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温泉にゃんこのネコ散歩

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山本宗補・写真展2

2005-04-03 21:33:40 | ギャラリー&カフェ
「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」という映画は、私の心の還る場所だ。
その根幹は、
「地球はそれ自体がひとつの生命体であり、人類はもとより、動物も虫も草も風も水も岩も、すべてが繋がった大きな生命として生き続けている」
という考えである。山本氏の話を聞いていて、ふとこのことが頭に浮かんだ。私たちの意志が間違った方向に向かえば、この地球はどうなっていくのだろう…。

山本氏が「老いの風景」を始めたきっかけは、阪神淡路大震災の取材時に知り合った同郷のジャーナリスト須田治氏との出会いがあったからこそだと言う。この須田氏も2年前に突然の病に倒れ、若くしてかえらぬ人となってしまった。山本氏は参加者からの質問に対して、
「死を目前にした人にカメラを向けるのはとても嫌で辛い作業だが、<その存在を、伝え残す>というのがカメラマンとしての自分の仕事だと思うし、その点は信念を持っている」
と強く語った。天から与えられた仕事…まさに山本氏にとってフォトジャーナリストという仕事は、天職なのだと思う。

その一方で、
「鮮やかなブーゲンビリアの花を見ると、死のことを思い悲しい気持ちになる」
と語る。タイなどでは、死者にブーゲンビリアの花びらを握らせ棺もその花で飾る。いろいろなものを見てきた山本氏の作品は、いろいろな思いを引き出すきっかけとなる。HPでもその一端に触れることができるし、写真展を見ればいっそうその思いを強く感じられることだろう。写真が展示されている2階の窓からは、ソメイヨシノの古木が間近に望める。まだ数輪しか開いていなかったが、最終日には華麗に咲き誇ることだろう。その中で見る「老いの風景」は、どんなことを感じさせてくれるのか?そして、絢爛なイメージの桜にもその儚さゆえに、「死」の匂いがあるように思うのだ…。

山本宗補氏HP→http://homepage2.nifty.com/munesuke/
写真展「老いの風景」→
http://homepage2.nifty.com/munesuke/photoexhibit-oi-part1-postcard.htm

(玉蔵院・枝垂桜)

山本宗補・写真展1

2005-04-02 20:08:53 | ギャラリー&カフェ
浦和にあるつきの宮神社近くのギャラリーカフェ「楽風(らふ)」で、フォトジャーナリストの山本宗補氏の写真展が開かれている。世界の紛争地や貧困地帯の取材をフィールドワークとしている山本氏にとって、初めて「日本」を題材にした個展だ。「老いの風景」と題し、それぞれの場で生きるお年寄りの姿を、カメラという道具を使って切り取っている。

今回のテーマである、「いかに生き、死んでいくか」ということを深く考えさせられる作品たち…。その中で、2度目のスライドトークショーが行われた。1回目の「私の見た老いの風景」では、写真展に登場する人々のことを語ったのだが、今回は「海外の多様な生と死の現場から」と題され、山本氏が長年にわたり海外で見た「死」の現場が、映し出されていく。洪水で流され海に浮く人々、引き取り手のないままリヤカーに山積みにされていく遺体、死んだ瞬間そのままの形で埋められミイラ化した姿、飢餓状態でミイラのようになって息をひきとる乳幼児。普段の山本氏の作品には、直接死体を写したものはあまり登場しない。戦場の子供の瞳や、家族の姿を通して「理不尽なこと」を訴えかけるものが多いのだが、今回は「生」を語る上で避けることのできない「死」の姿を伝えたかったのだろう。

世界には「不条理な死」が満ち満ちている。特に印象に残ったのが、タイの寺院に作られたエイズホスピスでの若い女性の姿だった。麻薬の蔓延と売春行為によるエイズ感染の拡大。ここでは1日に2~3人が亡くなっていく。チェンマイの出身のこの女性の余命もあとわずか。最後の力を振り絞って故郷に帰り、友人らとの最期の時間を過ごす。山本氏はひとりの人間の姿を追うことでしか、この深刻さを伝えるすべがないと思ったという。

こういうものでさえ、遠い国での出来事としか思えない私たち日本人は、「不条理な死」は身近に無いと思っている。が、本当にそうだろうか?年間に何万人もの人が、自殺という形で生きることを放棄している。最近では、ネット自殺が流行っている。彼らは、死をどんな風に感じているのだろうか?もがき苦しんだままの姿で海に浮く溺死者の姿、時間が経ち異臭を放つガスで膨らんだ遺体、生きたくても生きられないミイラのような赤ちゃん、ネット自殺を図った人々は、こんな姿を目にしたことがあるのだろうか?命の大切さ、かけがえのないものという感覚を、私たちは忘れてしまっている。もしくは伝えられないでいる。
「死をむかえるまでの時間は、本当に貴重なもの。それを何とか伝えたい…」
と静かに語る山本氏の言葉が心に残った。(つづく)

山本宗補氏HP→http://homepage2.nifty.com/munesuke/
写真展「老いの風景」→
http://homepage2.nifty.com/munesuke/photoexhibit-oi-part1-postcard.htm



老いの風景in楽風

2005-03-27 18:03:12 | ギャラリー&カフェ
フォトジャーナリストの山本宗補氏の写真展が、大好きな「つきの宮神社」近くのギャラリーカフェ「楽風(らふ)」で始まった。数年前、浅間山の麓で育ったという山本氏と初めてお目にかかったのも、この楽風でだった。ひょっとしたら、大好きな浅間山が繋いでくれた縁かもしれない。その日は、スライドで紛争地域や貧困な場所の人々の「訴えかけるまなざし」が映し出され、山本氏の静かな語り口でその状況が説明された。
「知らないということ自体が、すでに罪なんだ…」
と、衝撃を受けた日だった。

山本氏は「アエラ」にも作品を提供しているフリーのフォトジャーナリスト。世界の紛争地域や貧困地域に行き、マスメディアには載らないその実態を発表している。海外での活動が主であるが、今回は初めての日本を撮った作品のみの個展で、小さな島に住むお年寄りたちの姿、京都の山村で診療にまわる老医師の姿、在宅ホスピスという道を選び逝く人、ハンセン病療養所で懸命に生きる人…各々の老いていくその姿を、モノクロの写真で追っている。

山本氏は世界各地で「死の現場」に遭う。その現場にいると、人間の「生」というものを深く考える。自身が51歳という年齢になり、人生の半分がとっくに過ぎ去ったことを思った時、その人の生きてきた人生の一部を切り取れたらいいと思ったという。「その人の人生の一端を残しておきたい」という思いで撮った作品の数々。そこにはその人たちの「かけがえのない時」が写し出されていた。

その会場で、思いがけぬ人と再会した。前出のネコ写真家の石橋照子先生の作品展でお目にかかったことのある、医師で写真家の寺島萬里子先生だった。63歳でカメラを始めハンセン病の方の姿を撮り続け、78歳になった今もカメラは手離せないという。51歳で折り返し地点をとっくに過ぎたと語った山本氏に向けての、
「人間、自覚して生き始めるのが20歳、そこから初めて人としての人生が始まるのだから、山本さんはまだ折り返しを過ぎたなんて言っちゃダメですよ(笑)」
というひと言が印象に残った。この寺島先生、とても透明な人…と感じる。にゃんこの敬愛する、佐藤初女さんと通ずるものがある。どうしたら、こんな風に静謐に歳を重ねられるのだろう…。

今回はいろいろなことを感じ過ぎて、とても伝えきれない…。ぜひ時間を作って、その作品に触れに出かけて欲しい。築100年以上の納屋の中で、きっと人それぞれ感じるものがあるに違いない。4月1日には2度目のスライドショーも行われるので、都合のつく方はぜひ。折りしも満月の夜、月の光に照らされながらいろいろな思いを抱えて帰路についた。

山本宗補氏HP→http://homepage2.nifty.com/munesuke/
写真展「老いの風景」→
http://homepage2.nifty.com/munesuke/photoexhibit-oi-part1-postcard.htm



代官山L.C.d.B

2004-10-02 10:58:07 | ギャラリー&カフェ
先週、米山公啓氏の個展を見に行った代官山のギャラリー&カフェ「代官山L.C.d.B(エルセドベー)」は、とっても可愛いお店だった。

代官山は、以前よくネコ散歩に行っていた場所。同潤会アパートのたたずまいが好きで、その中にあるレトロモダンな銭湯「文化湯」とにもよく寄りこんだ。「代官山食堂」というおばーちゃん達だけでやっている定食屋さんも素晴らしく素敵な構えだったが、結局入らないうちに閉店してしまった…。今、その場所には、巨大なマンションが建っている。ほぼ10年ぶりに訪れたこの町は、変わっているところあり、10年前そのままのところあり、なかなか不思議な感覚を覚えた。

この町は、車も自転車も入れないネコ道が多い。表通りにもお店はたくさんあるが、細い坂道や表通りのお店の裏側などに、ちっちゃくて素敵なショップが隠れている。このL.C.d.Bも細い坂道の階段の途中にある隠れ家のようなところ。やっと探し当てると、入り口でイケメンなワンコが「いらっしゃい!」と出迎えてくれる。ナチュラルなお店では、ナチュラルなそば粉のクレープがいただける。夕食代わりにたのんだ、グリュエールチーズのクレープが美味しかった。でもお友達が食べてた、シナモンバターのも美味しそうだったなぁ(^^; またお散歩しに行こっと♪

代官山L.C.d.B → http://www.lcdb.jp/welcome.html



古民家ギャラリー・山猫軒

2004-09-20 10:16:54 | ギャラリー&カフェ

永久保鉱泉でマッタリした後に、大好きな「山猫軒」に立ち寄った。ここは、越生町の山の中にある古民家ギャラリー。アプローチの途中にある龍穏寺という古刹も、独特の雰囲気があって心地よい場所なのです。

囲炉裏に座って、石釜で焼いた天然酵母のピザとコーヒーをいただく。障子の外には、色濃い山の緑が広がっている。ギャラリースペースの畳の間では、銅のオブジェ展をやっていた。金属なのに温かみを感じるのは、この空間のせいだろうか?疲れた時に、ふと行きたくなる場所。清冽な水の流れに耳を傾け、何てことない里山の懐に抱かれる…心地良いひととき

越生町 古民家ギャラリー・山猫軒 金土日のみ営業