~ 転載 ~
大台町で、人里に下りてきて農作物などを荒らすニホンザルの対策が、壁に突き当たっている。サルに取り付けた発信機の電池が切れるなどし、群れの把握ができなくなったからだ。背景には、サルが人里に姿を見せなくなり、発信機の交換すらできない状況がある。
旧宮川村(現大台町)では2002年から、捕獲したサルに発信機を付けて、山へ帰した後の行動を追跡。村内で7つの群れがあり、平均すると50頭で1つの群れを作っていることが分かった。03~04年には、職員が各地区を回り、サルの行動範囲や対策を住民に説明。合併後も、町全体で対策をとってきた。
実際に、滝広地区では、住民たちがサルの群れの行動範囲を把握し、サルを見たらすぐにロケット花火で追い払うなど、住民一体となった取り組みが、他の自治体が視察が来るほど注目を集めていた。
しかし、町全体では昨年以降、サルの動きが把握できていない。原因は、サルの首に巻き付けた発信機が、電池切れなどで機能していないことだ。町産業課によると、電池の寿命は3年。その間にひもが劣化し、電池が入った5センチ前後の小箱が落ちることもある。
捕獲して新たな発信機を付ける計画だが、サルは一向に姿を見せない。住民の追い払いが一定の効果を挙げているようにも見えるが、群れが別の集落に下りて行くことも確認されていない。これまでなら、雪や極寒の日の翌日、山の南斜面に現れたが、最近ではその経験則も当てはまらないという。
同課の担当者は、サル周辺で起きている異変に思いを巡らすが、「なぜだか分からない。待つしかない」。同課には、新しい発信機の箱5つが積み上げられたままだ。
一時的には農作物被害は減ることになるが、「群れを管理するのがサル対策の鉄則」。原因不明という状況は、歓迎すべきことではないようだ。
滝広地区で獣害対策に積極的に取り組む住民の川竹守さん(62)は、空っぽのおりを見ながら首をかしげた。「どないしてもうたんやろ」
中日新聞
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