つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

なつかしい路面電車と「ばら寿司」・・・

2012-05-13 | 私事ですが

 昨日は叔父(亡母の弟)の3回忌だった。10時半から法要を始めるというので、8時29分の電車で岡山駅へ。美作市からやってくる姉と合流して、何十年ぶりかに路面電車に乗った。この路面電車は、明治45年(1912年)5月5日開業、今年でちょうど100年になるそうだ。岡山市の歴史とともに歩んできたこの電車は、岡山のシンボルであり、市民の足としてなくてはならない交通機関の一つである。
 今から45年ほど前だが、私は20代の終わり頃まで岡山市内に住んでおり、通勤の足として朝夕、毎日この路面電車を利用していた。電車が出発するときにチンチンと鐘を鳴らすので、昔は「チンチン電車」と呼んでいた。
 ちなみに、チンチンという音にも決まりがあるそうで、ウィキペディアによれば以下のような合図である。が、当時は合図として鳴っていたとは考えたこともない。    
走行中電車が停留場に近づいたとき「チン」と1回鳴らせば「降客があるため停車せよ」または「停車する」 
チンチン」と2回鳴らせば「降客がないので通過しても良いか」または「良い」
さらに停車中に「チンチン」と2回鳴らした場合は「乗降がすんだので発車しても良いか」または「良い」
「チンチンチンチン」と3回以上の連打は「直ちに停車せよ」または「停車する(非常停車)」
 
当時は、運転手と車掌がいて車内で切符を売っていたが、現在はワンマンカーなので、後ろから乗り降りるときに料金箱に料金を入れる。車体もJRの電車のようにカラフルで、型もおしゃれなデザインに変わっている。「10年一昔」というから45年も経てば当然のことで、今では往時の「チンチン電車」の面影はまったくない。     

 法事がすんで、予約していた料理屋へ移動。会席料理で、今が旬のハモやアイナメ、カツオ、マグロのお刺し身など、魚中心の料理が一品一品出てくる。お酒を飲む人はいいが、会席料理は出てくる間合いがゆっくりで、早食いの私にはまどろこしくもある。
 お土産に岡山の郷土料理「ばら寿司」が用意されていた。この「ばら寿司」については【江戸時代の岡山城下で、備前岡山の藩主・池田光政が、庶民の贅沢を禁じて質素倹約を奨励。それに伴って、汁物以外に副食を一品に制限する「一汁一菜令」を布告した。そのため、大きめの具を寿司桶の底に敷き、それらを覆うように細かい具の入った酢飯で覆って食事の直前に桶をひっくり返して食べたり、または酢飯の中に多くの具を直接混ぜん込んで「一菜」として食べていたとされ、「一汁一菜令」を逃れる方法として、岡山ばら寿司は定着していったとされる。】と、ものの書にあるが、庶民の知恵から生まれた料理である。 
 
 
夕食に開けてみて「ワァー」と思わず声が出るほどきれいに飾り付けされている。酢飯に味付けした薄切りのれんこん、ごぼうを混ぜ込み、錦糸卵がびっしり敷き詰められている。その上に、焼き穴子、茹でた車えび・シャコ、酢で〆たサワラの切り身、甘辛く煮た藻貝・しいたけ、薄味で煮たワラビ・黄にら・さやえんどう・れんこん・タケノコなどが彩りよく並べられてある。「しまった、写真に撮ればよかった」と気付いたときはもう半分ほど食べたあとで、とても写真に撮れるものではなくなっていた。

 私の忘れられない「ばら寿司」は、
亡き叔父とその連れ合いの叔母が2人がかりで作ってくれた「ばら寿司」で、この味に勝る「ばら寿司」はいまだに口にしたことがない。甘めの酢飯に、昨日のお土産同様にたくさんの具をちりばめて、見た目にも美しく、食べてもこれほどの逸品はない。私にとって叔母の「ばら寿司」は、忘れる事のできない“お袋の味”なのである。   
 その叔父も逝き、88歳になった叔母は認知症をわずらい施設にお世話になっているが、娘や息子さえ見分けが付かないという。叔母とは血の繋がりはないが、気難しい叔父とは対照的に、明るく優しくて、おおらかな性格にどれだけ癒されたことか。事情があって私が小学校5、6年の2年間、姉と弟の3人が同居しお世話になったが、この叔母がいなかったらできないことである。
 
叔母との思い出といえば、昭和29年頃か、一大旋風を巻き起こしたラジオドラマ「君の名は」である。放送日の8時からの1時間は銭湯がガラ空きになるといわれたほどで、それが三部作の映画になったとき、夕食の後片付けも早々に叔母と私と姉3人で映画を観に行ったことを今でも覚えている。そんな叔母に何の恩返しもできないまま、現在に至っていることがとても心苦しい。

 
余談だが、この「ばら寿司」は、現在、岡山駅前にある駅弁で有名な“三好野本店”で岡山名物「祭り寿司」(1250円)として販売されている。飾り付けが美しく、見た目にも食欲をそそられる。電話予約しておけば電車の到着時に合わせてホームまで持って来てくれると聞いた。右の写真は「桃太郎の祭ずし」(1000円)で、これは駅構内の売店、新幹線の車内でも売られている。
  

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2 コメント

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路面電車とばら寿司 (渡海 ひろまさ)
2012-05-15 01:42:20
こんばんは
路面電車は以前、広島へ野球観戦で行った時、久しぶりに乗りました。
昔は、阪神間を路面電車が走っていましたね。
今は、NHKの朝ドラ「てっぱん」にも出て来た阿倍野方面は走っているようです。

「ばら寿司」美味しそう~♪
思い出もいろいろあるんですね。

先月描いて頂いた似顔絵、あちこちで大変好評です。
ご本人も喜んでいましたよ
ありがとうございました。
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Unknown (オールドレディー)
2012-05-15 09:41:57
♠渡海ひろまささま
最近の路面電車で、盲目の人が乗ってこられたとき、車掌さんが手を差し伸べ座席まで誘導し、降りるときも手を引いて道路を渡り、歩道まで連れて行きました。とてもすてきな場面でした。こんな車掌さんばかりだと安心して乗れますね。

似顔絵が載せてあるのを見ました。満足できる出来ではないのですが、喜んでいただいてうれしいです。
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