匂ってはいけないのです

狸小路で手が上がりお乗せしたお客さま、車内に入るなりいい匂いだと喜んでいます。
いえいえ、まったく匂いのするものは無いんです、と説明するも、いやいやお兄さんはいい匂いがする、俺は敏感に分かるんだ、と言い張ります。
前のお客さまが付けていた香水などの残り香ではないでしょうか、と言っても、いやお兄さんのいい匂いだと譲りません。
弊社は香水や整髪料はもちろん、芳香剤すら禁止されていて、無臭に拘っていますので、いい匂いだと言われるとかえって焦ります。

その観光客のお客さまをホテルへ無事お届けすると、行きは酷い臭いのタクシーだったけど、帰りはいいタクシーで良かったと喜んでおりました。