おとぼけ

2010年11月25日 15時41分15秒 | B地点 おかか

 

 

おかか先生が、尻尾の毛づくろいをしている。
先生は、自分の尻尾が、あまり好きではないらしい。
「私の尻尾は、毛が柔らか過ぎるんだ。模様も、ハッキリしてないし」
「……なあ。お前の尻尾を、よく見せてくれないか?」
「え? 僕の尻尾? いいですよ」
「すまんな。じっくり見せてもらうぞ」
「うーむ。実にいい尻尾だ。黒一色で、かっこいい」
「被毛も、コシとハリがある。素晴らしい」
「お前のような尻尾が欲しいよ……」
「何を言うんです。おかか先生の尻尾だって、素敵ですよ」
「うーん。そうかい?」
「こんなに素敵な尻尾は、他にありませんよ」
「……おい」
「色は黒一色だし。コシとハリがあるし」

ちゅっ
「こらあ! それは私の尻尾じゃなーい!」
「いや~。最高の尻尾ですよ」

ちゅっちゅっ
「いい加減にせんかああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


呉越同舟の崩壊

2010年11月24日 15時35分11秒 | B地点 おかか

 

 

オムイ外伝 第五部(人情濃厚篇) 第49話

* * * akuta さんが描いてくれたイラストへのオマージュとして * * *

おなじみ、抜け忍オムイと、
追忍である。
この日は、猛烈な寒波が訪れていた。

闘いどころではない。下手をすると凍死しかねない寒さである。

そこで二人は、一時的に休戦し、和睦を結ぶことにした。
二人は、一緒に毛布を被って、寒さをしのいだ。

呉越同舟と言うべきか……。
「なあオムイ、寒いなあ」

「待つしかあるまい。低気圧が過ぎるのを、ひたすら待つのだ……」
そうこうしているうちに ―― 追忍は、おならをしたくなってきた。
毛布から出たくなかったので、そのままで音を立てずに放屁してしまった。
追忍の尻から発せられた気体は、毛布の中を通って、オムイの首筋あたりから出て来た……。

もわ~
「むッ!? こ、この匂い!」
「ぐはあああ!」

「す、すまん、オムイ……」
「き、貴様あ! 何て野郎だ!」
「すまん! 許してくれ、オムイ!」
「いいや、こればっかりは許せん!」
「やり返す! 覚悟しろ!」
「うッ!?」
「や、やめてくれえ!」

追忍は思わず、オムイの尻を押さえたが……。
しかし、その努力も虚しく、直撃を喰らってしまった。
「ぐはーーーーッ!!」