六畳の神殿

私の神さまは様々な姿をしています。他者の善意、自分の良心、自然、文化、季節、社会・・それらへの祈りの記。

薔薇が咲いて

2009年02月06日 | 日々のこと
 飾っていたスプレー咲きの薔薇が咲き終わって、新しくイエロー系の花たちに花瓶をあけわたした。

 7,8コくらいついていた花の大半は咲き崩れて花びらの色も変わり、どれも疲れたように首を垂れている。
 もう捨ててもいいよね。

 ・・でも真ん中あたりの枝の蕾が2コだけ、色を変えずに残っている。頑ななまでに直立し、少しもうなだれていない。

 一気に捨ててしまうのが何となくしのびなくて、その蕾たちだけを短く切って空き瓶にさし、台所に置いた。

 咲かないだろうと思いながら。

 他の花たちはもう咲き終わって。葉だってしおれてるし。こんなに短く切っては、いのちの蓄えも乏しいだろう。蕾のまま色が変わって枯れてうなだれたら、捨てるつもりでいた。

 そして今日、仕事から帰って台所に立ってみたら、蕾たちがほどけていてビックリした。

 捨てるつもりだったから、もはや部屋を飾ることもない。だから流しの前に立たないかぎりダーリンも気づかないだろう。

 この薔薇が咲いたことに気づいたのは、世界中で私だけ。
 この薔薇は、私ひとりのためだけにこうして咲いてくれたんだ。

 そう思ったら泣けてきちゃった。
 
 花のけなげさ。いのちの不思議。
 捨てられるはずだったのに、ひねくれも拗ねもせず、汚れも疑いもしないで、与えられたチャンスを精一杯に生ききる。それが花。打算も保身も、そこには無い。未来への畏れもためらいも、戦略も無い。それが花。
 その姿を、ただまっすぐに、こんな私のためだけに、「どうぞ見て」と・・。

 それがありがたいようなもったいないような、手を合わせたいような、切ないような哀しいような、うれしいようなさびしいような・・モロモロの気持ちが涙になってこみあげてきた。

 ・・ちょっと疲れてるんだろうかなアタシ