大道具さーん ちょっとー!

舞台美術製作 金井大道具㈱ごきげん営業阿部 ここに日々の業務を垣間見る。お気楽に「大道具さーん、ちょっとー!」

四夜

2009年03月19日 | 歌舞伎 海外公演
3月18日
一昨日に廻り盆の仕込を終え、昨日は照明、音響の仕込。
今日はいよいよ「十二夜」の舞台セットの仕込だ。
昼過ぎにはコンテナ4本の搬入が終わる。
舞台袖は、大道具、小道具、ボテなどでたちまちいっぱいになる。

早速、吊り物の仕込。
ここで問題が。
「これって安全なの?」
日本から持ち込んだ吊り物部材のこと。
メーカーから取り寄せた安全基準証明書(わざわざ英文にしたもの)を見せても、
「このメーカーってどうなの?」

英語で答える。
DO SAY YOU KNOW?(どうせいゆうの?)
英語で吼える。
SHALL I CUE SAY NO!(しゃらくせいのう!)

ワイヤ、シャックル、ボルト、ナット、金具、釘、など普段使っているもの。
また、その仕込方法。
すべての安全を疑われる。

いちいちうるさいなあと感じる。
が、その姿勢は見習うべきものがあると思う。
演出よりもデザインよりも何よりも安全を第一に考えるロンドン。
これが演劇先進国なのだなあとも思う。
でもちょっとはわれわれのことも信用してくれないかなあとも思う。

で、考えてばかりでは仕事が進まないので、
いろいろと妥協案を出してもらい、
仕込みを一からやり直しである。
郷に入っては郷に従え。
明日は照明さんに舞台を渡さなければいけないので急がなければ。

でも、夜22:30以降は仕事をさせてくれない。
「徹夜仕事などして疲れては、明日の作業が安全に出来ないでしょう?」
スケジュールよりも何よりも労働者の健康を第一に考えるロンドン。
これが演劇先進国なのだなあとも思う。


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三夜

2009年03月18日 | 歌舞伎 海外公演
3月17日
大道具の仕込が順調にいったので大道具さんはきょうはOFF
なんともよい響きだ。「オフ」
照明さんと音響さん。今日はこの二つのセクションの仕込日だ。

照明機材の数は歌舞伎座公演よりも多く見える。パワーアップしているのか


珍しい形の防火シャッター。床下からせりあがって来るものと上から降りてくるものが合体する。張り出し舞台の一尺高フカシ台は劇場の大工さんが現場で作る。18mm厚のベニヤ板だけで天板、かまち、根太などすべて製作。簡単で軽くて丈夫である
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二夜

2009年03月17日 | 歌舞伎 海外公演
3月16日
午前9時30分大道具の仕込開始。
コンテナ搬入条件よく、劇場スタッフの対応よろしく、9時38分に一本目のコンテナの搬入が終わる。
40フィートのコンテナおろしに掛かった時間が8分
幸先のよいスタートダッシュだ。
舞台中心の縦ラインと横ラインに糸を張り廻り盆の中心点を決める。日本で設計、製作した道具が英国の舞台に納まるのか。図面で照らし合わせているとはいえ、実物を置いてみるまでは不安だ。

どうやら無事に収まるようである。
初日開幕までこんなハードルをあといくつ超えなければならないのか。まだゴールはずーっと先である。


ローラーと廻り盆の接地面にグリスを塗るマツノブ選手。日本ではメカニック専門のスタッフがやる仕事だが、海外公演ではこんなこともやらなければならない。
このあとは外周のダメ台を設置し、舞台床となるベニヤ板を敷きこむ。
1月にやった道具調べのおかげでおおむね順調に廻り盆の仕込が終わる。
さらにその外側はバービカンスタッフの手により、一尺高のスチールデッキが舞台袖に並べられていく。日英合作の舞台である。
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一夜

2009年03月16日 | 歌舞伎 海外公演


空路約十二時間。
先発隊十二名ロンドンになんとか無事到着。

バービカンセンターで上演される「Ninagawa十二夜」
切符は完売らしい。

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小田原宿

2009年03月10日 | 新橋演舞場
新橋演舞場3月公演「獨道中五十三驛」
その三幕目第一場が“小田原宿”
だからというわけではないが、この日曜日に小田原へ行ってきた。
というか墓参りのついでに車で立ち寄ったのだが、
名物のかまぼこ屋がたくさん並んでいた。
駅前の寿庵という蕎麦屋で昼ごはん。
“宿場そば”なるものを頼むと、お膳の中に小分けにされた9種類のおそばが並んでいた。
東海道を日本橋から出発すると、
品川、川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚、藤沢、平塚、大磯、ときて小田原が9番目の宿場だそう。これにちなんで9種類のおそばを用意しましたと。

お芝居では三幕目。ここから大磯、平塚、藤沢、戸塚、保土ヶ谷、神奈川、川崎、品川、日本橋と江戸へ向かって下って行くことになる。これが今では箱根駅伝のコースになっているのだなあ。



先日、京の都から江戸まで何マイルかと書いたら、ご丁寧に調べていただいた。
225マイル。(ダイスケさんより)
役者、スタッフは毎回225マイル加算。
225×(公演回数+稽古の回数)=?
数えてみたい。
ANAはきっと事後登録受け付けてくれるはず。(うそです)
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義太夫はどう?

2009年03月07日 | 大道具
新橋、汐留にある
スペースFS汐留




毎年恒例の
「義太夫教室OB演奏会」
が開かれた。
とりのこ屏風に緋毛氈の山台を組む。

義太夫教室に興味のある方は、
社団法人 義太夫協会さんへ
どうぞ。

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水は流れる

2009年03月04日 | スーパー歌舞伎
新橋演舞場3月公演が開幕。
猿之助十八番の内「獨道中五十三驛」
三幕三十場(!)のお芝居。

第一幕で半分の十五場。
この幕の舞台転換はまあ大変。
とにかくきっかけ(仕掛け物)がいくつもあり、
無事に終わるとほっとしたい。

が、ほっとする間もなく、
第二幕では本水を使った大立ち回りが見どころ。
舞台上に20トンの真水を流す。
(写真はそれに使う水道管やバルブ)
その水が真っ赤に染まったり、
滝つぼの中からお姫様の霊が現れたり、
こちらもきっかけがいくつもある。
無事に終わるとほっとしたい。

が、ほっとする間もなく、
第三幕では舞台全面所作舞台を並べ、
そこで市川右近十二役早替り。
こちらもきっかけがいくつもある。
無事に終わるとほっとしたい。

が、ほっとする間もなく、
夜の部の準備をしなければならない。
昼の部とまったく同じことを繰り返す。

今月はほっとする間が全然ない。



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3月に入りました

2009年03月01日 | 大道具
2年程前からこの季節になると目がかゆくなり、
鼻水が止まらなくなる。
人はそれを花粉症と呼ぶらしいがどうやらこれもそうらしい。
いまいましい厄介者だ。
が、
この時期のそれは杉の花粉症だ。
大道具さんと杉の樹はとても深い関係がある。
パネルの骨に使う小割りや、
筋交いや裏打ちに使う貫板は大概が杉材である。
杉の樹にはとてもお世話になっております。
だから杉の木を忌々しいなどと言ってはいけません。

新橋演舞場では3月公演の舞台稽古がはじまった。

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