前々から気になっていた本の一つ。よく分からないが、田舎の海辺の村の砂の穴の底に監禁される男の話。そこには夫を亡くしたという女がいて、砂の穴の底の暮らしに馴染んでいる。村の老人たちも穴の上から見ているようだし、逃げようとするのを妨害する。なんとも不思議で、不条理で、気持ち悪い。しかも、物語の冒頭に結論が提示されていて、全く希望もないことが確定しているだけに、その気持ち悪さは最初から最後まで続く。人間の生に意味なんてないということを、こんな単純な設定で示されて気分が悪くなる。まあ、そんな感じの傑作でした。