六畳の神殿

私の神さまは様々な姿をしています。他者の善意、自分の良心、自然、文化、季節、社会・・それらへの祈りの記。

3分間スピーチ

2012年04月24日 | 自然関連
 こんにちは。私たちは、約100年前に日本から絶滅してしまったオオカミを日本の森に復活させようと活動しています。

 100年前というとずいぶん昔のように感じるかもしれませんが、いま百歳の方が全国にたくさんお元気でいらっしゃるように、自然の何万年という時間の中ではごくごく最近に起きた出来事です。

 絶滅してしまったものをどうやって取り戻すの?と思われるかもしれません。それはトキやコウノトリと同じです。近隣の国から同じ種をもらってきて放せばいいのです。

 なぜ一度絶滅したものを復活させなければならないのか。その必要があるからです。

 いま、日本各地で増えすぎたシカによる森の破壊が進んでいます。北海道から九州、世界遺産の屋久島まで、遠目には緑ゆたかに見えても森の中はスカスカ、次世代となる若い木が育たず、下草がなくなり、虫や鳥も棲めなくなり、土が流れ出して森の栄養が失われる深刻な事態がおきています。

 なぜこんなことになってしまったのか。それは、シカの天敵だったオオカミを人が絶滅させてしまったからです。

 いきものは「食べる・食べられる」という関係で、足元の大地や空気や水と、輪のようにつながっています。植物はシカに食べられ、シカはオオカミに食べられる。オオカミの食べ残しは他の小動物のエサとなり、毛は小鳥の巣の材料となり、やがて全ては土に還り栄養分となって次の植物をはぐくむ。
 ・・たった100年前まで、日本の森でも、こういった健全ないのちのつながりがあったのです。
 こういうつながり、自然のバランスが保たれている限り、森では、いきものが死ぬことは終わりでもなければ悲劇でもありません。ひとつひとつがムダにできない、大切な、いのちのいとなみです。
 その大事なつながりを、人間は知らずに断ち切ってしまった。自然の重要なパーツであるオオカミを失ってしまった。
 そして、このつながりからはずれ、増えすぎて、とにかく減らせと殺されていくシカ。これこそが悲劇です。
 このつながりを取り戻すこと。それがオオカミを復活させる目的です。

 オオカミが絶滅したあと、その役割を担っていたのは人間の狩猟者でした。
 しかし、世の中の変化の中で狩猟者もいま減少し、高齢化と後継者不足に悩んでいます。増えすぎて殺されているシカを有効利用し、人間社会の中につながりをもたせようとがんばっている人たちがたくさんいます。
 でもそれだけでなく、森の奥、人の手が届きにくいところにも、このいのちの輪を取り戻したい。それが私たちの主張です。

 でもオオカミが戻ってきたら人をおそうんじゃないの?あるいはマングースの二の舞になるんじゃないの?オオカミが増えすぎて困るんじゃないの?そう訊ねられることがあります。
 すべて誤解です。
 この誤解を解くために私たちは活動しています。ぜひ、オオカミの本当の姿、その大切な役割を知って下さい。日本の森は頂点捕食者オオカミを必要としています。貴重な日本の自然を健全な姿で未来へ手渡してゆきたいから、日本の森にオオカミを復活させましょう。

 ご清聴ありがとうございました。

 ・・・これをほぼ3分で喋った。どんだけ早口・・