獣害を裏返せ!

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【070905】鳥獣被害 対策を幅広く着実に

2007年09月07日 | 獣害-対策:シカ・イノシシ
 野生動物による農作物被害が、県内各地で深刻になっている。
 飯山市の農家では、ジャガ芋畑をイノシシに掘り起こされてしまった。もはや栽培の楽しみを放棄し、撤収するしかないのかと、この農家の人は、本紙の「建設標」で嘆いている。

 南佐久郡川上村では、高原野菜のレタスが出荷直前に真ん中の柔らかいところだけ、ニホンジカに食べられてしまう。

 深刻さは、数字に表れている。2006年度の鳥獣による県内農林業の被害は、県のまとめだと、16億5000万円余に上る。
 ニホンジカが最も多く、5億円を超える。このうち下伊那地方事務所管内が4割強だ。ほかには、カモシカ、ツキノワグマがそれぞれ2億円を超える。サルとイノシシは1億6000万円ほどずつだった。
 被害総額が増額に転じたのは7年ぶりだ。昨年は、クマの人里への出没が特に問題になった。野生動物の生息圏拡大に、対策が追いついていないことを物語る。

 原因はいろいろ考えられる。温暖化で繁殖しやすくなったことや、山林に動物の食べ物が少なくなったことが挙げられよう。
 侵入をはね返す農山村社会の力の衰えも大きい。農家減少と高齢化で田畑を鳥獣から守りにくく、農地荒廃に輪をかける。狩猟人口の減少と高齢化も響いている。
 農家や地域だけでの取り組みには限界がある。国、県、市町村が積極的に対策を強めるべきだ。

 県は、年内にも県庁内の部局を横断する野生鳥獣被害対策本部(仮称)を設置する。シカ肉の料理への利用など、捕獲から商品流通まで積極的にかかわるときだ。
 住民と行政が、地域の実情に合わせた取り組みを強めたい。

 下伊那郡大鹿村は、県と協力してシカを一度にたくさん捕獲できる県内初のおりを設置中だ。侵入を防ぐ電気柵や緩衝帯は、動物との知恵比べの面もある。効果を高める工夫が試される。野生動物を追い払う犬の導入も試みられている。

 情報とやる気を、被害地域が共有することが大切だ。
 南アルプスでは、シカが高山植物も食い荒らし、お花畑は消滅あるいは衰退している。山小屋の人たちがネット設置などに奮闘中だ。お花畑を守り復活させるため、県や国の積極策が求められる。

 被害対策が、野生動物の滅亡を招いてはならない。共生のために適切な生息数、山林整備の在り方など、研究者の声にも耳を傾けたい。

信濃毎日新聞
http://www.shinmai.co.jp/news/20070905/KT070904ETI090002000022.htm

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