遠い日のボストン、MIT
拡大はクリック
17世紀の絵画にかかわるシリーズの途中だが、世界を揺るがす衝撃的な出来事が起きた。絵画シリーズを中断することはためらわれたが、幾人かの読者からのご感想もあったので、少しだけ記しておきたい。それにしても、この自家製「タイムマシン」は、かなり忙しい。老朽化が目立ち、もう解体、格納庫入りの時と思うと、出番がやってくる。
偶然の一致だが、かつてこのブログに『スポーツは政治不安のバロメーター?』というタイトルで短い記事を記したことがある。2008年9月22日のことだ。そして、その連想からまもなく、9月28日には『恐怖の都市ボストン:ノン・フィクション』と題して、1919年9月にこの都市で発生した警察官の職場放棄というアメリカ労働史上、よく知られた事件を取り上げた。詳細はブログ記事をご参照いただきたい。実態に深く踏み込むほどに、さまざまな点で大変興味深い事件だった。アメリカの生い立ちを理解する上で、幾多のキーポイントともいうべき出来事があるが、この事件も読み込むときわめて奥深い。
アメリカ史の上では重要な意味を持った出来事であったが、日本の読者でこの事件を知っていて、関心を寄せた方は少なかった。時代が戦前であったこともあり、こうした出来事を知っている人はきわめて少ない。
今回の事件はボストン・マラソンを舞台として起きた惨事であった。真相の解明はこれからになるが、今日の段階では、テロの可能性が高いようだ。9.11のニューヨーク、ワシントンにおける惨劇をいまだ忘れることのできないでいる今、再びボストンという歴史ある都市において、この痛ましい、そして憎むべき出来事を経験することになった。皮肉なことに、銃火器の所持制限に関する法案は、この日議会で否決された。
1919年のボストン市警官ストの時には、警官の敗北に終わったが、今回は勇敢な警官がその持てる力を十分に発揮して、惨劇の拡大を最小限に防いだ。9.11の消防士と並び、彼らの勇気は称えられ、語り継がれるだろう。
テロ根絶への道は果てしがない。しかし、オバマ大統領が述べたように、「テロに屈せず、また走ろう」。それ以外に道はないのだから。