 すぐ、そこまで来ているように思います。
 
 業界団体などの既存の組織が、危機の瞬間に機能しないのは
 それが 天動説的な セクショナリズムの組織である時でしょう。
 国民にではなく、行政に顔を向けた 組織 であることによるでしょう。
 
 国民とともに、地域とともに歩む 同友会 の真価が
 本格的に問われる時代が、すくそこに、来ていると思います。
 
 
 
【注】
 
 政府のカバナンスは、今、破綻したのではありません。
 本年度末に1千億円を超えようとする政府債務残高は、
 わが国の統治が、既に崩壊、破綻していることを示しているでしょう。
 
 時代の変化に対応出来ないことを、
 次世代の財布に、手を突っ込んで隠ぺいし続けてきた結末です。
 
 私たちは、このことを直視しなくてはなりません。
 
 私たちは、何時、沈んでもおかしくない舟に乗っています。
 この船から手桶で水を掻い出しながら、この船を修復し、 
 なんとか、新しい港にたどり着かなくてはなりません。
 
 そこから、私たちの新しい舟を建造する仕事が始まります。
 
 その時に、
 新しい航海へ向けた国民合意、国民の意思が形成されていることこそ大切です。
 
 そのための粘り強い取り組みこそ問われます。
 
 
 国民の心を一つに、難局に立ち向かおう!
 自立、自尊、連帯の精神で
 
 今後とも、宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
グロ-バルコミッション 田中基茂
東京都大田区山王 4-19-6 4F
TEL 5746-3041 FAX 5746-3081
gc-t@ac.auone-net.jp

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