シリーズ第４弾。隠館厄介復活の巻です。紺藤さんも再登場ですね。遺言少女の謎を追うストーリーは、第２弾、第３弾よりも面白いと感じました。
薔薇屋敷を舞台に密室殺人。林、七夏、紅子の絡みや紫子、練無、保呂草ぼ事件との関わりなど、話の展開は前回と似ているかも。オオカミ男のことはよくわからなかった。
カリスウェンが裁判にかけられる。そんな中、カリスウェンを訪ねたラクシとジッダがマレブたちに襲われる。なんとなく、この事件がカリスウェンの運命にも影響してしまうような、嫌な予感しかしないのです。
ロードス島を舞台としたキリスト教とイスラム教の戦い。しかし、さすが塩野さんの表現はそれだけにとどまらない。聖ヨハネ騎士団、オルシーニとアントニオ、城壁技師のオルティネンゴ。大局と個人。全体と部分。それらが混然一体となって物語は描かれる。トルコのスルタン・スレイマンの騎士道精神も描かれ、戦争なんていいことないはずなのに、なんだか爽快な気分になる。エピローグも秀逸で、聖ヨハネ騎士団のその後のマルタ島での活躍や、さらに現代にも繋がる流れもさらっと述べて締めくくっている。
キキととんぼさんの間に生まれた双子のニニとトト。双子だけどニニがお姉さんでトトが弟。ニニは魔女になるかどうか迷っているが、弟のトトはもちろん魔女にはなれない。そんな２人の１３歳の旅立ちまでを描いた作品。すごく面白かった。
ニニの黒猫はブブ。トトの黒猫はベベ。
この後の２人の活躍もとても気になるけど、お話はここまでで終わり。ちょっとさみしいですが、まあ、お話の続きは読者それぞれの頭になんとなく広がっていくようなそんな終わり方が素敵でした。
あとがきでも作者が言っていたが、今日子さんのキャラがよくわからないと思う。無報酬であるのに事件を解決しようとしたのが、どうにも不自然だと思うのです。語り手が巻ごとに変わるのはこの後も続くのか？
