◎命じられた仕事はなんでもしろ。生き生きと嬉しそうに、熱心にするのだ。それが済んだら、すぐ他に仕事がないかと見回すのだ。
ニューヨークのブロードウェイのある事務所で、「何か自分にできる仕事はないかな」といつも目を光らせている一人の給仕がいた。会計係が現金の勘定をしていると、この少年は駆けてきて、
「僕に手伝わせてください」
といった。また会計係から伝票を持って来いといわれると、大急ぎで持って来るだけではなくて、
「ついでに計算も手伝わせてください」
と、なんでも手伝いたがった。
あまりに熱心なので、会計係は暇なときに帳簿のつけ方や、会計の原理などを教えてやった。そうして一年もするうちに、少年は会計係の忙しいときには結構その代理もできるようになった。
その会計係が上の地位に栄転することになったら、後任に推薦したのは、この給仕であった。そして、
「大丈夫です。ここの会計の仕事は、あの給仕のほうが僕より詳しいくらいですよ」と保証した。
この給仕は、のちにニュージャージー・スタンダード石油会社の社長になったベッドフォードである。彼は晩年になって少年が成功する秘訣を次のように語った。
「命じられた仕事はなんでもしろ。生き生きと嬉しそうに、熱心にするのだ。それが済んだら、すぐ他に仕事がないかと見回すのだ。仕事を量るのに、何時間働いたかで量ってはいけない。朝から晩までの同じ時間内に、どれだけの仕事ができるかで量らなければならない。会社のひける時間がきたとき、時間後まで働くよりも、時間前に仕事をしてしまうぐらいがいい。しかし仕事が残っているときは、時間が過ぎても、決して帰ってはいけない」
このベッドフォードの逸話を読んで、日本の喫茶店やレストランに入ると、気になることが多々ある。サービス係にアルバイトが多いせいか、お客のほうを見ていない人が多いのである。お客の皿を片付けて持っていくときに、他に自分を呼んでいる人はいないかと、注意して見る人がほとんどいない。それどころか、呼んでもなかなか耳に入らない人が多いようである。これでは、なかなか仕事で成功することは難しいだろうし、そういうアルバイトを雇っているお店も繁盛しないのではないかと思うのである。
ニューヨークのブロードウェイのある事務所で、「何か自分にできる仕事はないかな」といつも目を光らせている一人の給仕がいた。会計係が現金の勘定をしていると、この少年は駆けてきて、
「僕に手伝わせてください」
といった。また会計係から伝票を持って来いといわれると、大急ぎで持って来るだけではなくて、
「ついでに計算も手伝わせてください」
と、なんでも手伝いたがった。
あまりに熱心なので、会計係は暇なときに帳簿のつけ方や、会計の原理などを教えてやった。そうして一年もするうちに、少年は会計係の忙しいときには結構その代理もできるようになった。
その会計係が上の地位に栄転することになったら、後任に推薦したのは、この給仕であった。そして、
「大丈夫です。ここの会計の仕事は、あの給仕のほうが僕より詳しいくらいですよ」と保証した。
この給仕は、のちにニュージャージー・スタンダード石油会社の社長になったベッドフォードである。彼は晩年になって少年が成功する秘訣を次のように語った。
「命じられた仕事はなんでもしろ。生き生きと嬉しそうに、熱心にするのだ。それが済んだら、すぐ他に仕事がないかと見回すのだ。仕事を量るのに、何時間働いたかで量ってはいけない。朝から晩までの同じ時間内に、どれだけの仕事ができるかで量らなければならない。会社のひける時間がきたとき、時間後まで働くよりも、時間前に仕事をしてしまうぐらいがいい。しかし仕事が残っているときは、時間が過ぎても、決して帰ってはいけない」
このベッドフォードの逸話を読んで、日本の喫茶店やレストランに入ると、気になることが多々ある。サービス係にアルバイトが多いせいか、お客のほうを見ていない人が多いのである。お客の皿を片付けて持っていくときに、他に自分を呼んでいる人はいないかと、注意して見る人がほとんどいない。それどころか、呼んでもなかなか耳に入らない人が多いようである。これでは、なかなか仕事で成功することは難しいだろうし、そういうアルバイトを雇っているお店も繁盛しないのではないかと思うのである。