難読漢字に「一二三四五六七」というのが出てくる。儒教においてもっとも重要視される考え方のひとつが「四維八徳」、それぞれ孝、悌、忠、信、礼、義、廉、恥からなるもので、「一二三四五六七」だと八番目の「恥」がない、つまり「はじしらず」と読むことができるという。
米大統領トランプ氏がまさにその通り、これほど図々しく恥知らずな人を他に知らない。自分のことを「歴代大統領の中で最も偉大な大統領」と自画自賛、面の皮の厚さは飛び切りだ。この他にも「厚顔無恥」「大嘘つき」「傲慢」「破天荒」「卑劣漢」「自己顕示欲の塊」などなど、悪のイメージは拭えない。
しかし、この人もあと3日で「ただの人」になる。が、一般の「ただの人」とは大違いだ。米大統領は退任後もそれなりの待遇が保障されているそうで、年間約20万ドルの終身年金、この他、任期満了後7か月の生活支援、レベルは落とされるものの死亡するまで受けられる身辺警護、また旅費、事務所経費、通信代や医療保険料などの手当も支給されるという。ただし、5年以上務めなければもらえない医療保険は、トランプ氏には資格がないそうだ。もし弾劾裁判で有罪になったら、これらの待遇はどうなるのだろうね。
共和党の多くの議員にとってこの4年間、トランプ氏を批判することはタブーだったという。支持者からのカリスマ的な人気があり、自らに反発する人には容赦ない攻撃を加えるトランプ氏にみんな恐れをなしていたそうだ。
しかし、トランプ氏の大統領選敗北で潮目が変わった。トランプ氏は最後の望みとして、投票結果を確認する6日の上下両院合同会議で、進行役を務めるペンス副大統領が結果を覆すように圧力をかけたが、これまで忠実だったペンス氏は「その権限はない」と要求を拒否したという。
とどめは合同会議中に起きた議事堂乱入事件だ。150人以上の共和党議員が選挙結果について異議申し立てをする予定だったが、事件後、共和党議員らから非難続出、異議申し立ての熱気は急速にしぼんだという。なんたるザマか、支持者の暴挙を煽った結果、藪をつついて蛇を出してしまったのだ。
政権閣僚が次々に辞任し、盟友の共和党議員や支持基盤の経済団体も強い調子で批判している。そしてとうとう、下院はトランプ氏の罷免を求める弾劾訴追決議を可決した。
あわてたトランプ氏は、演説動画で「私は、先週の暴力行為を全面的に非難する。暴力や破壊行為はわが国にふさわしくない」などと述べ、自身の関与を改めて否定した。そして自分の保身が第一のトランプ氏は「諸君は我々の国を代表していない。法律を破った者たちは代償を支払うだろう」と、事件の責任を支持者に押し付けた。この変わり身の早さはお得意の手法だが、卑劣漢とのそしりは免れまい。
15日、米調査機関はトランプ大統領の支持率が過去最低の29%になったとの世論調査結果を発表した。68%が退任後は政界にとどまってほしくないと回答したという。
トランプ氏の落日が確実に近づいている。10日には、トランプ氏が所有するニュージャージー州ゴルフ場で開催予定の「2022年の全米プロ選手権」が取りやめになった。また、ニューヨーク市はトランプ氏一族経営企業との契約を打ち切った。YouTubeチャンネルの使用禁止、SNSのアカウント停止、政治献金の中止も相次いでいるとか。 「ただの人」になるということはこういうことなのだ。
AP通信によると、トランプ氏は来週20日に行われるバイデン次期大統領の就任式には出席せず、アンドルーズ空軍基地で退任セレモニーを計画しているとか。この往生際の悪さ、みっともないったらない。が、とにもかくにもトランプ劇場は終幕を迎える。他国のことだからおもしろがって見ていられたが、さてわが国ではこれから始まる「ポスト菅」の闘い、さて如何相成りましょうか?
最後くらいきれいに退けばいいのに、これではもう4年先はないでしょうね。支持者も少しは愛想をつかしたのではないでしょうか。
でも今日にも、まだ100人近い人の恩赦を発表するとか、まだ権限があるのかしら? あきれますね。
トランプ氏くらいコロナ禍に関心が低かった人はいませんでした。ワクチン開発は自分の功績ですって! バカみたい。私が妻だったら恥ずかしくて外を歩けません。とっとと離婚して逃げ出しますわ。
政府のコロナ対策には不満はありますが、野党も批判するだけでなく、良策を出せばいいのに。まあ今はどうしていいか、誰にも分からないのですから解決策などあろうはずもないけど。情けないですね。
「潔し」も抜け落ちてます。
人種間対立を煽り分断を広げ、民主主義国家アメリカ合衆国大統領とは、信じられない4年間でした!
世界が「コロナ」と戦っている現在、国の指導者の人柄は自ずと国民に見えてくるもの。
ドイツのメンケル首相の演説とまでは無理ですが
わが国の首相演説ももう少し力強いメッセージ性を発信してほしいですね。
保身に汲々する卑しい姿は見たくありません