毎日新聞 2014年06月30日 東京夕刊
【ブリュッセル斎藤義彦】ウクライナ東部の停戦を巡りロシアと独、仏、ウクライナ首脳は29日に電話で協議し独、仏、ウクライナ側はロシアに国境管理を強化し、ウクライナの親露派への武器流入を停止するよう求めたが、プーチン露大統領は停戦の再延長を主張し、議論は平行線をたどった模様だ。30日午後10時(日本時間1日午前4時)の停戦期限が迫る中、30日に再度協議する。だが、ウクライナ軍は停戦期間中に東部でロシアの無人機を撃墜しており、協議が複雑化することも予想される。
ウクライナのポロシェンコ大統領は、プーチン大統領に国境管理強化で「民兵、武器、装甲車の流入を止める」よう求めた。フランスのオランド大統領の事務所によると、独仏は親露派の武装解除など「具体的な進展」を要求した。
これに対しプーチン大統領は停戦のさらなる延長を要求。また、ロシアからウクライナ東部への人道援助を受け入れるよう求めた。ウクライナは人道援助に紛れて武器が流入することを警戒している。
一方、ウクライナ軍によると、ロシアの偵察用無人機がウクライナ東部ルガンスク州で撃墜された。また、親露派武装勢力は東部スラビャンスク近郊で、ウクライナ軍の検問所に向かって戦車で砲撃した。親露派武装勢力は、ウクライナ軍の東部からの撤退が、停戦の前提条件としている。
3日間延長された停戦期限が迫る中で、キエフで29日、数千人が停戦延長を批判する集会を開いた。ウクライナ兵も参加し、延長でウクライナ軍に死者が出ており、総攻撃を実施するよう要求した。ポロシェンコ政権に対する「弱腰」批判は強まっており、外交解決の道は狭まっている。