イタリアを舞台にした30のエッセイ集。中には塩野さん一流の空想話ありで、その背景を含めて語られる空想は、それはもう真実ではないのかと思うほどだ。
全ての話が面白かったが、最後の「レオナルド、わが愛」が一番良かった。このおそらく誰もが認める天才についてはさすがの塩野さんも書けないというのだ。その人となりを理解し、その人になりきって書くスタイルだけに、この多才な人の考えが完全に理解することができず、従って書けないという。それでも最後の一字一句までが見事な内容となっており、読書していると時々ある感動の肌を得た。